転生して、今回は日本じゃないのか、とのんびりしていた。

「骸もツーもいないね〜?」
「だね」

 綱吉と恭弥はのんびりと店に座っていた。
 今回綱吉はこの店の一人息子に生まれていたため、店番をよくしている。

「今度新婚旅行にでも行ってみる?」

 そうしたら二人のどっちか、くらいは見つかるかも? と笑ってみせた。
 不思議な世界観の中、一度として住む場所から出ていない綱吉はそう提案した。

「それもいいかもね〜」

 どこまでものんびりした土地で、静かに暮らす二人は、雑貨屋を営んでずっと暮らせば良いか、と思っていた。


「しっかし、忍者なんて時代錯誤にも程があるよね」

 そう、この木ノ葉の里の代表的な職業は忍。
 一応二人も忍者アカデミーに通学はした。
 しかし、恭弥は全く術が使えず、綱吉は卒業試験で当たった術が苦手で落ちた。
 別に忍になる必要無いから、と退学の届け出をし、二人のんびりとしているのだった。

 詳しく説明すると、チャクラと死ぬ気の炎の使い方が似ていて、チャクラとして使用しようとするとうまくいかないのだ。
 元々炎が大きい恭弥に繊細な力加減が難しかったらしく、確実に威力が弱まるのだ。
 炎を通した武器とチャクラを通した武器の威力の差は、ゆうに三倍近く。
 そんな事実があれば、恭弥がチャクラを放棄するのは仕方ないだろう。
 一応練れるので術は使えなくも無いが、綱吉と二人きりの時にしかやったことが無い。
 綱吉は、と言えば分身の術が使えないのだ。
 なんで二人になるのさ! と意味が分からなかったらしい。
 残像とも違うそれに、理解ができず発動しない。
 卒業試験が分身の術ならば卒業できないし、とあっさり退学届を出していた。

 そんな二人の戦闘能力は、と言えば、完全に前と同じだけできるので、そんじょそこらの忍に敵うわけが無いレベル。
 実際に比べていないため不明だが、勝てる人は稀だろう。
 手の内が明かされてないため、確実に影にも勝てるだろう。
 そんな現状にあろうと、二人で幸せに過ごせるなら関係無いと二人は平和だ。





「キョウちゃん、ツナ君〜!」

 ハートマークを大量に飛ばした声と共に抱き着かれた。
 骸か、とあっさり頷き、腕を外させる。
 恭弥に、綱吉に長く抱き着いたままにしておくのが嫌だったのだ、綱吉が、恭弥が。

「今回も仲良しさんのようで何よりです!」

 キラキラと顔を輝かせ、全身全てで感情を伝えて来る骸に苦笑する。

「とりあえずそこで話でもするか」

 甘味処甘栗甘へと骸を誘い、席へと着いた。


「お前今どこに……何してんだ」

 そう突っ込みたくもなるだろう。
 今までいた場所等を聞こうとしたが、ウェイトレスに端から順に甘味を大量に注文していれば文句の一つや二つ付けたくもなる。

「だって、甘栗甘と言えば美味しい甘味処として他里でも有名で!!」
「あら、お客さん、ありがとう」

 ウェイトレスが嬉しそうに笑う。
 そうだとしても、その量はありえないだろう……

「これはおまけです!」

 大量に頼んだ甘味に机が埋め尽くされ、最後におまけが手渡された。
 瞳をキラキラさせながらスプーンに手を付けた。
 そこから始まったのは視覚の暴力と言って過言で無い時間。
 酷い状態に、綱吉と恭弥が少し具合悪くなる。

