「砂隠れの風影が暁という組織の者に連れ去られたと……たった今、連絡がありました!」

 その報告に、顔の表には出さずに怒りの感情を覚えた人がその場には居た。

「……これよりカカシ班に改めて任務を言い渡す」

 綱手が砂の里への任務を命じる中、怒りの感情を押し殺していた人は、自宅へと帰った瞬間怒鳴った。



「何やってんだー!! あの馬鹿共はー!!」
「ホントにね。どうしてやろうかしら……」

 冷笑を浮かべ、怒りを露わにはしていないがかなり怒っている様子のサクラ。

「……しかも、カカシセンセーが居るんじゃ実力の半分も出せないじゃねーか!」
「そうね。闇の世界で一瞬で行きたいものよね」

 黒いオーラを漂わせているナルトとサクラの様子に声を掛けることがしにくい他の皆。

「ナ、ナルト。めんどくせーけど、適当にやってこいよ」
「……わかってるよ」
「サクラ、あたしも行こっか?」
「いいわよ。こんなことに何人もの手を割いてる場合じゃないでしょ」

 音の里が動きそうだという情報を得ていたりすることから、暁に対するお仕置き程度で大人数を割いてる場合じゃない。
 それじゃなくても綱手から頼まれている任務も大量にあるのだから。

「ちょっとしたことでも、闇の世界ですぐに行くから呼べよ?」
「あまりにも嫌だったら影分身出して闇の世界に行くって」
「んじゃ、できるだけ闇の世界の中に居ることにするな」

 そんな会話を経て、ナルトとサクラはカカシと砂の里へと向かったのだった。





『ナルトォv お願い〜vv』
『……な、何だ?』

 猫撫で声のサクラの隠話の声に嫌な予感を覚えたナルトは答えた。

『チヨバアさまを助けたいの』
『今やってることからか?』
『そう。ちょ〜っと、お人形を作ってくれる?』

 九重の力を使って作った人形と入れ替えたいらしい。

『ん〜……でも、それで我愛羅が生き返らせれるか?』
『ちょっと多めにチャクラを流してあげればオッケーよv』

 ナルトはサクラに言われた通りにチャクラを多めに流し、チヨバアが死ぬのを手前で止まらせる。
 パタリとチヨバアが後ろへと倒れるのをサクラが支え、その瞬間に影分身が支える人形と入れ替わる。



『お仕置きはどうなったんだ?』
『あぁ、あれ……面倒だったから普通に演技上で倒しといた』
『…………』
『あ、大丈夫v チヨバアさまの目を盗んでしっかり治療しといたから♪』

 楽しそうに答えるサクラに沈黙を返していると、チヨバアが目を覚ました。

「……ん? ここは天国か?」
「だったらわたしが居るわけないですよー」
「サクラ!!? ……ワシは我愛羅を生き返らせて…………」
「えぇ、そうですよ」
「生きておるってことは……失敗したのか!?」
「ちゃんと生き返ったって」
「……ナルト? …………ここはどこじゃ?」

 キョロキョロを周りを見渡すチヨバア。
 ここは、闇の世界の中。
 ちょっとサクラが慌てて作った空間の中であった。

「わたしの術の中です」
「……どういうことじゃ?」
「チヨバアさまを死なせないためにちょっと頑張っちゃいました☆」

 テヘッと笑うサクラにナルトが頭を抱える。

「サクラ……どうやったのか知りたいんじゃないか?」
「あ、そっか。ナルトにチャクラを多めに送ってもらってチヨバアさまの魂が離れるのを防いだ後、秘術を使用しました!」
「ワシを治すような秘術?」

 死に掛けているチヨバアを治すことができるような秘術など存在しているのか?

