バキリッ。
 応接室にいつものように入り浸っていた綱吉の掌の中でボールペンが折れた。
「あいつ、いい加減ムカつく」
 青筋が浮かぶ程に怒っている綱吉を見るのは初めてだ、と恭弥は心配そうに近付いた。
「大丈夫? 何をそんなに怒っているのさ・・・」
「だって、キョウちゃん」
 キョウちゃんのことをかぎまわっている奴がいるんだよ!?
「殺してやりたい・・・」
「ツナ、物騒だよ」
 落ち着きなよ、と落ち着くように撫でるが、綱吉の怒りは収まらない。
「自分をかぎまわられることと、キョウちゃんをかぎまわられることにこんな心境の違いがあるとはね・・・」
 怒りがふつふつと湧いてくるよ・・・
「へぇ? そんなのいたんだ?」
 全く気付いてないなぁ・・・
「そんなに気にしなくてもいいじゃない」
「そうはいかないよ。今度、しっかり身体に言い聞かせてくるけどね」
「ふぅん。誰にも目撃されないように気をつけるんだね」
「わかってるよ」
 さらりと笑って、綱吉はそれじゃ今から行ってくるよ、と席を立つ。
「待って」
 その綱吉の腕を掴み。
「今日じゃなくてもいいじゃない」
 力加減を誤りそうな今日それを行わせるよりは・・・と綱吉を引き止めて、抱き付いた。
「分かったよ。今日もキョウちゃんの所に泊まるね」
「うん」
 そのまましばし抱き合ったまま時間を過ごした。



 翌日、綱吉は校舎の影から目当ての人物を待ち構えていた。
 通りがかった奴を引っ張り、誰にも見えないように校舎裏の人気が無い場所に連れ込む。
 突然の出来事に相手は驚いて、途中でふわふわした栗色の髪の毛とその顔立ちにダメツナこと沢田綱吉だと気付いた。
 今まで全く関わりあうことが無かったが、最近はクラスの中心人物たちと仲が良い様子で、たまに絡まれている姿を見かけることがあることを思い出した。
「えっと、さわだ・・・だよな?」
 そう尋ねるように言ってしまうのは、その表情が普段見かける表情とは全然違うからだ。
「当たり前だろ。んで、だ。そこのパッツリ」
「ぱっつ!? な、何が!?」
 指差された前髪に、母に切られた前髪を思い出し涙目になる。
 それか!!
「お前、最近、かぎまわってるだろ」
「かぎまわ・・・?」
 何をだ? ってか、こんな奴だっけ? こいつ・・・
 睨み付けられる視線の強さに、身体が硬直してしまう。
「一目惚れした女子生徒を探してるんだって? それに対して文句が言いたくて・・・」
 ウザイんだよね、オレの彼女の周りをかぎまわられると。
「病院送りにしてやろうかと思ってたんだけど、昨夜止められたからな」
 今回ばかりは見逃してやるよ。
「二度と近寄るな。わかったな?」
 そう脅されてようやく気付いた。
 こちらの彼が本当の沢田綱吉なのだと。そして、二度と近付くなということを刻み付けるためにこうしたのだと。
 もう言いたいことは全て言った、とばかりにオレを置いて去っていく。
 その視線の強さに射抜かれていた恐怖が去っていくことに、足の力が抜けていくのを感じた。

 オレ、山田太郎と同じような平凡そのものな、並盛中に相応しい少年じゃないかと思っていたのに・・・
 二度とこの彼に会わなくて済むように過ごしたい、その場にへたり込みながら、つくづくそう思った。





太郎の不幸シリーズだなw
いちごぱんつ編がスレツナ様で起きた場合、みたいな。
でも、基本的に太郎シリーズみたいにずっと不幸になり続けるわけではない。
スレツナ様だと、これだけで後は無視されて終わるものw

2009/5/25 作成
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