その日の朝、ナルトは朝一で三代目に呼び出されていた。
 待ち合わせには間に合わないかもしれないと、サクラとサスケには先に待ち合わせ場所に行ってもらう。
 三代目の執務室へ走って訪問し、三代目に声をかける。

「じっちゃん、朝早くにどうしたってば?」
「……ナルト、その口調は止めてくれぬか?」

 演技をしていると分かっていて聞くと、寒気がする。

「別にいいけど。今から任務なんだけど?」
「今日、Cランクの依頼が来たのだが、ちょっとCランクじゃきかない気がするのじゃ」

 任務内容を纏めた巻物をナルトへと手渡し、ナルトはザッと読む。

「……波の国まで依頼人を送る、ね」
「そうじゃ。この前、ナルトがガトーカンパニーが波の国を狙ってると言ってたからの」

 先日、風見家の間諜から入った情報の中にそんなのもあった。
 一応、そんな話があったよ〜と任務のついでに教えたのだ。

「これって、ガトーが狙ってるっていう橋のじゃん」
「そういうことじゃ。……ナルト、頼めるか?」
「仕方ないな」

 三代目の頼みは簡単に断れない、と溜息混じりにナルトは引き受ける。

「これは7班への依頼になるのか?」
「ダメかの〜? 他の班はCランクをやったことがあるが、7班だけは無いから調度良くないか?」
「そうだな……じゃ、今日の任務が終わったら、その任務が来るわけだ」
「そういうことになる」

 手にしていた巻物を閉じて三代目へと返す。

「班員には話しておくのじゃよ?」
「わかってるって! んじゃ、また後で!!」

 ナルトは来た時と同じように、ドベの演技をしながら走り去っていった。






 待ち合わせ場所に居たのは、サスケとサクラだけだった。
 待ち合わせ時間はすでに過ぎている(笑)

「おはようってば、サクラちゃん」
「おはよ。今日はどうしたの?遅かったじゃない」
「ちょっとじっちゃんと話してたんだってばよ。はよ、サスケ」
「おはよう」

 木の幹によしかかり、三人はのんびりと待つ体制に入った。
 暇潰し用の巻物がそれぞれの手の中にある。
 三人共がそれに目を落とし、しばしの時が流れる。

『どうかしたの? 時間かかってたじゃない』
『任務頼まれてたんだよ。Cランクの』
『C!? ……ってことは、7班で?』
『そうそう。明日出発とかじゃねぇ?』
『そう。わかったわ』
『内容は?』
『護衛だな。多分、BかAに上がる』
『……あぁ、だからオレたちなのか』
『そういうことになるな』

 隠話でカカシが来るまでに内容の説明を終える。


『それにしても、いつものことながら遅いわね〜』
『今日の任務って迷子ペットの捕獲だったっけ?』
『そうそう。大名の妻であるマダム・しじみのトラね』
『あいつ、脱走常習犯だって聞いたけど?』
『らしいな。任務書の中にちょろっと書いてあっただろ』
『猫っ可愛がりされてて、逃げたがってたんだろ』

 暇そうに適当な会話をしていると、ようやくカカシが現れた。

「やぁ諸君。今日は魚屋のおばさんに打ち水をかけられてね〜……」
「「はい、嘘!」」
『こいつ、殺していい?』
『ダメだって。こんなんでも居ると居ないじゃかなり違うんだろ』
『もう嫌……』

 遅刻癖に、ナルトに纏わり付くわ(現在進行形)にやってられない……とサクラが呟く。

『こんな奴が居て、マトモに任務が出来るのか?』

 サスケの疑問も仕方ないだろう。
 こんな状態で役に立つとも思えないが……頑張ろうか。







 猫を捕まえる任務をさっさと終わらすと報告へと向かう。
 受付には三代目が居て、次の任務はどれにしようかと紙を見ている。

「ん―――…………老中さまのぼっちゃんの子守りに、隣町までのおつかい、イモほりの手伝いか……」
『はぁ〜……(溜息)』
『任務決まってるくせに〜……』
『でも、あぁやって言ってるってことは、ナルトの演技が必要ってことじゃないか?』
『めんどくせー……』

 Cランク任務を受け取るために、ナルトの演技が必要ということだろう。

『でも、だったら、先に話を通して欲しかったっつーの!』
『まぁまぁ。それは後で文句を言うことにしましょ』
「ダメ―――ッ!! そんなのノーサンキュー!!オレってば、もっとこう、スゲェー任務がやりてーの! 他のにしてェ!!!」

 期待に答えて、とナルトが演技をしてやれば、イルカ先生がまず反応する。
 ついでに、カカシから拳骨が降ってきて、不穏な空気が流れる。

『……殺る』
『いやいや、ちょっと待て!』
『あ〜、殺るならわたしがやりたい〜!!』
『いや、だから……止めろよ?』

 そんなナルトたちの様子を見て、三代目も焦り始める。

「ナルト! お前には任務がどーいうものか説明しておく必要があるな…………」

 どうにかしようと三代目は焦っている。
 いい案が思いつかないので、時間稼ぎに任務について説明している。

(もういいから話進めてよ)

