今から数百年前、
この土地を治める神とその神を祀る人が居た。

神の名は、九重(ここのえ)。
人の姿を取ることの方が多かったが、
その本性は九つの尾を持つ狐であった。

人の名は、汐流(しおる)。
九重の親友であり、神を祀る一族の当主だった。

汐流の孫、架依(かい)と、
九重の娘、三重(みえ)は、
幼馴染であり、とても仲良く育った。

架依は長じて神を祀る一族の当主となり、
三重に結婚を申し込んだ。

今まで共に過ごしてきた架依のプロポーズを受け、
三重は人の妻になった。


……そして、その子孫たちは皆、狐の血を引いている。




 里の其処彼処から悲鳴が響いている。


 ――― 子を亡くした母の嘆き

 ――― 親を亡くした子の泣き声

 ――― 夫を亡くした妻の悲鳴


 里を護るために立ち上がった忍たちが次々と倒れてゆく。




「四代目、本気でそれを行うおつもりですか?」

 本家の奥、当主のみが閲覧を許された書庫の中に2人の男が居た。

 一人は、神を祀る一族の現在の当主。
 もう一人は、木ノ葉の里の四代目火影。

「今日生まれた子供はちょうど、僕の子だけだからね」
「しかし、本来それを行うべきは私」

 影から護り続け、土地神を祀る家の当主は自分なのだ。

「僕は火影だし、それに、たまたまとはいえ九重の血を現在一番濃く引いてるのは僕だよ」

 かなり薄くなってきている血ではあるものの、先祖返りや血族同士が結婚することがあり、彼はその中でも濃い血を引いていた。

「どうにか怒りを静められれば……」
「無理じゃないかな。子供と伴侶が殺された怒りはそう簡単に収まるものじゃないよ」


(僕だって、この子と彼女が殺されたりしたら、ただで済ますつもりは無いよ)


 里は今、九尾の狐により襲われている真最中だ。


 ―――里人が妖だからと森の中で狐を殺したために……


「でも! まだ我が一族の者は手に掛けられておりません。……どうにか……」
「どうにかなるなら、もうすでにどうにかなってるさ」
「…………」
「それに、この書庫にも封印の方法しか無かったからね。……じゃあ、僕は行くよ」

 答えを返すことの出来なかった当主はガクリと膝を付き、涙を一筋流した。

「……どうか九重様をお救いください、四代目」




 四代目は、九重を我が子の腹に封印し、それと引き換えにこの世から去った。


――最後には、生まれて間もない子供だけが残された――













「三代目!! 私に預からせてください!!!」×7


 七人分の声が重なって聞こえた。
 三代目は抱えた子供が眼を覚まさないことにホッとし、名家の当主たちである彼らを見た。

「何を!? 俺が……」
「いや、私の方が……」
「同じ歳の子が居る私が……」
「それを言うなら、私の家にだって……」

 口々に、自分の方が相応しいと主張しだす。

「五月蝿〜い!!! 皆がこの子を預かろうとするのは有難いが、一度に皆で喋るでない!!!」

 三代目が耳を押さえながら怒鳴った。

「まぁ、仕方ないですよ。我等の先祖である九重様の器になられた四代目の子供ですからね」

 のほほん、と当主である春野マサキは笑った。

「私が育てると言っているだろうが!」
「こういう事は女性に任せておくべきよ!!」
「犬塚になど預けたら……!!!」
「失礼よ!何よ、その言い方……」

 堂々巡りに三代目は疲れきった溜息を吐いた。


「いい加減にせい!! 一族の当主ともあろう者たちがこのように子供のような争いをしおって!!」


 流石にその言葉に口を噤んだ七人は、三代目の様子を窺った。

「……春野、お主に預ける。風見の当主であるお主に。後は、あちらでどのような順番かで面倒を見るが良い! 任せたぞ!!」

 大切に抱えていた赤子を春野の手に預け、そして、それで終わりだと言う様にシッシッと手で追い払った。




「私が預かったから、最初は私が面倒を見る。一日交代でいいだろう? その後の順番はそちらで話し合おう」
「何故!? そんなのずるいわ!!」
「此処でくらい良い目を見てもいいだろう? 何のメリットも無い風見の当主をしているんだから!」

 確かに、何のメリットも無い。ただ神主だというだけで、仕事があるわりに収入も何も無い。
 だから、春野は別の仕事を持っている。

「だいたい、此処に居る皆が『名家じゃない春野がいいんじゃない? 私たちは家を継がなきゃいけないし』とか言って押し付けたんだからな!!」

 それを言われると誰も反論できない。あの時はこんなことになるとは思いもしなかったから、と悔しそうに唇を噛む者がちらほら。

「わかったよ。じゃ、次はどうする?」




「……話がつかないようだからジャンケンでもしたらどうだ?」

 やはり喧喧囂囂(けんけんごうごう)と言い合い、話がつかず公平にジャンケンで順番を決めたのだった。


 春野→犬塚→奈良→秋道→油女→山中→うちは→日向

と決まった。


「くそ〜〜!!」
「何故だ!何故勝てん!!」

 と、最後までうちはと日向は争っていた。
 その頃には、両者の眼が変化していたらしい。




 そんなこんなで順番通りに面倒を見続け2年が経った。

「抜け駆けだ〜〜〜〜!!!!!」

 たまたま奈良が当番の日に日向が来て叫んだ。
 どの人も自分一人で面倒を見ていたのに、彼は息子を連れてきていたのだ。

「違反だ!! 何をしている!!!」
「誰も子供を連れて来ちゃいけねぇとは言ってねぇだろ!!」
「くそ〜〜これからは娘を連れてこなければ……!!」

 そして、皆、自分の子供を友達にさせようと頑張ったのだった。
 あわよくば、自分の子供と恋人にさせ、ナルトを本当の子供にしたいと皆、考えていた。



「……もうすでに俺が連れてきて一年以上経っているとは誰も思うまい」

 くくく、と影で笑う奈良が居たというのは、ここだけの秘密だ。

後書き

移転に当たって書き直し&長さの見直しなどなど。
なので、プロローグと始まりは合体。
意味的には同じ意味だから、プロローグとします。

うちはや日向が嫌いなんじゃなくって、ギャクキャラです。・・・全員が。
当主はサクラの父で、勝手に名付けました。
そして、抜け駆けのため、ナルトと一番仲が良いのはシカマルです。

2005/ 5/15 作成
2007/ 2/20 修正

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