ファーストキスの思い出は?
そんなことがクラスの中で話題になった。
父親だな、なんて言い出した少女や、不慮の事故で兄弟と〜なんて言った人もいた。
そんな中、お前は? と振られた山本は首を振る。
「そんな経験する暇なんかねぇよ」
オレは野球一筋だ! なんて笑う。
まだ中学生でしたこと無い人だっていたっておかしくない、とクラスのヒーローの笑い顔に、どんなシチュエーションになるんだろうなー、なんて笑い合う可愛らしい少女たち。
「ねぇ、獄寺君は?」
「…………姉貴、だな」
ポイズンクッキングで倒れた時のようだ、真っ青な顔をした彼に、聞いてはいけないことを聞いたと思った少女が慌てている。
「じゅ、10代目は!?」
話をずらそう、とした獄寺からの言葉に、綱吉は苦笑した。
「うん……あるにはあるんだけど…………」
情けない限りなので、あまり話したくは無いなぁ、と頭をかく。
「もったいぶってないで教えろよ!」
肩を揺さぶられて、あれは――と口を開いた。
滅多に無い、キョウちゃんの泣き顔。
ずっと一緒に育ってきていて、涙を流していることなんて、本当に見たことが無かった。
多分、オレからも隠れて泣いていたのかもしれない。
悔しそうに唇を噛んで、泣きそうにしていた姿を見たことなら何回もあるけれど、あんな泣き顔を見たのは、あれが初めてだった。
全てはオレが悪い。
オレが泣かせたんだから……
トンファーを振り回すキョウちゃんについて回っていて、転んで怪我をして。
酷い怪我をすれば応急処置をして自宅まで連れ帰ってくれた。
本当に足手纏いでしか無かったあの頃。
庇って怪我をしたことも多かったけれど、死にそうになったことはあまり多くない。
その中の一回。
キョウちゃんを庇って車に轢かれた時だった。
公園の入り口付近で飛ばされたオレに、呆然とした後泣きだしてしまった彼女。
泣かないで、と言いたかったけれど、言葉にできなくて――
前にドラマで泣きやますのにキスをしていたことを思い出したから、と苦しい中体を起こして身を寄せた。
あと少しだったのに、押し倒されるようにキョウちゃんからキスをされた。
あれがファーストキスだ。
軽く跳ね飛ばされただけだったから、念のために病院に行って一泊させられたがすぐに退院となった。
脳震とうは起こしてたらしいが、何でオレ、キョウちゃんにキスしようと体起こしたりとかできたんだろう?
まぁ、もがくように近付いてただけだった、とキョウちゃんからは後に言われたが――
「車に轢かれたオレに彼女が泣いちゃって、キスしようとしたら、逆にキスされたっていうだけなんだけど……」
簡単に言えば、それだけの話なのだけど。
「車に轢かれたって、お前大丈夫なのかよ……」
「あー、うん。小さい子供の衝撃に対する強さって凄いんだって。まぁ、オレは入院したけど、場合によっては怪我一つなく終わることもあるらしいよ」
充分軽い怪我だった、と後で言われたけれど。
「って、子供って、お前マセガキだな……」
「キスで泣き止ます、なんて、どこの気障男のやることだよ!」
「ドラマの影響、ドラマの影響。それに、逆にキスされたんだって」
まぁ、人工呼吸をすべきだと思ったとか何とか――
「そうだよな……お前リア充だもんな」
彼女持ちだもんな、幼馴染の。
「何か美味しいエピソード、大量に持ってそうだよなー」
何か吐けよ、と笑いながら小突かれて話は終わった。
「ファーストキス、ねぇ……」
応接室で紅茶を飲みながら、教室でまだ続いていた喧騒を思い出して呟けば、恭弥は綱吉を見て一つ頷いた。
「血の味がしたよ」
「って、キョウちゃん相手のキスなら半分くらい血の味しててもおかしく無いじゃん!」
「あはは、それはそうかもねぇ……」
じゃあ、今は?
吐息が触れる程に近付いた恭弥に、自分からキスをする。
「――ん、紅茶味……」
共に飲んでいた紅茶の味がする、と笑い合ったのだった。
ツイッターので遊んでたら、
オススメのキス題。シチュ:公園、表情:「泣き顔」、ポイント:「ファーストキス」、「自分からしようと頑張っている姿」
と出たので、ちょっとやってみようと思ったらこんなことになった。
自分からしようと頑張っているってのはどこに消えた!(爆笑)
2010/11/16 作成
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