今日もまた、僕たちを引っ掻き回すのは……
焦がれてやまない麗しき先生たち。











 夕飯時を終え、アカデミーの生徒が一人自宅の机の前で一冊の分厚いノートを取り出していた。
 茶に金が混じる柔らかそうな髪と翠の目。
 スズナだ。
 ちっとも男らしくない名にコンプレックスを感じたのはずいぶん前のこと。今ではこの名を酷く気に入っていた。
 なぜかと問われれば即答できる。
 好きでたまらない先生たちから綺麗な名前だと言われたからだ。
 少年はホクホクとした顔でノートを開く。
「さーてと。今日も日記つけようっと」
 言いながらペンを取り出して、つらつらと書き出していくのは今日あった出来事の全て。
 ……というよりは、ある二人を観察したものである。
 日記というにはいささか違う方向に行き始めたノートは、なぜか読ませてくれとせがまれるような代物になっていた。
 あまりにもその数が多いので、絶対に転売禁止、見つからないように読むこと、と注意書きをしてコピーを回すようになった。
 ……そのコピー代として幾許かの金をもらっているのは、当然といえば当然で、商売上手だと呆れられることだろう。
 ともかく少年は自分の楽しみに一つになった日記を書いた。
 日記の内容は以下の通りである。



「○月×日、晴れ。

 今日は朝からメイ先生はぐったりしていた。いつもは元気なのに、どうしたんだろう?
 そんなことを思っていたら、ケイ先生が軽いあくびをしながらメイ先生の隣に突然現れた。瞬身の術だ。いつもながら本当に鮮やかに登場するなぁ、と思う。
 そんなことを思っていたら、ケイ先生が軽いあくびをしながらメイ先生の隣に突然現れた。瞬身の術だ。いつもながら本当に鮮やかに登場するなぁ、と思う。
 当然だ。
 だってあの先生たちは男の僕でも、動悸息切れがするくらいかっこいいのだから。
 この始業時間ギリギリに登校する生徒が多いのは、言わずと知れたものだと思う。
 一目でも見たいのだ。特にその日授業が無い生徒は。
 メイ先生はどんな女の人よりも綺麗で、でも絶対に男の人だってわかる。なんだろう、一本筋が通ってる感じ、と言えばいいのかな。
 行動も豪快だし。なのに全部の行動が軽やかだから、いまいち豪快という文字が似合わない。
 こういう人にこそ、綺麗って文字はあるんだと思う。
 ケイ先生はかっこいい。それに加えてどこか艶やかな感じがする。
 これこそ大人!!って感じのかっこいい人。行動は優雅だし、どんな時でも冷静に対処するからそれが逆に僕たちの心を引っつかんでいくんじゃないかな。
 頭の先から足の先まで整ってる人。こんな完璧な人、どうやって生まれるんだろうって思う。
 そんな二人が一緒に居るんだから、登校時間をチェックするストーカーじみた生徒がいても、黄色い声が上がっても不思議じゃない。
 ケイ先生はメイ先生の具合の悪さが一目見てすぐにわかったみたいだ。
 心配そうな顔をして、メイ先生の顔を覗く。
 でもメイ先生は何でだか顔を真っ赤にさせた。
 これはもしかすると……そうなのかなぁ、きっとそうなのかも。
 話をちょっと聞いてみると「お前が昨日の夜……」とか、「ああ、腰がつらいのか?」とか……もう、二人とも僕たちの妄想を広げるためにやってるんじゃないかって疑っちゃうよ。
 ケイ先生は顔を真っ赤にしたメイ先生をこともなげに抱え上げて、また瞬身の術でどこかに行ってしまった。
 たぶん保健室にでも行ったんだろうなぁ……でも間違っても保健室で何か妖しいことしないよね?
 ……気になるけど、今日は朝一番に必修の授業があるから出なくちゃ。
 朝からなんだかすごいことが起こったなぁvv



 今日の授業はケイ先生の基礎医療があった。
 メイ先生の実習はなくて、ちょっと憂鬱だ。
 たぶんクラスの半分は内心でものすごくがっかりしてるんだと思う。
 でもまあ、僕としてはケイ先生の授業だけでもあるんだから諦められるけど。
 授業に余裕があると、時々暗号を教えてくれる。
 初めはお手上げ状態だったけど、勉強してるせいかわかる問題が多くなってきて頑張ってよかったと思う。
 いつもだるそうにしてるけど、整ったその顔立ちがその顔さえかっこよく見せてる。
 ここまで白衣が似合う人なんて、他に居るのかなぁ?
 一度それを聞いたら、

 『ああ、一人だけ嫌味なくらい……というより、見てるこっちがムカつくくらい似合ってるヤツが居るな』

 とか言ってた。誰のことなんだろ?
 それ以上は聞いても答えてくれなかったけど、なんだかメイ先生まであからさまに嫌そうな顔してたから聞かないでおこうっと。
 たぶん、僕たちに関係の無い人なんだろうし。
 僕たちにとってはケイ先生以外には居ないってことで。
 はぁ……いつ見てもかっこいいvv
 あ、眼鏡変えたのかな?
 昨日のと違う……昨日の夜壊れたとか言ってたけど、どうして壊れたんだろう?
 ケイ先生、自分の身の回りのものは大切にしてそうなのに。
 メイ先生はぐったりしてるし、ケイ先生の眼鏡は変わってるし……昨日の夜のことが聞きたくてたまらないや。
 ホントに何があったのかなぁ?
 まあたぶん……メイ先生と一緒に居るときに壊れたんだろうな。
 ……眼鏡が壊れるような暴れ方するって、どんな時なんだろう?
 なんだか聞いちゃいけないことが起こったような気がするから、深く考えるのはよしておこうと思う。