 パクパクと口を動かして三代目に伝える。
 ちょっとホッとした様子で三代目は口を開く。

「Cランクの任務をやってもらう。…………ある人物の護衛任務だ」
『護衛相手が変な奴じゃないといいよな』
『だよな』

 その希望は全く通らなかった。
 出てきたのは「超」を連呼するおじさんだった。

『ちょっとウザイ……』
『どうでもいい……早く終わらせて帰ってこよう』
『とりあえず行く準備?』
『皆にちゃんと話しておかないとね』
『だな』

 荷物の用意や行く準備などにそれぞれ帰宅する。
 それぞれとは言っても、帰る家は同じ場所なのだが……




「ってことで、明日から波の国に行くから」
「波? ……任務か?」
「そうそう。護衛任務なんだけど、ついでにあそこらへんの騒ぎも収めてくるか」
「ふ〜ん……どれくらい予定なんだ?」
「一週間くらいか?」
「カカシ居るんだし、2〜3週間みといた方がいいんじゃないか?」
「あぁ、それもそうだな……」

 居間でのんびりと話し込んでいた。
 準備自体はもうすでに終わっている。
 ……というか、元々ちょっとした任務に出ることが多いから持ち物の準備は終わっている。

「それにしても、波か〜……」
「長く居ない予定だから、適当に近場の任務でも片付けようかと思うんだけど」
「ストレス溜まりそうだし、賛成!」
「サスケもサクラも賛成みたいだから、闇の世界で取りに来るから」
「わかったわかった。ちゃんと用意しておく」
「頼んだぞ」

 サスケまでが念を押すように言う辺りで、カカシと一緒に長時間過ごすのは辛いということを理解して頂けると嬉しい。






 ナルトのことを火影になれたとしても認めないとか言ってしまったタズナの命は危なかった。

『……ねぇ? これ、消していい?』
『依頼人を消そうとするな!!』
『だって〜……ナルトを敵に回すってことは、風見家全体を敵に回すってことで……』
『つまりは、親戚の誰かに消されるってわけだな』
『オレは気にしてねーんだから、止めろよ?』
『『は〜い』』

 ナルトが止めなければ確実に危なかっただろう。
 その後のカカシの五影の説明は聞き流していた。

『気付けよ、ボケ!』
『そんな無茶言わないのv』
『何をどうしたって、こいつはカカシなんだからな』
『そりゃそうなんだけどな……』

 タズナの一瞬の反応を見逃すカカシに言いたい放題。
 見てない振りをしていたサクラとナルトだってしっかりと気付いていたというのに……

『あ〜、めんどー……』
『やっぱ戦えない振り?』
『ちょっとくらいならオーケー?』
『適当に。これくらいなら倒していいんじゃね?』
『わ〜いv じゃ、わた……』
『いや、サスケのが妥当だろ』
『ブーブー!』
『ナルト、サクラにゆず……』
『却下! ほら、やれよ』

 ナルトがわざとやられて、サスケの出番を作る。
 言われるままに前に進み出るサスケだが、隠話では話し続けている。

『わざと攻撃受けたのはどうでもいいが……』
『毒入ってたんでしょ? 大丈夫なの?』
『これくらいなら、サクラたちでも問題ないぞ』
『あ、そんなもんだった?』
『わざわざ毒盛るなら、致死量にしておけよな』
『だよな〜……』

 そうは言うが、一応一般人なら致死量です。
 風見家だから何の問題も無いだけであって、カカシだったら、数時間後にコロリ、とv

「ナルトの傷口を開いて毒血を抜くにも麻酔が要るし……里に帰って医者に見せないと…………」
「ん――――」
『実際、麻酔も治療道具も全部ここにあるけど〜♪』
『そりゃ、家で治療担当がお前だからだろ』
『しっかり入ってるわよv』
「ナルトの治療ついでに里へ戻るか」
『あ〜、あ〜もう! これだから判断能力が低い奴は……』
『カカシだもん。仕方ないわよ』
『それに、ナルトが毒への抵抗が強いことも知らないだろうし』
『いや! 九尾の影響があることを知ってるだけで想像可能だ!!』

 九重の影響で、回復力がずば抜けているとか、チャクラ量が凄いとか……そこらへんはカカシでも知ってるはずだ。
 諦めたナルトがクナイを突き刺し、毒血を抜く。

「ナルト……景気よく毒血を抜くのはいいが…………それ以上は……出け」
「ダメじゃないの、ナルト。ほら、手を出して?」
「サクラ、この包帯も使うといい」
「ありがとー」

 カカシの言葉を遮り、ナルトの治療を始める。
 言葉だけじゃなくて、ナルトに近付こうとしていること自体も遮っている。

『傷跡残したくないものね』
『家の傷薬程、効き目が高いのは無いからな』

 つまりはそういうこと。
 普通の傷薬でもナルトなら傷が残らないかもしれないが、念のため家のを使用したかったのだ。
 それに、カカシなら大丈夫だとは思うが、傷薬自体に毒でも盛られると困るからだ。

