「ツナ、浴衣か甚平ね」
唐突にキョウちゃんがそう言ったため、首を傾げた。
「どっか行くの?」
「うん、花火大会」
「花火大会?」
そんな人が沢山群れていそうな場所へ、行くつもりなのだろうか?
「並盛商店街主催の花火大会があるんだよ」
「あぁ、そういえば、そんなポスター見たことあるような……」
「で、それを見に行かない?」
「行くのはいいけど……」
キョウちゃん、大丈夫なの?
「隠れスポットの一つに行くから大丈夫」
「そっか。じゃ、準備するよ」
確か、この前甚平を買っていたはず、と箪笥を探る。
「キョウちゃんも浴衣とか着るの?」
「うん? 綱吉、見たい?」
「見たいよ! ダメ……かな?」
「わかった。じゃ、着てくる」
窓からひょいっと飛び降りて、自宅へと戻っていくキョウちゃんに一つ溜息を吐く。
「また、飛び降りる……」
大丈夫なのは知ってるけど、止めてってば、本当に。
「っと、甚平発見」
引っ張り出した甚平を手に、キョウちゃんのことを考える。
どんな浴衣なんだろう?
少なくとも、オレのような地味な色合いの物では無いだろう。
茶系の甚平を着込んだオレはキョウちゃんを迎えに、隣へと向かう。
ピンポーン、ガチャ。
返事を待たずに家へと上がる。
「キョウちゃん、いつ行くの?」
「ゆっくり行きたいから、そろそろ出ようか」
ひょこっと着替え終わったキョウちゃんが顔を見せた。
うわっ! うわっ!!///
「に、似合ってるね……」
ドモってしまうが、何とか伝える。
キョウちゃんにしては珍しい紫色の浴衣。
キョウちゃんのことだから、黒とかかな〜? と思っていたから、不意を突かれた。
紫色がキョウちゃんをますます大人っぽく見せていて、照れる。
「ありがと。綱吉も、甚平いいね」
オレのなんて、そんなに良くないよ。
この色は止めておくべきだったかもしれないな〜、と思いながら、キョウちゃんと腕を組んで家を出た。
「キョウちゃん、何か屋台で買ってく?」
「ツナが食べたい物があれば」
「ううん、別に特には……」
「じゃ、真っ直ぐ行くよ」
キョウちゃんの示す場所へと移動していく。
さっき、近付きすぎた時に当たったトンファーらしきものを隠しているだろう裾がヒラヒラ揺れている。
いつも思うが、どうやってしまっているのか疑問だ。
「綱吉、ここだよ」
「神社?」
「そ。結構綺麗に見えるんだよね」
人気の無い神社の境内を移動し、見晴らしの良い場所へと移動する。
「こんな人気の無い場所で、何しようとしてるんだ?」
「そんなの決まってるじゃねーか」
「だよなー」
ニヤニヤ笑いながら現れた数名の不良。
こいつらの溜まり場だったのかな〜?
いや、キョウちゃんがそんなのいたら、すでに咬み殺していただろうから、最近現れただけだろうけど。
「その美女、置いていけよ」
なぁ、痛い目に合いたくねーだろ?
う〜ん、陳腐だなー……
「まぁ、キョウちゃんは美女で間違ってないけどね」
「そう? 綱吉に言われると嬉しいな」
「いくらでも言うよ」
二人だけの会話を続けていれば、不良たちが激昂する。
勝手に怒っててもいいけどさ、キョウちゃんがトンファー引っ張り出しちゃったよ?
バキッ
唐突に倒された一人に、周りが驚く。
「群れるな」
それだけ言って、トンファーを手に襲い掛かる。
普段と同じ動きをするキョウちゃんに慌てる。
いつもは制服でズボンだからいいが、その時と同じ動きを浴衣でされると……
「キョウちゃん、ダメー! 肌蹴てる! 肌蹴てるから!!」
ということになる。
足を普通に開いたりしてたら、肌蹴るのは仕方ないだろう。
倒されていく不良たちの視線がキョウちゃんの足に向かっているのもムカつく。
そりゃあ、キョウちゃんの足はスラッとしてて綺麗だけど!
チラチラ見えたり見えなかったりする足に目線が行くのは分からなくも無いけど、キョウちゃんの足を見せてたまるか!
グローブを手に、殴りかかる。
とりあえず、記憶はしっかり飛ばさないとダメだよねv
キラキラするくらいの笑顔で殴り飛ばす。
一分もしない内に全て倒したキョウちゃんとオレは移動する。
「キョウちゃん、始末は?」
「放っておいていいよ、そんなの」
「それもそっか」
スタスタと歩き去るキョウちゃんに付いて移動する。
穴場スポットなのだろう。
誰一人としていない空き地で、二人花火を見る。
花火の光に照らされるキョウちゃんの綺麗な顔に見惚れたオレに笑いかけるキョウちゃん。
オレはそっと、キスをした。
2008/7/27 作成
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