「お前いつから、んなに甘味好きだったっけ?」
「いつから、って……二人に会ってから、でしたっけ?」

 平然と答えられて溜息を吐く。
 そんな事実知らない。
 今までそんなに食べていたこと無いはずだ。

「……良かったらこれも食べて」

 コーヒーにお茶うけとしてついてきたクッキーを恭弥が渡す。
 流石に具合悪くなったためのようだ。

「ありがとうございます!」

 なんか小さな子供に餌付けをしてるような気分に駆られながら、軽く頷く。

「大好きです、キョウちゃん!」

 ケーキを頬張る骸が笑う。
 やっぱりどこの幼児だろう?
 いや、気にしちゃダメだろう。



「お前、今までどうしていたんだ?」

 腹がくちたのか、満足したらしくお茶を優雅に飲む骸に問い掛けた。

「音の里という所でお世話になってて、今回中忍試験の受験に来ました!」

 でも、ツナ君たちがいるなら、こっちに残りたいな〜と呟いている。

「中忍試験? ――あぁ、あったな」

 話は聞いている、と頷き、それで額宛てをしてるのか、と納得する。
「僕の目的は甘味めぐりですけど」
 あっさりと明かすその言葉に、頭痛を感じる。

「お菓子の妖怪みたい……」
「何を今更? 最初の時から二人共お菓子妖怪って呼んでくるじゃないですか」

 そう言う骸に、互いが知る相手では無いとようやく三人共が理解した。





 でも、キョウちゃんはキョウちゃんで、ツナ君はツナ君ですもんね!
 それで納得したらしい骸はそれから毎日のように綱吉たちの元を訪れている。
 最初は違うことに対する違和感が拭えなかったが、根本部分では骸であることに変わりは無いと理解した。
 それであれば構わない、と受け入れることはやぶさかでは無い。
 そうして中忍試験の内容などを聞きながら時は過ぎていった。
 そして今日は中忍試験本戦。
 昨日来た骸が見に来て下さいね! と叫んでいたが、綱吉も恭弥も店でのんびりしていた。
 そんな闘っている所なんか見たら戦いたくなるじゃない、とは恭弥の言だ。

 周りの商店街の店の多くは閉店している。
 みんな見に行っているのである。



 わぁ! ぎゃあ! という喧騒が外からする。
 今まで会場が遠いため静かなものだったのに。
 どういうことだ? と綱吉は店の入口を見た。

「――」

 無言で押し入ってきた覆面の忍者が刀を振りかぶった。
 あっさりと避け、綱吉はその忍者へ手刀を落とした。
 店内でお休みになってしまった忍者を軽く拘束すると額に馬鹿と油性マーカーで記載した。

「キョウちゃん?」

 入口から外を見た恭弥が舌舐めずりをして武器へと手を伸ばす。
 トンファーを一撫ですると恭弥はドアから飛び出した。
 キョウちゃんなら大丈夫だろうと、のんびりと綱吉は店の戸締まりをする。
 玄関の鍵をかけて恭弥を見れば、トンファーを隠しにしまう所だった。

「これさ〜、骸の里だよね?」

 足元の額宛てに描かれた形に言う。

「そうだろうね」
「……骸殴る」
「うん、僕も」

 コクコクと頷き合い、試験会場へと向かった。





 試験会場までの道も、会場も、全て他里の忍たちにより攻撃されていた。
 その隙間を縫うように会場に入り、敵のボスだと思われる蛇みたいな奴と向かい合う火影が見えた。
 それを見た綱吉は、死ぬ気の炎で上空からイクスバーナーを放った。
 折しも大蛇丸が穢土転生で歴代火影を召還しようとした所だった。
 一直線に向かってくる光に、移動が出来なかった大蛇丸は目の前で三つの棺が焼却されたのを目撃した。

「何よ!」

 結界の外からの攻撃に大蛇丸は驚く。
 結界作りに特化した四人衆の作る結界は、外から壊れるものでは無かったはずだ。
 大空の炎の属性は中和。
 その属性により結界は掻き消えたのだ。

「オレたちの平穏を壊すってことは、死も覚悟の上だろうな?」

 上空から揺らりと降りてくる綱吉。
 恭弥もトンファーを手に二人へ切迫する。

「何者じゃ!」

 額宛てもしていない綱吉たちに、三代目は声を上げる。
 先程のような攻撃ができるのなら、知っていないとおかしい、と。


「キョウちゃん、ツナ君!」

 二人を見付けた骸が嬉々として走り寄ってきている。
 ――かと思えば、大蛇丸へと視線を向けた。

「こんなことして、どうする気ですか?」

 大蛇丸が支配する里の出身である骸のことは分かっている。

「そんなの……っ! あんたが悪いのよ!」

 お菓子教って何よ!

「あたしの里がいつの間にか、上層部でさえ『お菓子の里』とか呼び始めたのよ!」

 悲鳴を上げる大蛇丸に綱吉が何となく想像がついた、と溜息を吐く。

「お菓子を馬鹿にするとは何事です!」

 怒って幻術で大蛇丸を攻撃する。
 阿鼻叫喚の坩堝と化す会場。
 そんな中、暴れ足りない、と恭弥はトンファーで大蛇丸を護るために寄ってきた四人衆を筆頭にした忍たちを倒す。
 先程の骸と大蛇丸の会話で脱力した瞬間にハイパー化が解けてしまった綱吉も同じように暴れる。
 三人の無双状態に、周りは酷い状態になる。





「いい加減にするってばよー!!」


 全てを停止させる程の大声。
 それに会場中の視線が集中した。
「ツナヨシ、恭弥さん、骸! 止めろってば!」

 その呼び方、灯った額の炎、その視線の強さ。
「……やっぱお前だったんだ、ツー」

 以前アカデミーの中で見かけた時に気になったわけだ、と頷いた綱吉が呟く。

「な、ナルト……なんでお主がここに……」

 我愛羅を追い、会場を後にしたはずのナルトの姿に三代目が呆然としている。

「イクスバーナーが見えたから影分身置いて戻ってきた」
「なんかやってたなら、来ちゃって大丈夫なのか?」
「あぁ、巨大で攻撃するのに手を拱いていたし、イクスバーナーで仕留めるように……ぁ、やったみたい」