「はい、終了」
「ありがとうってば、サクラちゃん、サスケ」

 ニッコリ笑って二人に感謝するナルトであった。



 その後、タズナがガトーに狙われていることを聞き、情に訴えるような話をして国まで送らせることを承知させられた。
 ナルトたちにとっては、それも込みの依頼だったのだから、特に思うことも無いが……

 そんなこんなで、波の国へと入国した。







 ナルトが投げた手裏剣が身代わりのユキウサギに当たる。
 手裏剣を投げるな! とカカシに怒られ、それをせせら笑っている三人。
 そうこうしている内に、再不斬が襲ってきた。

『ねぇねぇ、ユキウサギ可愛いから連れ帰ってもいい?』
『邪魔になるから闇の世界にでも入れるならオッケ』
『は〜い』

 カカシが見ていない隙を狙ってユキウサギをゲットしているサクラ。
 再不斬の殺気にわざとらしく震えながら裏では普通に会話中。

『暇〜!!』
『カカシじゃ勝てるか微妙だし……』
『……つまんねー…』
『わたしたちに戦わせてくれない……わよね、きっと』
『だよなぁ。……やっぱし弱いよな』
『本気出したら再起不能かもねー(笑)』
『そんな姿も見てみたいけどな』
『一応、隠しといてやろうぜ。見えない所ならいくら動いてもいいから』
『『は〜い』』

 面白くないが、仕方ないと見守っていた。



 ……のに。

『負けるし……』
『捕まるし……』
『あぁ、もう!どうやって倒してやろうかな……』

 隠すことにすると、あまり下手な戦い方は出来ないし…と悩む。

「ククッ……偉そーに額あてまでして忍者気どりか……だがな、本当の"忍者"ってのは、いくつもの死線を越えた者のことをいうんだよ」
『はいはい。言ってなさいな』
『実際、死線なんていくつ越えたことやら……』
『っつーか、死線ってほどの死線は越えてなくね?』
『そうかもね〜』

 アハハと隠話の中では笑い合っている。
 余裕で倒したりしてきたし?と。


「つまり……オレ様の手配書にのる程度になって初めて忍者と呼べる……」
『載ってるんじゃねー?』
『木ノ葉の死神としてなら載ってそうね……』
『ひとくくりだろうけど』
『だろうな〜』

 嘲笑っている相手に、ナルトは額あてを踏みつけられ、ちょっとムカッときていた。

『あ〜ぁ、あんなに汚れちゃって……』
『別に額あてにそんなに執着は無いけど』
『嫌なもんは嫌だよな……』

 ということで、ナルトは啖呵を切って、再不斬に立ち向かうことにした。

「サスケ! ちょっと耳貸せ。作戦がある」
「何だ」
『とりあえず隠すってことで、倒せないけどな』

 ナルトとサスケが連携して、影分身を使用して再不斬の体勢を崩す。
 その隙によって、カカシは水牢の術から逃れられ、ナルトたちは交代となった。

『……ま、退けるだけなら下忍でも可能っつーことで』
『あいつは弱すぎな上、自意識過剰なんだ! 大バカだよな』
『そうよね〜。自分の能力をちゃんと把握しておかないと』
『オレなら写輪眼じゃないとキツイかな?』
『余裕をもって、というならな』
『そうじゃなかったら使わなくても……』
『あいつって、そんなもん? 一応、霧隠れの里の卒業試験がどうとか言うから、もうちょい上かと思ってた』
『下忍になるための試験と風見家を同等に扱うなよ』
『そうよー? 霧隠れの忍び刀七人衆とか言っても、イタチレベルらしいし』
『兄さんは強いんだ!!!』
『『はいはい』』

 サスケのブラコンは置いておいても、イタチと一対一で戦っても勝てる自信はある。
 その点に関しては、サスケも認めるだろう。



『あぁ、終わったな……』
『あんなんに騙されるカカシの実力って……』
『里一番の技師の名は、何処から来てたんだよ……』
『そんなの、コピー能力を示しているだけに決まってるじゃない』
『それもそっか』

 白の演技に騙されるカカシは扱き下ろされている。

『オレより年下って……オレは三歳の頃にはすでにカカシより強かったって』
『知らないって幸せね〜』
『無知こそ幸せだよな』

 カカシのナルトより年下でカカシより強い子供がいるという言葉に笑うしかない。
 そして、写輪眼の使いすぎで倒れたカカシを運ぶのを、めんどくさそーに溜息を吐く。

『めんどいから影分身……』
『そうね〜v どうせ、何も起きないでしょうし、闇の世界でお茶にしましょうか』
『そうだな』

 溜息を吐きたいのは自分の方だと、影分身は恨めしそうに本体をチラッと見た。


拍手再録です。
原作沿いってやってみたいよね☆
みたいな感じで。

やっぱり風見家って・・・

≪   戻る