家継は今限りなく困っていた。
 今まで何度も転生し人生を繰り返した時も、嫌々マフィアのボスになったことも沢山あるけれど、これは無い。

「この間の術教えろ!」
「そうよ、何なのよアレ」
「めんどくせーけどゲロした方がいいぜ、いのはこえぇぜ」
「シカマル!」
「勝手に強くなってたってどういうことだよ、ナルト」
「……キバのはただ手加減されてたとしたら悲しい……という意味だ」
「ナルト君……教えたらダメなの、かな?」

 だったら悪いのだけど……
 でも知りたい、と下忍同期の面々に詰め寄られていたのだ。

「え……いや、教えたらダメとは決まってないけど……」

 そう、ただ別世界の技術ってだけだろうし。


「なら教えて!!」


 数名の声が重なったそれに押されたように「お、おぅ」と承諾したのだった。




 復興を目指しバタバタとしている現在、下忍たちがやらされる任務は力仕事ばかり。
 今日の分は終わりだと解散した直後のそれだった。
 死ぬ気の炎についてなら、まずは座学でいいよな、と家継は座り込んだ。

「まず、オレのこの間の技はイクスバーナーという」

 自身の炎を溜め一気に放出しただけだ。

「炎? チャクラとは違うの?」
「似て非なるもの、だってばね」

 死ぬ気になった時に出るものだから……と言いながら指輪に炎を燈す。

「オレンジ色……」
「オレのは大空属性だから」

 属性によって色も効果も違う。

「その指輪が無いと使えないの?」
「一応そうだけど、属性に合った指輪じゃないと無理だから」

 手を出すな、奪い取ろうとするな、マジ待て!
 というか、これを渡したとして使える人……このメンバーの中に大空属性……いるのか?


「属性調べに行くってばよ〜」

 わからなければ実際に試してみるしか無い。

「ぇ? どこに?」
「まぁいいからいいから」

 どこに向かい始めたのかわからない家継の後について全員移動を開始した。




「こんにちはー」

 雑貨屋の扉を開いた家継に同期たちが不思議そうに続く。

「お、客いっぱいだな、いらっしゃい」

 歓迎する店員に困ったサクラがいのに話しかける。

「こんな店で何がわかるのかしら…?」
「さぁ?」

 綱吉に家継は手を合わせる。

「ツナヨシ、リングあったよね?」

 ちょっと都合してくれない? と頼む家継に綱吉ははは〜んと言った。

「炎のこと教える約束でもしちゃったんだ」
「そ。全属性で試してもらえないかな?」
「そういうことなら……」

 Dランクのだけど無料であげてもいいよ。

「試しなら充分だろ?」
「まぁ、そのままもらえるなら確かに」

 多少の練習にも使えるだろうし、無料ってあたりに何か作為を感じるけどいっか。

「じゃ、そこらに座って」

 売り物の椅子などに座るよう指示して綱吉は扉に鍵をかけた。
 今日は閉店、とCLOSEDの札を下げカーテンを引く。
 これで外から見られることも無くなった。

「ツー、そこのホワイトボードに属性書け」
「はいはい」

 虹の絵と並べて書いた属性と炎の色を子供たちは見詰めている。

「大空だったからオレンジだったのね……」
「そういうこと」
「他の色見せてやった方が良いか?」
「あぁでも骸いないし、きょうやさんは無理じゃない?」
「いや、後でお前が相手してくれれば……」
「何その死亡フラグ!?」

 咬み殺されろって!?

