「綱吉」
声をかけられた綱吉は顔を上げた。
今日は文化祭のため、綱吉はクラスの出し物に従事していた。
可愛いウェイトレス姿のレベルが高い少女たち。
決められた品物を皿に載せて運ぶ少女たちの可愛らしさに、このクラスを選んで訪れる人が沢山いた。
並盛中のマドンナがいるんだし、そこを利用しなくてどうする!?
そんなクラスメイトたちの思惑のため、クラスの模擬店は喫茶になっていた。
それに、山本や獄寺というカッコイイ男子もいるのだから、人が沢山訪れるのも当たり前のことである。
「キ、キョウ・・・雲雀さん、どうしてここに・・・?」
キョウちゃんと言いかけて、慌てて言い直した。
風紀委員長のヒバリさん!? とビクビクし始めたクラスメイトたちの姿を見て、ここにはいれないなと判断した綱吉は恭弥を連れて人目が少ない場所へと逃げる。
「10代目!?」
「獄寺君、オレの分も代わりにお願い!」
「はい、分かりました!」
任せられたんだ、ということで獄寺は嬉しそうに頷いた。
獄寺は綱吉がいるから、と同じ仕事を希望し、綱吉の手伝いをして回っていた。
サボらないで働いてくれていることに、クラスメイトたちは綱吉に感謝を述べたくらいだ。
人目が少ない物陰に立ち止まり、恭弥へと綱吉は振り返った。
「どうしたの?」
「・・・ツナ、似合ってるね、それ」
綱吉が着ていたウェイターの服が褒められた。
綱吉はドジを踏む可能性が高いから、と裏方の仕事が割り振られていたが、食器を下げることも仕事に入っていたためその服装をしていた。
恭弥に褒められたから、と頬を染め、はにかむ。
「ありがと・・・」
でも、恭弥ならウェイトレス姿とか似合いそうだな〜と思っていた綱吉は少し残念そうだ。
一応、同じクラスに籍を置いていることは恭弥から聞かされていた綱吉は、残念そうだ。
「あれ? 今って、巡回中?」
昨日だったか、巡回して馬鹿な群れを咬み殺さないといけないんだ、って言ってたでしょ?
「だったら、こっちに連れて来ちゃってごめんね?」
「いいよ、気にしなくて」
一通り周り終わったから綱吉の所に現れた恭弥は、気にしなくていいと笑う。
「綱吉、いつまでクラスにいなきゃいけないの?」
「あとちょっと、かな?」
確か正午までだから、当番。
「終わったら応接室に逃げ込もうかと思ってたんだけど・・・」
「だったら、さ・・・一緒に見て回ろう?」
「・・・え?」
「一緒に文化祭デート、しようか」
「・・・いい、の?」
コクリ、と頷いた恭弥は、応接室で待っているから、と言い残して戻っていった。
綱吉は、放棄してきた仕事へと急いで戻っていった。
獄寺に任せた仕事などを行い、当番の時間を終える。
急いで着替え、教室を飛び出す。
その背中に獄寺と山本の声がかけられるが、綱吉はそんな声は全く耳に入っていない状態だった。
「キョウちゃん、お待たせ!」
多少息を切らせ、応接室へと飛び込んだ。
その綱吉の勢いに少し驚いた表情で振り返った恭弥は並盛中学の制服に身を包んでいた。
「キョ、キョウちゃん、制服持って来てたんだ・・・」
「あぁ、これね。こっちにもセーラーとこれ一着ずつ置いてあるよ」
汚れたりしたら着替えるのにいいでしょ。
「さて、行こうか、綱吉」
「うん」
恭弥は綱吉の手を掴み、二人は応接室を後にした。
手を繋いだまま、校内を歩く。
人が多い中を移動するのだから、いつもなら少し機嫌が悪くなる恭弥だが、現在はそんなこと無い。
綱吉と手を繋いでいるせいもあるが、デート中だという事実のためだろう。
「どこ行く?」
「僕はどこでもいいけど?」
確かあっちは写真展示で、そっちはお化け屋敷。
「お昼だけど、食事はどうする?」
「キョウちゃんは食べたの?」
「ううん。面倒だったから」
「それなら、どっかで食べようか・・・」
ここから一番近いのはオレのクラス、か・・・
「ちょっと離れるけど、三年のクラスがやっている所でいい?」
「そうだね」
また、初詣の時のように獄寺にデートを邪魔されるかもしれない、と思った恭弥は頷く。
それに、綱吉のクラスだと、邪魔をしようとする人が多そうだ。
食事を注文するのは綱吉。
綱吉とは会話するが、注文等他の人とは会話をしない恭弥。
そうそう簡単に声などではバレないとは思うが、念のためだ。
そういう理由を付けて、綱吉以外と会話をしなくて済むことを楽しんでいる。
仲良く食事を終えると、写真展でも見に行こうか、と二人は校舎内へと消えていった。
その日、手を繋いで校舎内を巡る二人の姿は多くの人に目撃されており、以前流れたダメツナの超絶美人な幼馴染の彼女という噂が再燃するのだった。
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