いつもの巡回中、人の流れをボーっと見ている綱吉に、恭弥は不思議そうな顔をした。
 自身は獲物を探して見回していたが、それとは違う視線で周りを見ている綱吉。
 今その視線が向かっているのは、女子高生たちの群れ。
 こちらに気が付いていないのか、群れているが今回は見逃そう。
 あまり遅くまで遊び歩かれても嫌なので、普段ならトンファーをチラつかせ群れるな、という注意をするのだが……
「何、見てるのさ」
 つい語調が強くなってしまったのは多分嫉妬から。
 可愛い女の子たちに取られでもしないかなどとチラリと脳内に浮かんだからかもしれない。
「――あっ……キョウちゃん、ごめん」
 ボゥッとしていたことを謝り、それから恭弥へと視線を固定した。
「今思い出したんだけど、最近キョウちゃんセーラー服着てないよね」
 制服デートとかする時は並中生だと思われるように女子ブレザーだし、学校じゃ着る機会は全く無いし。
「――って、あそこのセーラー服を見て考えてた」
 あぁ、それでそっちを見ていたのか、と納得した恭弥は少し首を傾げた。
「ツナ、セーラー服が好き?」
 そういうことなのかな? と思ってしまう。
「ちがっ! オレはコスプレに興味は無い!!」
 つい力強く言ってしまうのは、家庭教師のせいだろう。
 コスプレが趣味のリボーンに、衣装から入ろうとするビアンキなどが身近にいるのだから。
「…でも、前にメイド服……」
「違う! オレが興味あるのは中身!! …って、あ゛っ…何言ってんだ、オレ……」
 なんかよく考えてみると、とんでもない発言だった気がして綱吉は固まる。
 赤くなる綱吉に連鎖するように、頬に集まる血により熱く感じて手で顔を仰ぎながら恭弥は沈黙した。




「――っ!?」
 翌朝、登校してみれば、校門に立つ彼女の姿に驚いた。
 いくら毎朝の日課として応接室で二人きりの時間を過ごしているとはいえ、全く人がいないという時間では無いのだ。
 現にチラチラと視線が投げかけられている。
 目立ちすぎだ! と慌てて手を取り、その場から離れていった。



 応接室へと駆け込むように入り、ドアに鍵をかける。
 これで風紀委員たちも入れないし、セーラー服のことが広がることは無いだろう。
 一つホッと息を吐き、それから手を繋いだままの恭弥を振り返った。
「どっ、どうしたの、キョウちゃん!」
「あ、これ? 昨日のツナのご要望のセーラー服だけど?」
「ご要望って、オレは別に……」
 ただ、どうしたのかなぁ? って思ったくらいの話で、それが見たかったわけじゃ……
 そうブツブツと口の中で呟く様子に暗い表情になりかけた恭弥に、綱吉が焦る。
「めっちゃ似合うけどね!」
 少し落ち込んだ様子に慌てて言えば、笑顔が返される。
 そしてソファに倒れこむように二人して腰掛け――と思えば、上に乗ってこようとする彼女。

「だから、オレにコスチュームプレイの趣味は無いってば!」

 叫ぶ綱吉の唇は、恭弥のそれによってふさがれた。





例によって例の如く、暗転してみた☆

2009/8/3 作成
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