「ツナヨシが宥めれば――」
「大丈夫大丈夫、死にはしないから」
「……はぁ」

 これは言っても無駄だ、と諦める。

「炎の扱い方修行で講師お願いしようかな〜?」

 期待のルーキーたちだし、多少の歯ごたえはあるだろう。
 自分への火の粉を少しでも減らそうとそんなことを考える。
 ぼやきながら家継は頷いた。
「今から雲のバイオレットの炎見せてもらうから」

 綱吉に呼ばれて出てきた恭弥が流れるようにトンファーに炎を行き渡らせる姿を見た。

「綺麗………」

 魅入られた彼らを牽制するかのように綱吉が冷ややかな声を出す。

「オレの嫁に手ぇ出すなよ?」

 その言葉に同年代だよね!? と子供たちは焦ってしまうのだった。
 まさか結婚しているとは思いもしなかったから。
 それ以前に、ただ綺麗だと見惚れただけで思考が飛躍しすぎである。
 ちょっと落ち着いてほしい、と子供たちは冷や汗を流した。

「チャ、チャクラと炎の違いについて教えて」

 誤魔化すように気になっていたことを尋ねる。
 そこがわからないと実践には持っていけない。
 頷いた綱吉が答える。
 家継はホワイトボードに性質を書き始めている。

「死ぬ気の炎とは覚悟の炎とも言って、強さを求める理由さえはっきりしていれば簡単に燈せる」

 理由を履き違えていると無理だが。

「怒りを原動源にしている人も、人を守りたいと燈す人もいる」

 大別すると綱吉だって守りたいが為だけれど。

「ある意味では生きる力そのものでもあるから命を燃やして死んでいく者もいる」

 家継は看取ったユニやγを思い出して表情を曇らせる。

「知っているだろうが、チャクラは体力と精神力を練り合わせたもの」

 属性はチャクラにも炎にも存在するからそこはいいとして。

「使える総量は変わらないけれど効率の差が出る」

 チャクラと違って最初から属性に合った使い方をするからな。

「大空は調和。ツナヨシがこの間その炎で結界消したよね」

 四人衆の作った最高級の結界を調和して無かったことにしたよね……と呟く。

「オレそういうのは分解の炎の役割だと思ってたってばよ」

 呆れたように言った家継は溜息を吐いた。

「まぁ使い所さえ間違わなかったら便利だよ」

 両方使えるのは。

「ちなみにキョウちゃん、うちの奥さんがやるとただチャクラを通した武器と炎を通した武器の威力差は約三倍」

 できることできないことさえ間違わなかったら最強だろうな、と言った綱吉に子供たちの瞳が輝く。

「ちょっ――ツナヨシ、騙すようなことは……」
「嘘じゃねーもん」

 嘘じゃなければ良いと言うものでは無い。
 炎の総量が多い恭弥を例にされても困る。

「ただ炎を通しただけでも雷属性だと硬化だからチャクラより使えるだろ?」
「それはそうだけど、サスケくらいじゃないってば?」
「あ〜……試してみないとわからないか」

 好きなの選んでやってみて、と綱吉が言う。
 めいめい指輪を嵌め念じるように瞳を閉じた。




 それぞれの属性は判明して、今後どうやって指導していったらいいか、などをつらつら考えながら家継は余ったリングを元の場所に戻した。
 使い捨てにするような使用方法はしていないし、今回はまだ匣も無いからと綱吉を見た。

「そういえば骸、匣持ってるのかな?」
「作ってやってはいないけど……」

 どっかから手に入れた可能性は〜と言い出す綱吉に家継は突っ込みを入れるように手を振り。

「この世界に匣は存在しないから!」

 普通に考えてありえない、と否定するのだった。


 灯した炎を見つめながら楽しげにしている下忍たちを見る。
 もう少し自分の炎を知る時間を取った方がいいか、と思って見ていたが、彼らも気になることが出てきたようだ。

「なんか濁ってる?」

 先程見せてもらったバイオレットやオレンジの炎に比べて暗い色合いの自分の炎に首を傾げる。

「それはランクが低いから仕方ないんだってばよ……」

 オレのは一応Aだし、恭弥さんのは多分Sだろうから……

「ん? 必要なら用意するぞ?」

 綱吉がニヤリと笑う。

「Sならフルオーダーになるから10万な」

 Aでカスタムして5万、Bなら千両から相談乗るけど……

「原材料を用意してきたならSでも千両で作ってやる」

 悪魔の囁きめいた言葉に瞳を輝かせた子供たちに家継が大声を上げる。

「待て待て待て! 原材料って命がいくつあっても足りないって!!」

 そんな口車に乗らないー!