「はい! 家に伝わっている書物を読み解いたんですけど、体力を元に戻すことができるんですよ〜」
「そ、そんな術が…………」
「さて、サクラ。我愛羅が起きたみたいだし、戻るか?」
「そうね〜……ナルト、わたしは止めておくわ。影ちゃんによろしく!」
「……ま、いいけど」
「ワシも早く戻らねば……」
「ダメです! 死にかけたのですからゆっくりお休み下さい」
「チヨバアはここに居た方がいいって。向こうじゃ死亡したことになってるんだし」
「……はぁ?」
「わたしがこんな術を使えることを秘密にしてるので、死亡したことになってるんです」

 少しずつ明かされていく内容に頭が混乱していくチヨバア。

「ナルトも行くの、止めたら? どうせ、カカシセンセーとずっと一緒よ?」
「…あぁ、そうだってばね……」

 出て行ってもセクハラに合うだけなら影分身に任せようと決めたナルトは座り込む。


「お茶、持ってきなさいよ〜!!」
「サクラ、パシリ中か?」
「そう。それくらいはね」

 お茶を持ってこいと呼ばれて、来たのはサソリだった。

「サ、サ、サソリィ〜〜!!?」

 あまりにも驚いた様子のチヨバアにサソリは苦笑していた。

「身体の調子は?」
「死華さまのおかげで万全だ」
「そっか。デイダラは?」
「空間を飛ばされた直後に連れてこられた場所で拷問用具を鑑賞中だ」

 デイダラが着いたのは、死空の拷問用空間だったようだ。

「死音さま、お手紙だそうです」
「はいはい、サンキュ」

 サソリが手渡す手紙を無造作に開くと読み上げた。

「《このたびの件は死音さまにご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。今回は尾獣を取り付かせるのではなく、別の方法で力を借りられないかという実験のために行いました。
 無理があったらしく、仮死状態になってしまったため、実験は中止いたしました。お手間をお掛けしましたこと、お詫び申し上げます。》
 ……だとさ。サクラ、後でやっとけ」
「は〜いv サソリも座りなよ。チヨバアさまにお話したいことの一つくらいあるんじゃないの?」
「…………はい」

 サクラに命じられたとおりに大人しく座り、チヨバアの方を見る。

「サソリ……」
「さっきは悪かった。今はあんな風には考えていない」
「意識改革、頑張ったから家族は大切だとわかってるわよね?」
「あぁ。全ては風見家のおかげだ」

 サソリが戦いの最中に言っていた「血の繋がったそのババアが死のうが、何も感じはしない。心も…………この体と同じだ」という言葉は、以前――風見家と関わる前までの感情。
 今現在は風見家の影響もあり、家族――身内意識が強くなってきている。
 風見家自体も、身内以外がどうなろうとあまり気にしないという考えなのだが……
 まぁ、風見家の皆は《木ノ葉の里》というものまで身の内へと入れてしまっているが。

「か、風見家とは?」
「わたしの宗家みたいなもんで、家族です!」
「サクラ、いったん家に帰って綱手に報告しよう」
「あ、そうね。じゃ、自宅に繋げるわよ」

 闇の世界から風見家の居間へと出て行く四人をシカマルたちが迎えてくれた。




「ここが風見家。わたしの家です!」
「……ババア、ここは木ノ葉の里の一角だ」
「何じゃと!?」
「さっきまで居たのは別の空間で、移動に距離は関係ありませんから」
「ナルト、お帰り。その人は?」

 シカマルがナルトが帰ってきたことに気付いてやってきた。

「じっちゃんと一緒で、表向きは死亡したことになった砂の相談役のチヨバア」
「また人形作ったのか?」
「三人目だな。当分自宅に居てもらうのか?」
「あぁ、サソリと一緒に。サソリも死んだことになったんだろ?」
「……多分。少ししたら暁の隠れ家の一つへ身を移すから」
「ま、気にせずに居ろよ。じいさんも居るはずだから賑やかでいいな」

 ……そんな会話により、チヨバアとサソリはしばらく風見家へと滞在することになった。




 綱手には我愛羅が生存したことと、サソリとデイダラを倒したことのみを伝えたナルトであった。
 あぁ、でもサソリの言った「草隠れの里にある天地橋に十日後の真昼に行け……」という言葉に関しては報告したが……
 一応、これは本当のことだったそうだから。


ってな感じで、32巻を読みながらの妄想でした〜☆

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