移動中の会話はほとんど耳に入らなかった。
(ほかげ様の前で話さないといけない。けど、認められない、いやそれより、また嫌われたらどうしよう)
それしか考えることは出来なかった。
いつも間にか里の役所へと到着する。
世都さんは受付みたいなところへ早速行き、名前と用件を手身近に伝える。
伝えられた方はリストを見てから私たちを奥へと通した。
その先は通路となっており、とある部屋の前で立ち止まる。
世都さんは握った手の先を確認してから扉を叩いてくれた。
「火影様。入ってもよろしいでしょうか?」
「ああ。今はわし以外おらん。入っておいで」
火影様の声は年季の入ったおじいさんを連想させた。
世都さんが「失礼します」と言って入る。私もそれに倣う。
その部屋で待ち構えていたのは想像通りの人だ。
「うむ。血塗れの服を着ていた時はたまげたが、きちんとした服を着たらかわいいのう」
「あ、ありがとうございます」そんなこと言われたのは初めてなので、自分でも赤面しているのがよく分かる。
「では、本題に入りたいから準備をしておくれ」
「はい」
そう返事をした世都さんが、扉へ近づき触れようとした時。勝手に開いた。
「失礼します火影様。追加の書―」いきなり書類らしきものを手放し、素早い動きで私と火影様の間へと入り込んだ。
「火影様へ手を出すな!」
あまりに唐突すげて、三人には支離滅裂な発言に聞こえた。
「どういう事かわしらに説明してくれんか」
「はい。火影様には大変無礼ですが、背を向けたまま説明させていただきます。
まず、私が持ってきた書類をご覧ください」
一番近くの世都さんが手に取る。
「いったい、書類とどんな関係が…!」
「どうした?」
「まちちゃん。いえ、恐仁 魔血の指名手配書です」
…ショックだった。今から率直に自らのことをばらし、頼みこもうと思っていたのに。こんな形で…
「さらに、別で付いていた紙に詳細が書いてあった」
ああ、またここでも嫌われるのか。
「『自分の一族を分家を含め全滅させ、里抜けをした』」
イヤ、ソノ前ニ殺サレルノカナァ
「だから「すまんが、今すぐ話をやめてここを立ち退いてくれんか?」
「えっ!しかし「それとも、私と火影が名だけの者だと思うのかい?」
「い、いえ。し、失礼しました」
火影様と世都さんが半ば無理矢理追い出した。そして世都さんは扉を閉めて錠をかける。
「出セナクシテ、ドウスルツモリデスカ?」
「ん〜、とりあえず、質問かな〜」
「ソノ後殺スノデスネ」
「何か誤解しておるようじゃからはっきり言うが、わしらは捕えようとも殺めようとも思っとらん」
「エッ…」
どうして!あんなに大切なことを隠していたのに。向こうでも嫌われて、殺されそうになったのに。
指名手配書だってあったじゃない!
思っただけのつもりだったけど、知らずに声に出していたらしい。
「それはね。それら偏見をもつ前にまちちゃんを見たからだよ」
「?どういう事?」
「おぬしの目はとても澄んでおる。そういった者は自らの利益よりも他人の幸せの為に行動ができるのじゃ。
今までも何人か見たが、今のところ例外はおらんぞ」
その、一言が、「うっ」とても、嬉しかった。「うわ〜ん」
私の体感時間で一時間ぐらい泣いてからやっと落ち着いた。
「さて、わしらから質問をしたいが、次の日が良いか?」
私を気遣ってのことだろう。だけど…「いえ、今から言います」
と指名手配書に書かれてなかった事、親は殺されそうだから殺してしまった。分家は自爆をしてしまった。
里に留まると絶対殺されるから逃げた。
と、自らの一族である恐仁一族についての事を伝えた。
それを聞き終えた火影様は、少し考えた後「条件付きでならよいぞ」こう告げる。
不安は少しあったけど、踏み込む。
「その条件とは何ですか?」
「名前を変えてくれんか。さすればわしから『恐仁 魔血』は死んだと伝えれば追手を引かせるだろう」
「はい、いいですよ」即決だ。
「本当に良いか?」
「はい。この名は嫌いですから」火影様の心配を減らす為ではない。本音だ。
「どうしてかな?」どうやら世都さんも心配らしいので、説明することにした。
「一族のことはさっき言いましたよね?」
「「ああ(そうじゃな)」」
「私は吸血鬼の血が濃いのです。それで親にすら恐れられました。
なので、“悪魔の血を継いだ者”としてこの名を付けたのだそうです」
「なるほど。なら変えよう。まず氏だが、世都。おぬしの名を継がせてもよいか?」
「…はい」
「そして、名だが、う〜む…どうしようか」
「火影様。名はひらがなにしてはいけないのでしょうか?」
「出来れば変えたいが、まち。おぬしは良いか?」
名前が変わる。そして、何よりももう脅えなくてもいい。
その二つのことで頭がいっぱいなので、深くは考えずに二つ返事をする。
「分かった。ならば、最終確認をしよう」
ここで二人が急に雰囲気を変えた。さすがに私の思考を中断させ、火影様の方を向く。
「おぬしは夜空 まちの名で木の葉の一員となるのを誓うか」
「はい。この血にかけて」
「良い返事じゃ」
こうして私は第二の人生を歩むこととなった。
その後、新たに父となった世都さんの下で修行を行い、実力が認められ暗部へ入団。“紅魔”の名は有名となる。
そのまた数年後。暗部の任務としてアカデミーへと入ることとなり、そこでうずまきナルトと出会うこととなる。
清水さんから頂きました。
頂いたって、何か語弊がありますね。
長くメル友をして頂いております。
こんな私と長く・・・ありがとうございます(ぺこり)
私が書けないでいる二十万打の小説のキャラのお話ということで、サイドストーリーです。
とっても、まちちゃんが可愛いですv