3年ぶりの再会は二人に戦いをもたらした。
互いが互いを心配しながらも、己の守りたいものを守るために戦う。
平和を望む心は同じだが、決して相容れぬその道の果てに、一人は殺しかけ、一人は殺されかける。
そして、その戦いの最中、絶望と疑問とを胸に宿した二人は再び考え始める。
何を敵とし、何と戦わなければならないのかを―――――。
戦うべき人
連合軍からの攻撃に苦戦していたオーブを救ったのは、見たこともない赤い機体だった。
「…キラ」
「…アスラン」
赤い機体から降りて来たアスランを見て、キラは一瞬だけ驚くもそのままゆっくりと足を進める。
それを見て、アスランも歩き出す。
その二人の、ただならぬ様子を察し、全員が二人を遠巻きに見守る。
「キラ、ラクスに言われたよ『何を敵とし、何と戦わなければならないのか』って」
「…うん」
「たくさん考えたよ…ここに来て、それでも本当は迷ってた」
「でも、君は助けてくれた」
「ああ、父は間違ってると、そう感じた。戦いは戦いしか生み出さない」
「そうだね…連鎖は、何処かで断ち切らないといけない」
「だから、俺は今、ようやく答えを見つけた」
「僕もだよ、アスラン」
互いが互いにぶれられる距離まで来て、止まる。
そして、
「行こう、アスラン――」
「ああ、全てを終わらす為に――」
ぱしっと手を叩きあう。
今、ようやく二人の心は1つになった。
死闘を繰り広げ、閉ざしていた心が本来のものへとかえる。
「っ!お前ら―――――!!」
目じりに溜まる涙を堪えながら、カガリは二人に走り寄ろうと両手を広げ―――。
「「ともに世界を手に入れよう!!」」
カガリはすっ転んだ。
マリューやフラガも目が点になる。
その他の人々など、思考停止。
「潰すべきものは二つ」
「わかってるよ。ブルーコスモスの盟主アズラエルと」
「プラントの最終兵器、ジェネシスだ」
こくりと頷いた二人はそのまま地面に座り込み、同時に紙を取り出し、見せ合う。
「これがアズラエルの全財産がある銀行口座と屋敷その他の見取り図」
「こっちがジェネシスの内部図面で、自爆装置の起動パスワードは”レノア”だ」
「あ、レノアさんの名前?相変わらずだね叔父さんも」
「まあな、それで今母はそっちにいるんだろ?」
「うん。なんか叔父さんまた浮気したんだって?」
「そう、離婚届叩きつけてたからな。あれはそうとう怒ってた。いい加減バレるんだから止めればいいのに、父もそのやつあたりで戦争拡大させてるしさ。なんかもう、戦ってるのバカらしくなっちゃってさ」
「ああ、それはそうだろうね。僕もわざわざ居合せちゃったから仕方なく戦ってたっていうのにコーディネーターだとか文句言われるし?しかも行方不明になってたら探すこともせずに死人扱いだし?なんかもうどーでもいーって感じ」
ぐさぐさと突き刺さるなにかを押さえるように胸を押さえるマリューとフラガ。
……心当たりありすぎで、徐々に顔色が悪くなっている。
そう、溶け出した二人の心は急速に3年前のように戻っていっていた。
悪魔と名を馳せた子供時代は伊達じゃない。
離れていた3年間いろいろあって凍結していた感情が、ここに来て一気に溢れ出したのだ。
じゃあ行こうかと、立ちあがったその時。
「これはどう言うことだアスラン!!!」
突然の大音量と共に現われたのは見なれた機体。
「イザーク!?」
声をあげたのはディアッカ。慌ててキラとアスランのところまで走り寄る。
「ディアッカ久しぶり」
「ああ、久しぶりってそうじゃなくて!アスランなにやらかしたんだ!?」
失礼なやつだな〜と笑っているうちにイザークは機体から降り、ずかずかとこちらの目の前まで来て止まる。
