−2008年−

 ピンポーン。

「明けましておめでとう」

 開いた扉に向かい、彼女は新年の挨拶を言う。
 彼女は昨年とはまた違う振袖に身を包み、彼の家へと赴いたのである。

「あらあら、キョウちゃん? お久しぶりね」
「久しぶり。…綱吉は?」
「まだ寝てるみたいなの。今起こしてくるわね」
「…上がっていい?」

 上に行こうとする奈々を止めて恭弥が行くと声をかける。

「キョウちゃんが起こしてくれるの?」
「うん、それくらいならね」
「なら、よろしくね。お雑煮用意するから食べてってね」
「うん」

 トントンと軽い足音を立てて階段を昇っていった。




「…ヒバリ……か?」

 入ってきた着物姿の女性に、まさか…という表情をする。
 女性だということは先日知った。
 知ったが、その後も女姿をしているのを見たことが無かったリボーンとしては信じられなかったようだ。

「そうだけど…何か?」
「……いや、いい。それじゃ、な」

 言っても無駄だと思い、部屋から出て行ってしまう。
 邪魔だと思ったのもあるが、女性だと知る前からの二人の甘い空気に同じ部屋にいるのは嫌だと思ったからだ。

「起きなよ、綱吉。…ねぇ、ツナ」
「……うっ……ん…」

 眼を擦りながら起きようとすると、眼の前に恭弥の顔があって驚く。

「きょ、きょ、キョウちゃん!?」
「おはよう、綱吉」
「ちょ、ちょっと離れて! お、起きるから…」

 あまりにも近すぎて起き上がることすら出来ない、と慌てている。
 ――と。

「……あけましておめでとう」

 チュッvと音を立てて恭弥が口付け、ようやく顔を離した。

「今年も初詣行くよ」
「大丈夫なの? …わかった」

 綱吉は頷き、雑煮を食べた後、初詣へ二人は行くのだった。







一応、これは二年目のお正月をイメージして書いています。
こんな物で申し訳ありませんが、年賀メールを送った方にだけ読めるようにしています。
よろしければ、お納め下さいませ。

2008/1/2 作成







     −2009年−

「キョウちゃん、何処行くの?」
「神社だよ」

 振袖を着た恭弥と手を繋ぎ歩く。
 恭弥が振袖だったから、と奈々に着物を着るように言われ、去年恭弥から貰った着物を着て歩いていた。
 着物のカップルがいる、と少し注目もされながら、歩き続ける。

「でも、キョウちゃん。神社は逆の方向・・・」
「いいからついておいでよ」

 よく分からないながらも、恭弥に手を引かれるがままに歩き続けた。




「着いたよ」

 そう言って恭弥が振り返ったのは、こじんまりとした神社。

「へぇ、こんな場所があったんだ・・・」
「知る人が知るっていう場所なんだって」

 言う通り、人の姿はあまり無い。
 前回の初詣の人の多さに辟易した恭弥が見つけてきた場所のようだ。

「よくこんな場所知っていたね」
「並盛で知らないことは無いよ。と言いたいところだけど、風紀委員たちに探させたんだよ」
「人が多いとイラつくもんね」
「うん」

 前回は誰も咬み殺さずに済んだけれど、今年もそれで済むとは思えなかった。
 だから、探させた。

「ここなら、そんな心配無いから」
「うん、そうだね」

 綱吉としても、人が多くない方が楽だ。
 恭弥と一緒の姿をまた見られて学校で詰め寄られることにもそろそろ飽きてきたから。

「それじゃ、お参りしてこようか」

 お賽銭を入れ、願うことはただ一つ。




 ――今年もキョウちゃん(ツナ)と一緒に過ごせますように。





本年もよろしくお願い致します。

2009/1/1 作成







     −2010年−

 新年。
 三が日も過ぎ、ボンゴレ式ファミリー対抗正月合戦も何だかんだと無事に過ぎた、そんな正月気分も抜けきらないような冬休み真っ最中。
 学校が始まるまではまだ少しあるし、宿題に追われるのはまだ早いだろう。
 そんなのんびりした休日を過ごしていた綱吉はその日リボーンの発案に巻き込まれた。
 リボーンがあまりにも暇だったらしい。
 つい先日正月合戦をしたばかりだと言うのに、ボンゴレファミリーを集め、人生ゲームでもしよう、と言い出した。

「何で人生ゲーム……」
「このオレが直々に監修した、ボンゴレ特製人生ゲームだぞ」

 勿論選べる職業はマフィア限定だ。

「何それ! オレはマフィアになんかならないってば!!」

 いつも通りのセリフを叫ぶが、あっさりと無視される。

「もう全員招待したもん」

 ぷぅ、と膨れて見せたリボーンに頭が痛いと怒鳴ろうと思うが、嫌々ながらも隣家を出てこちらに向かってくる恭弥の姿を見て止まった。

「おまっ、キョウちゃんまで呼んだの!?」
「正月合戦に来てもらえなかったからな……来ないとツナを長期修行の旅に連れ出すぞ、と脅してみた」

 親指を立てていい笑顔をするリボーンに、綱吉は怒鳴る。

「んなのオレ行かねぇからな!」

 ってか、群れになるのにキョウちゃんまで巻き込むなよなぁ……
 勿論、ファミリー対抗正月合戦よりは人数少ないだろう。
 キャバッローネがいない分、必然的に人数が減るから。
 だとしても、止めろよな……
 きっと獄寺と恭弥が同席した段階で起こるに違いない騒動を思えば頭が痛いだけである。