 昼休み。
 当然の如く職員室に行ってもケイ先生とメイ先生はいなかった。
 ある目撃証言によるとどうやら屋上に行ってるらしい。
 でも邪魔はしたくないから皆行かない。……だって膝枕してたって言うんだから、邪魔なんかしたくないよ。
 そういえば、そんな目撃証言が出たくらいの時に女子が「次の新刊はこのネタで決まりね」とか言ってたなぁ。
 何のことなんだろ? 察するに本の事みたいだけど……
 聞いても絶対教えてくれないから、女子だけの何か楽しみがあるみたいだ。
 今日はメイ先生が具合悪そうだったから、ケイ先生に膝枕してもらってるんだろうな。
 それで、だるそうにしながらもメイ先生を甘やかしてるんだろう。
 いつもなら触らせないあの長い黒髪をいじらせたりして……あ、ヤバイ。想像だけで赤面する!
 ……妄想って、ちょっと怖いかも……
 とにかく、昼休みの屋上に行こうって言う生徒が居たらモグリって事は確か。
 何より邪魔したらメイ先生に睨まれそう。
 このアカデミーでメイ先生を怒らせるって事は万死に値する行為だと思うしね。



 放課後はどんなに仕事が溜まってても、あの先生たちは五時にきっちり帰るみたい。
 あれだけずば抜けて優秀なんだし、きっとその後任務があるんだろうなぁ。
 他の先生方も何も言わずに帰すって話だから、たぶんその推測は間違ってないと思う。
 ただ、朝と違って帰っていく二人の先生の姿を見た人はいない。
 瞬身の術でどこかにすぐに行ってしまうみたいだ。
 だから下校を狙う生徒はあんまり居ない。居たとしても入ってきたばかりの新入生とか。
 でもすぐに下校は狙っても無駄ってことを噂で知るみたいだけど。
 もっとも、時々一楽のラーメンを食べてる時があるって話だから、そっちを狙う生徒の方が多い。
 うまくするとラーメンを奢ってもらえるし。まあ、本当に時々だからそこまで狙う人は少ないんだけどね。
 あと、放課後の目撃情報としては上忍の待機場所である『人生色々』とか、死の森付近で見たって言うのもあるけど……
 真偽は未だに確かめられてない。
 躍起になって探す人たちもいるから、その噂に関しては次期に判るだろうと思うけど。
 ……思うに、メイ先生とケイ先生がこのアカデミーに居る限り、僕ら生徒は情報収集はかなりの得意分野になるんじゃないかな。
 あの気配に聡い二人を尾行したり隠れて話を聞いたり……うん、間違いないと思う。
 まあ……ストーカー紛いになるのは如何ともし難いことだけど。
 さーて、明日はどんな事が待ってるんだろうなぁ?



 パタン、とノートを閉じてペンをしまう。
「うーん、今日は妄想を掻き立てられる日だったなぁ……ホントに昨日の夜何が起こったんだろ? ……とりあえずは、妖しい事が起こったと見て間違いないだろうけど」
 ほくそ笑んでお風呂に入る準備をし始めた。
 ウキウキと明日を楽しみにしているスズナは知らないだろう……。
 その窓が見えるある程度離れた位置の大木の枝から少年を見つめる二対の目があったことは。

「……どーするよ? 完璧誤解されてるし、あれって俺らのプライバシーの侵害ってヤツじゃねーの?」
「俺は別に。肝心なとこは見られてねーし、注意すんのもめんどくせぇ」
「でもあの誤解だけは解いておかないとマズイ気がすんだけど……」
「―――ああ、お前が昨日の夜、忍とは思えないくらい派手にすっ転んだアレか」
「他人事みたいに言うな!! アレはな、お前が悪いんだっての!! 何であそこでお前が俺の背後に突然現れるわけ!?」
「お前が棚の上の食器を取ろうとしてたなんて知らなかっただけだ。一応受け止めたんだからいいじゃねーか」
「アレは受け止めたって言わねーんだよ!! 結局腰打ち付けて痛い思いしてんじゃんか!!」
「……じゃあ、今度からはケイの姿で受け止めてやるよ」
「うっ……それはちょっと……」
「何でだよ」
「……。…………。………………絶対言うかーーーっっ!!!!」
「ずいぶん悩んでそれかよ……まあ、実際やれば済む話だしな」
「……え? はい? ちょ……?」
「さて、と。めんどくせーが任務に行くか」
「え? ま、待って? ねぇ待って? え?」
「さっさとこねーと置いてくぞ」
「……シカマルのばかーーーーッッ!!!!」
「馬鹿とは何だ、馬鹿とは」
 泣きながら行ってしまったナルトを追うようにシカマルが枝を蹴る。
 翌日生徒たちが不貞腐れたメイと呆れながらも甲斐甲斐しくさりげない気配りをするケイの二人を見て、また波紋を呼び起こしたのは言うまでも無い。







はい、大変お待たせしました!!
紗奈様、122344Hitおめでとうございますvv
こんな……感じに仕上がりましたが、
いかがでしょうか?
ああ、不安……
さーて、夜逃げの準備か?(おい)
お粗末な代物ですみません……

こんなものでよろしければ、
どうぞお納めくださいませvv



スズナ君の日記、貰っちゃいましたよーw
また出演させてもらいました。
うれしいなぁw

ついスズナ君と同化してしまい、後ろを振り返っちゃいましたよ(笑)
後ろは窓だし〜、暗くて見えないから!!

神原紅獅さま、ありがとうございました!!