いつものように応接室でやらなければならない書類を片付けていた。
どこかに咬み殺しに行くにしても、書類をある程度終わらせておかないと、綱吉と一緒に居る時間がなくなってしまう。と、急いで片付けていた。
少し眼が疲れたから、と窓の外へと眼をやると――
「あ、綱吉……」
グランドで体育の授業中の綱吉が見えた。
どうやら野球をやっているようだ。
綱吉が居たから、と綱吉を見ていると、ボールを取り落としたり、ボールを追いかけて滑って転んだり……
バッターボックスに立てば、空振り三振。
「……どうしたら、あんなに失敗できるの?」
その日の昼休み。
応接室に呼ばれた綱吉は、着いたと同時に恭弥からそう聞かれた。
「え? 何が?」
「今日、体育、野球だったでしょ?」
「見てたの!? ……恥ずかしいな〜」
綱吉は失敗をしっかりと見られたのだろう、と照れている。
「でも、綱吉って運動神経そんなに悪くないでしょ?」
「いや……うん、まぁ、多少は色々と武道とかも習ってたけどね」
恭弥を守れるようになるために武道を習っていたことは、以前話したことがある。
――というか、話さざるを得なかったことがあったのだ。
あれは……入学直後くらいの時期のことである。
* * * * * *
「キョウちゃん、何で学ランなんか着てるの?」
そういえば、聞くの忘れてた! と突然綱吉は言い出した。
「何、急に……」
そうも言いたくなるだろう。
もう何日もお茶でも飲んで待ってて、とか言われてソファに座り、書類を片付けている恭弥を見ていたはずなのに。
副委員長である草壁が報告に来た今聞く必要があることだろうか?
「風紀と言えば学ラン――ってなってるけど、気になったし……それにキョウちゃんが着てる理由も分からない」
つまり、綱吉が現在気になったのは、何で男装してるの? ということだったらしい。
「動きやすいし、これを着ていると血痕が目立たないからかな?」
「……咬み殺した跡のことですか」
「うん」
「返り血なんてそうそう浴びる機会無いのに……」
「まぁ、多く咬み殺してたら多少はあるから」
「……そうですね」
小さい頃に咬み殺している時に傍に居たから分かるが、確かに多少は血痕があった。
洋服とかにまで付くことはあまり無かったけど……
「えぇと、委員長?」
綱吉の存在に戸惑っている草壁。
今まで応接室内に入って無事だった人を見たことがなかったこともあり、綱吉に驚いている。
「初めまして」
ペコリと綱吉が挨拶をしているが、先程、恭弥のことをキョウちゃんと呼んでいた所を聞いているからビクッと反応をしている。
「綱吉のこと無視するんだ……」
返事を返せないでいた数秒に対して恭弥が怒る。
手にはトンファーが……
「ちょ、ちょっとキョウちゃん……!」
草壁に殴りかかろうとする恭弥を止めようと綱吉は草壁の前に立ち、トンファーを受け止めた。
「綱吉?」
「キョウちゃん、ダメだって」
「ふぅん。綱吉、強いんだ……」
止めようとして言葉を紡いでいる綱吉を完璧に無視して、舌なめずりをしている。
「えぇ!?」
クルクルとトンファーを回して殴りかかってくる恭弥に、綱吉は慌てて避けている。
「いつまでも避けてたらつまらないよ」
「た、た、戦うのが好きなのは分かるけど、や、止めて!」
身体を捻って避けたり、飛びずさりながら声を上げる。
避けきれないトンファーは腕で受け止めたりしている。
草壁は危ないのと、邪魔になりそうだったので、この時点ですでに応接室から出て行ってしまっている。
「反撃とかしないの?」
「む、む、無理!」
「何でさ」
トンファーの攻撃が止むことは無い。
「キョウちゃんを傷付けたくないんだ!」
そう叫んで、応接室からバタバターと走り去るのだった。
* * * * * *
そんなことがあって、多少戦えることも知っているし、運動神経が悪いわけじゃないことも知っていたのだ。
「で? 何でそんな状態なの?」
「う〜ん……よく分からないんだけど」
何故かあぁいう試合とかになると全然上手くいかないとのこと。
「一応、体力テストとかでは平均より上みたいなんだけど……」
「それは知ってる。前に見たことある」
気になって学力テストと体力テストだけは見たらしい。
「なのに、何で?」
「……オレも流石にこう怪我とかが多いのは嫌なんだけどね」
「どうにもできないんだ」
「……うん」
綱吉は溜息を吐いていた。
客観的に判断すると、人を傷付けるのが大嫌いで、人に当たる可能性などを考えてしまい萎縮してしまうのが、失敗している理由のようである。
こっちの綱吉は多少戦えたりしますからね・・・
一応、説明入れておかないと、矛盾生じますよね。
一人でやる物は特に支障が無いので、体力テストとかは結構クラス上位だったりします。
・・・原作で、スポーツはダメツナのいるチームはいつも負け、としか書いてないし(笑)←こじつけ
あと、そういえば書き忘れてた、と思って。男装していること
2007/12/17 作成
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