額には完全に青筋が浮かんでいる。
「イザーク、そんなに怒ると血管切れるぞ?」
「やかましい!!だいたいなんだこの『辞表』は!?」
『辞表!?』
「え?君そんなの出してきたの?」
「ああ、だってもういらないだろ?」
「ソレもそうだね」
「納得するな!!だからどう言うことだ――!!」
落ち着け!とイザークを宥めるディアッカ。
そんな彼らの前でキラとアスランはうるさいな〜と耳を押さえる始末。
「だからもなにももう父の命で戦うのが面倒になったんだよ」
「そうそう、だから二人で世界を手に入れようと思って」
「だからなんでお前たちはそうなるんだ!?」
「「あ、カガリ」」
いつの間にか近くまで来ていたカガリはガッと二人の胸倉を掴む。
「協力して戦いを終わらせようと思う心はないのか!?手に入れるってなんなんだ!普通出来ないだろって思うけど確実にやり遂げるだろうっていう確信を私は持ってしまうんだぞ!?」
カガリの言葉に人々は頷いた。
この二人ならばやりかねない。
いや、むしろやる。
そこでようやくさらなる事態を把握したイザーク。
「……どういうことだ」
「だから、もううんざりなんだ。誰かにあーだこーだ言われるの」
「僕も文句言われるのうんざり」
「だいたいさ、なんで俺が幼馴染と死闘を繰り広げてまで父の命を聞かなければならない?」
「そうそう、なんで行きがかりとはいえ見ず知らずの人守るのに命賭けなきゃいけないわけ?」
「あ、そうだキラ聞いてくれよ!お前倒したからって俺勲章なんて一銭にもならないもの貰ったんだぞ?」
「へー、僕もなんか知らないうちに階級とか上がっててさ。この戦争のなかでいったい誰が給料くれるのさって感じ?」
「「まあ、そんなわけでいやになったから世界貰うから」」
そんな理由なのか―――――――!?
全員が心の中で大絶叫。
だがそんな事を気にもしない二人は、じゃあ今度こそ行こうかと機体に乗りこもうとして。
「あ、そうだ」
「忘れてた」
クルリと振りかえった二人の手には何故かスイッチのようなボタンが。
ぽち。
どっか――――――――ん。
……………………………。
人々は見た。
アークエンジェルとクサナギが爆発するのを。
ディアッカも見た。
己の乗っていた機体とその周辺の機体が爆発するのを。
イザークも見た。
今乗ってきた機体が爆発するのを。
「「これで良し」」
「「「「「良しじゃねえぇ――――――――――――!!!」」」」」
この後、何があったのかというと。
フリーダムとジャスティスに乗った二人はまず、海上にいた戦艦一式を問答無用で撃破。それから追っ手を全て振り切った後、アズラエルの銀行口座から全財産引出し、屋敷その他全てのものを爆破。さらにプラントにてジェネシス内部から自爆装置作動。爆破。
そうして、全てをわずか1日で片付けて。
「「さあ、皆さん。まだ無駄な戦いを続けますか?」」
全世界に向けられた超爽やかな笑顔付きの映像にて、ナチュラル・コーディネーターは全面降伏したとか。
そして、3年とちょっとぶりにようやくゆっくりと出来た二人は。
「あ〜、やっと平和だよね〜」
「本当だな〜」
己の持つ全ての技術を総動員させて作り上げた新たな惑星にて、今日も呑気にお茶を飲むのだった。
いや〜、あのシリアスな感動場面でうちの悪友だったらどうなるかなーと考えたらこんなんなりました(笑)
あぁ、なんて黒くて素敵なのでしょうか?
この話、とっても好きです!キラ様とアスラン様w
レノアさんは核爆発を受けても無事だったと聞き、
あぁご両親までお素敵なんですねwと感動しました。
ミリアリアたちが黒い話でフレイの登場を心待ちにしていますv
ひまりさま、ありがとうございました。![]()