「ボンゴレ式人生ゲーム、始めるぞ」

 リボーンの宣言で問答無用に始まってしまった。
 守護者全員を呼び寄せたということで、獄寺・山本・了平・ランボが混ざっている。

「ランボさんからルーレット回すんだもんね!」

 基本的には普通のボードゲームと一緒だろう、一番に楽しみ始めたのはランボだった。
 特に問題は無いだろう、とその駒を進める先を見ていた。

「アホ牛、行ってこい」

 止まった場所の指示が全員分の飲み物を持ってこい、などという内容で、読み上げた獄寺に命令されている。
 それに対して何でランボさんがっ! とアッカンベーをしている。

「やだもんねー」
「……なら失格だぞ」

 さっさと失格にした方が、邪魔にならなくて便利だとでも思ったのか、リボーンはそう宣言した。
 銃をぶっ放すことが無かったことにホッと胸を撫で下ろし、綱吉は次にルーレットを回した。
 特に問題のあるマスじゃなかったために次の人が回すのを待った。
 ――と同じマスに止まった。

「同じコマに止まったら羽子板対決だぞ」
「10代目と対決だなんて、無理です!」
「ダメだ。これは絶対だぞ」

 命をかけろ、とまで銃を取り出すリボーンに綱吉が叫ぶ。

「そういう問題じゃねぇだろ!」

 突っ込みは無視をされ、羽子板を互いに持たされ向かい合った直後、羽を獄寺が自分から落とした。

「負けた方に落書きをしないとダメだぞ?」

 ここは眼の周りに丸を描くといいんだぞ、とリボーンに指示されて綱吉は仕方なく筆を手に取った。
 黒い丸を眼の周りに描かれて、どこかパンダのようになってしまっている獄寺が大人しく盤ゲームへと戻った。
 その後、恭弥と同じマスに止まった綱吉が、キョウちゃんに墨なんか付けられないよ! と叫んだ後、自分から負けてほっぺたにバッテンを描かれている。

「10代目に何をするー!」

 綱吉の頬に描かれた墨に獄寺は恭弥と同じマスに止まって落書きしてやる! と誓っていた。

「次はオレだな。えいやっ!」

 極限に力を入れた了平がルーレットを一旦外してしまった後、やり直していた。
 優しく回すようにお願いされていた。

『タコに乗って来い』

 そんなマスに止まって了平はタコに乗りに旅立った。
 最初、そのマスに止まった瞬間。

「タコヘッドに乗ればいいのか?」
「何言ってやがる芝生頭ー!!」

 なんていう騒ぎが起きたのは仕方ないことだろうか?
 それから了平はまだ戻ってこない。
 どこまで行ったんだろうか?
 乗れるようなタコは、ヨロイダコくらいしか無いだろうから、探しに行ったのかもしれない。

『お神酒を一気してこい』

 そんなマスに止まった山本は倒れてしまった。
 急性アルコール中毒ではなく、ただ酔って眠ってしまっただけだったことから、隅にタオルケットを一枚かけた状態で放置された。

『餅をついて皆に配れ』

 そのマスに止まった獄寺は、10代目のために美味しいお餅を用意して参ります! と叫んで部屋を飛び出していった。

「んじゃ、次はオレか」

 クルクルと回したリボーンは、進めた駒を睨んで固まったように動かなくなった。

「どうしたんだ? リボーン……」

 止まったマスを読んでみた綱吉は、溜息を吐いた。

「悪巧みするからだよ、リボーン」
「…………チッ」

 舌打ちをしたリボーンは悔しそうにポケットに手を伸ばした。

『同じ部屋にいる全員にお年玉を配ること』

 そう書かれたマスに止まったリボーンは、部屋に残っていた全員にポチ袋に入れたお年玉を配るのだった。




「……まぁ、皆で遊べたのは楽しかったかもしれないけどさ」

 暗殺者になって終わった恭弥が一位になった。
 綱吉はマフィア構成員1みたいなキャラクターになってしまい、リボーンに鼻で笑われたが一番にゴールしていた。

「面倒だったんだけど、僕」
「まぁ、そう言うなって」

 リボーンに優勝商品を手渡された恭弥は仕方なく頷いた。
 そのリボーンは情報屋になったらしいが、何度も暗殺者に転職しようとしていた。
 その動きが多かったために一位にはなれなかったようである。

「残りの冬休み中、邪魔しないでよね」

 綱吉の手を掴んだ恭弥は部屋を出て行く。

「何しやがる、ヒバリー!」

 獄寺は『ボスに抜擢される』なんてマスに止まってしまい、ボスは10代目です! などと叫んでいた。
 ちなみに、獄寺は最下位である。

「獄寺君、ストップ!」

 もうお座りとでも言わんばかりの綱吉に獄寺は大人しく座る。

「10代目ぇ……」
「また、新学期にね」

 またね、と綱吉は恭弥に付いていってしまう。

「またな〜、ツナ」

 天然にも笑った山本に手を振って扉を閉じてから、綱吉は恭弥に笑いかけた。

「今年もこういう迷惑かけちゃうかもしれないけど、よろしくね、キョウちゃん」
「ん、よろしく」

 恭弥の家へと向かう二人は笑い合った。





今年もよろしくお願い致します。

2010/1/2 作成




過去の年賀メール限定お正月話たちでした・・・
戻る