「キョウちゃん?」
「いらっしゃい」
「急にメールで今すぐ来てって何事かと思ったら……綺麗だね、キョウちゃん」
「ありがと」

 恭弥が黒い振袖を着ていることに、綱吉はそう褒める。

「あら、ツッくん? いらっしゃい」
「お邪魔しています、弥生さん」

 珍しく自宅に居る弥生の姿に挨拶を返す。

「恭弥が振袖を自分から着るの、初めてなのよね。何でかと思ったら、ツッくんが来るからだったのね〜」

 やっぱり恭弥にはツッくんが必要よね!
 楽しげに弥生はそう言葉を紡いでいる。

「キョウちゃん?」
「……悪い?」
「わ、悪くないよ!」
「ツッくん、恭弥のこと、よろしくね。私はまた仕事でトラブルが起きちゃって……元旦だって言うのに、すぐに行かなきゃいけないの」

 本当に役立たずよね〜、みんな。

「今日は裕恭さんも帰ってこないそうだから、よろしくね」

 手を振って弥生は出勤してしまう。



「はぁ。自分の母親だとはいえ、気に食わないよね……」
「何言ってるんですか」

 結構似てる部分も沢山あるのに……

「まぁいいや。こっち来て」

 綱吉の腕を引っ張って、和室へと入っていく。
 こっちの部屋に来ることがあまり無いから、何で? と首を傾げると、服を脱がされ始めた。

「ちょっ! な、何!?」
「動かないで。直立不動!」

 言いながら恭弥により綱吉は脱がされている。

「キョ、キョウちゃん! や、止めて!!」
「……うるさい」

 耳元で大声を上げられるのが嫌だったのだろう、ムッとして呟くと口を塞いでしまった。

「む〜、む〜〜〜……」

 自分の口で塞いだまま、洋服をちゃくちゃくを脱がしていって、口を離した。

「キョウちゃん!!」
「だって、うるさいから……」
「というか、何!? 突然……」
「はい、これ」

 一着の着物を手渡してくる。

「え?」
「きっと着方分からないだろうし、着せるから、早く袖通して」

 じゃないと、また……

「わ、わかった」

 慌てて袖を通す綱吉であった。




「うん、似合ってるね」
「ありがとう。けれど、突然、何?」
「お正月だからね……初詣行こうと思ってね」
「初詣!? キョウちゃん、人が多いの嫌いでしょ? 大丈夫なの?」
「うん。だから、行くよ」
「わかった」

 ふわふわの肩掛けをかけて、綱吉の腕に掴まり恭弥は歩く。
 神社への道を歩きながら話す。

「人、多いけど、大丈夫?」
「……うん」
「無理そうなら言ってね」
「そうする」

 具合があまり良くなさそうな恭弥に綱吉は心配そうにしている。


 人が多かった行列に静かに並び、何も問題無くお参りを終えた。

 ……いや、何も問題無いかと言われたら、ちょっと違ったか。
 あまりの人の多さに、

「……群れすぎ」
「え? キョウちゃん?」
「草食動物どもが……」
「わわわっ、キョウちゃん、落ち着いて! 振袖で暴れないで」

 慌てて恭弥を押し留める綱吉。
 まだ止まろうとしない恭弥の耳元へ、彼女にしか聞こえないくらい小さな声で囁く。

「折角綺麗なのに、暴れたら振袖着崩れるよ」
「……わかった」

 最後の一言が効いたのか、ようやく恭弥は止まった。
 静かに二人はそんな会話を交わしていたのだった。
 一応、周りに並んでいた人たちは、自分たちの会話に夢中でその会話は聞こえてなかったようだ。
 聞こえてなくって良かったですね。
 むしろ、聞いてしまった人の方が不憫です。


「……帰ろうか」
「御神籤引いていこう」
「うん、そうだね」

 恭弥が引くと言ったから、そちらへと向かう。
 そして、引いている最中、後ろからこんな声が聞こえた。

「10代目! こんな所でお会いできるとは光栄です!」
「…………」
「……ご、獄寺くん…………」

 会うわけが無いと思っていた獄寺がそこには居た。
 救いは彼一人だったことでしょうか。
 そんな獄寺の姿に、恭弥は心持ち綱吉の影に隠れる。

「10代目、あけましておめでとうございます! 今日もとても渋いですね!」
「おめでとう。何で獄寺くん、こんな所に……」
「……今年はあまり姉貴に会わないように神頼みしてました」
「あぁ……」

 もう神頼みしか残ってなかったんだね、方法が……

「10代目は……デート、ですか?」
「うん、そんな所。だから、これで、ね」
「はい、お邪魔しました!」

 ペコッと頭を九十度に下げてから去っていった。

「…………」
「……気付かれなかった、かな?」
「みたいだね」

 何か文句を言われるのは嫌だった恭弥とここで騒がれたくなかった綱吉はホッと息を吐いた。

「こんなことなら、御神籤なんて止めれば良かった……」
「そんなこと無いよ。ほら、大吉」

 恭弥が引いた御神籤は大吉だったようだ。

「オレは末吉だったし……」

 あぁ、けれど、リボーンが来てからハチャメチャなことに巻き込まれ続けているんだから、こんなもんかもな〜。

「じゃあ一緒に括ろう」
「?」
「多少は僕の運もそっち行くでしょ、一緒に括れば」
「……そうだね」

 二人は笑って御神籤を括り、手を繋いで帰宅したのだった。


* * * * *


「キョウちゃん、この着物……」
「あげる」
「えぇ!? 貰えないよ……」
「それ、去年だかに僕が着たやつなんだけど、もう着ないし……」
「キョウちゃん、着たんだ」

 どおりで大人っぽい色やデザインだと……

「いらないなら捨ててもいいから」
「えぇぇ!? そんなこと出来ないよ」
「そう?」
「うん。……わかった、また今度着ることあったら使わせてもらうよ」
「その時は着たの見せて」
「いいよ」

 恭弥の家で着替えた直後にそんな会話を交わしていた。


 この日、綱吉は自宅に戻ることが無かったようである。




 ちなみに、この日の初詣デートはしっかりと並中生に目撃されており、クリスマスのほとぼりが冷めたかと思って登校した綱吉はまた、彼女は誰だ〜と問い詰められるのだった。




クリスマスを書いたらお正月かな〜?って。
黒い振袖にアップにした髪形って考えてました。
あぁ、美人だな〜v(ほわん)←妄想

それから、勝手に名付け第二段。
裕恭さん、ひろゆきと読みます。

またまたオリジナルな感じの話を書いてますね・・・
いや、すでに設定をここまで変えてれば、オリジナルも何もあったものじゃないか。

2008/1/1 作成
   戻る