「第一匣無きゃSとか宝の持ち腐れでしょ」
「えー、匣も要相談で一から作るのにー」
「ぁ、じゃあオレのも作れるってば?」
「ツーなら身内価格でいいぞ」

 その代わり実験台になるけど……

「こないだ見付けた体毛使ったから何出るかわかんないんだよなー」
「ちょっと待てー! それ死の森とか言わないよね? よね?」

 一尾とか九尾とか色々いたんですけど……
 ビクビクする家継に綱吉はにんまりと笑った。




 リングを貰った翌日。
 説明とリングを貰うだけで日が暮れ始めていたので、その日は解散となったのだ。
 早速実践に入れるのか! と子供たちはウキウキしていた。
 家継はひとまず炎を使うことに慣れてもらうことと実感してもらうことが一番だと教育計画を練ってきていた。
 教えるからにはちゃんと教えたい。
 その思いが強かったから、一晩かけて計画を立てたのだ。
 今日はチャクラと炎の力の違いと、炎の属性が見事にバラけていたのだから、他の人の属性も実感してもらって――と。
 属性に特化した内容は炎に慣れてから。
 一人では難しければ綱吉たちにも手伝ってもらうことも視野に入れ、色々と考えてきたのだ。

「じゃ、サスケやってみてってば」

 ただ何もせずに投げたものと、チャクラを通したものと、炎を通したもの。
 その三種類のクナイを木に向けて投擲する。
 それが家継の指示だった。
 見本にと呼ばれたサスケはあまり力が入っていない。
 アカデミー時代に前へ出ることも多かったからだろう。
 ストンッとクナイが軽く刺さる。
 何も考えずとも放てるクナイは流石サスケだと安心して見ることができる。

「だいたいでいいから同じくらいとサスケが思う量で」

 アバウトだな、と思いながら軽くチャクラを通す。
 木にめり込んだ部分は真ん中くらいまで。
 加減はできているようだ。

「炎はまず指輪に燈して。そう、その炎を刃に纏わり付かせるイメージで」

 エネルギーの扱いとしては同じだから楽でもあるが、チャクラに慣れているからそちらを使わないように気を付ける。
 サスケはこれくらいだろうと炎を調整し投擲した。
 少し位置がずれ、刺さったクナイに直撃コースだったそれは方向を少し変えて刺さるだろうと全員が考えた。
 同じ素材でできているはずのクナイがスパッと切れるとは思わずに。

「あ〜……流石雷属性だってばね〜」

 緑の炎は硬化だから思った以上に固くなったみたいだね……と呆れる程に感嘆の響きを帯びている。

「ちょっ、ナルト! クナイが!!」
「ちょ〜っと予想外だったってばね〜」

 いくらチャクラも炎も帯びてないと言っても、流石に……

「サスケ凄いってばよ」

 それだけの力があったらもっと色々楽だっただろうに……と過去を思い出して遠い目をする。

「同じことしてもらうけど、サスケのようにクナイがあんな風になることは多分無いから」
「なんで?」
「属性の問題だからだってばよ」

 この間教えた意味になるから、それを参考に修行を進めていくから。

「じゃ、早速やってみて」

 それぞれが炎について実感するように、と家継は一人一人回って教えていくのだった。

 そうして、彼らは着実に力を着けて行った。





オレ得にも程がある気がしましたが。
前回の続きです。
同期たちの魔改造の開始?(首傾)
まぁ、でも実際目の前で新しい力とか見せられたら気になりますよね!!

そして、書くつもりだった所まで辿り着けれなかった件。
まぁ、これ書いたの2月なんですが←
(つまり、続きも書かれている)

2011/4/2 作成
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