 空を流れていく残炎に呟く。

「まぁ、イクスバーナーならな」

 それくらい可能だろうな、と頷いた。





 我愛羅を止めた後は原作通りに進めたが、チャクラ切れ、などと呟いて掻き消えたそうだ。
 流石に影分身にイクスバーナーを使わせるのは無茶だったか、と家継はぼやいた。
 大蛇丸は、と言えば、骸が激しく折檻したために、死にかけている。
 お菓子を馬鹿にした報いです、と骸は平然としていた。
 綱吉と恭弥がどこの誰なのか、と丁重に遇した三代目のおかげで、雑貨屋を営む木ノ葉の住人でアカデミー自主退学をしたと教えてもらえた、
 あれは忍術では無い、との説明と、忍者になるつもりは無いと二人は勧誘を切って捨てた。



 それからの四人は、と言えば。

「シュークリーム作ってきましたー!」
「あ、オレも食うってば!」
「ちゃんとありますよ」

 お菓子好きに悪い人はいません!

「えっと、もう一人の綱吉君でしたっけ?」
「家継で良いってばよ?」

 いつもの骸とは違うから、今まで通りの関係ではいられないかと思われた四人だが、骸であることの根本には変わりが無く、攻撃手段がお菓子に偏っているだけだと理解したためにあまり変化は無い。
 元々、あ〜そびましょ♪などと訪問してきたりする骸だったので、子供は甘いものが好きだろうから違和感が少ないことも関係しているだろう。
 どこか暗い六道を巡った陰鬱も表に見せないだけで持っていることが、付き合いの長い三人にはよく分かったのだ。
 そんなこともあり、四人は仲良くやっている。



「そーいや、ツー」

 もぐもぐとシュークリームを食べていた綱吉が家継に話しかけた。

「ん?」

 口に入った皮を飲み込みながら首を傾けた。

「なんで『てばよ』なんて付けてるんだ?」
「え? まさかツナヨシたち知らないの!?」

 結構有名だったよ、『NARUTO』!

「やってたでしょ、漫画にアニメ!」
「ナルト――あぁ、あったな」

 すっかり忘れ去った記憶の片隅から引っ張り出したものを思い返す。

「九尾の狐と忍者の話だっけ?」
「そう、それ! 主人公がうずまきナルトって名前で口癖が〜〜ってばよ」
「へぇ……ってことはお前今そんな名前なんだ?」
「そこから!? オレ普通にナルトって呼ばれてたでしょ!?」
「知らね。ツーはツーでしょ」

 言い切られたことが寂しくもあるが、お前はお前だと言われることは幸せでもある。
 どう変わっても綱吉の兄弟でいて良いと言われているようで……
 複雑な笑みを見せた家継を軽く笑ってから綱吉は真剣な表情を向けた。

「骸は一番上が頼むから里から出てってくれ、って言われたから今みたいに毎日こっち来ても大丈夫」
「えぇ、たまに新しいお菓子の開発に声がかけられる程度です」

 趣味のお菓子巡りとその評価を書いた評論本を作っている毎日だ。

「で、ツーは大丈夫なのか?」
「え? 何が?」
「オレこないだお前がリンチに遭ってんの見かけたんだけど」
「あ〜、あれね」

 狐に乗っ取られた、などと言い掛かりを付けて攻撃されてたな、と頷く。

「ま、いつものことだよ」
「それで済ませんな!」
「家継君はかなり強いのに、命いらないんでしょうか……?」

 意味がわからない、と骸が首を傾げる。

「たいした怪我もしてないし、すぐ治るからさ!」

 だから物騒なこと言わないで、と家継がまぁまぁと言う。
 しかし、九尾の狐の力で治りがかなり早いんだ、などと言われたら不安にしかならない。

「やっぱりヤるべきか……」

 最近勧誘もウザイし、と綱吉が考え込む。

「だから止めてってば! オレなら大丈夫だし」

 慌てる家継に物騒な笑みを浮かべ始める綱吉と骸。
 僕の力なら命に別状はありませんよ、などと幻術でお菓子責めにすることを提案したりしている。
 困った家継は、参戦してこない恭弥をすがるように見た。

「まぁ、僕たちの判断で里攻撃して抜ければ良いでしょ」

 あまり変わらない結論を出されて家継は泣きたくなったのだった。



 この後の木ノ葉の里の存亡も、里人たちの命も、全てはこの四人にかかっている。
 それを知る由も無い人々は復興に向けて力強く生きていた。





ナルト世界と成り代わりのダブルミーニングですね。
脱力設定混じりでごめんなさい。骸だけがイレギュラーです。
お菓子の里ネタは心の友の協力によりできてます。
お菓子の里話は無いわけでは無いですが、書くと酷いことになりそうなので、止めておきます。
誰得、需要無いだろう、こんな話を書いていてごめんなさい。

2010/5/3 作成
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