「は? 明後日にイタリアに行けって何!?」

 唐突にリボーンから言われた言葉に、オレは驚きの声を上げた。

「高校卒業までこっちにいるって言ってたじゃないか!」

 まぁ、それまでに何とかしてボスにならなくて済むように手を打つつもりだったんだけど・・・

「そうも言ってられなくなった。九代目が倒れたそうだ。予断の許されない状態だと・・・」
「そんなっ!」
「そういう訳だから、友達とかに別れを言っておけよ」
「ちょっ! 待てよ!!」




 山本はまたいつでも会えるだろう! と笑って別れを告げた。
 お兄さんは戻ってくるのを待っている! と極限叫んでいた。
 獄寺君は一緒にイタリアへ戻るとのことだ。
 リボーンもビアンキも・・・オレもイタリアに行ってしまうと、母さんは寂しくなるかもしれない。
 まだランボとイーピンが残るからいいかもしれないが。
 キョウちゃんは・・・イタリアに行くと言ったら、そう・・・としか言わなかった。




 キョウちゃんと、しばらく離れ離れ、か・・・
 本当にボスの座なんて蹴ってやる!
 キョウちゃんと離れなければならないなんて、本当にどうしてやろうか・・・

「ツナ? ダメツナ!」
「何、リボーン」
「何立ち止まってやがる。行くぞ」
「はぁぁ」

 溜息を深く吐き、飛行場を行く。
 諦め気味に歩いていると、前にキョウちゃんがいた。

「キョ、キョウちゃん!!?」

 え? 何でここに・・・?

「綱吉、遅かったね」

 その手に持ってるのって旅行バックだよね?
 え? まさか・・・

「僕も一緒に行くから」
「えぇぇ!? 何言ってるの?」
「・・・というか、母さんに勝手に準備されたんだよ」

 キョウちゃんが遠い眼をしている。

「弥生さん・・・」

 何してるの、弥生さん・・・

「それ、弥生さんが用意したの?」
「うん。何が入ってるんだろうね・・・」

 持たされたため、そのまま持ってきたけど、何が入れられてるんだろう? とキョウちゃんが首を傾げている。
 弥生さんのことだから、女物の洋服が入っていたりするかもしれないけど、その量は無いよね・・・

「リボーン、キョウちゃんが一緒に行ってもいいよね?」

 ダメって言ったら、オレ帰るけど。

「守護者だし、いいだろう」
「じゃ、行こうか」

 キョウちゃんの荷物を代わりに持ち、二歩ほど進んだだろうか・・・


「キョウちゃん、ツナ君待って下さい!!」

 バタバタと足音を立てて現れた。
 骸か・・・

「何?」
「僕たちも行きますから」

 準備に手間取っちゃいましたが、行きますよ。
 そう言う骸の遥か後方に千種・犬・髑髏の三人が走っている。
 あぁ、大変だね、こんなのに付いていると・・・

「リボーン・・・」
「あぁ、あいつらもだな」

 リボーンが手配したという、専用ジェットでイタリアへと渡った。
 専用ジェット機が存在するボンゴレってどうなんだ・・・





「早速、九代目に会うぞ」
「早いな、もう?」

 着いたばかりだと言うのに、不思議そうにリボーンに聞いた。

「こういうことは早いに越したことがねーからな」
「そっか」

 キョウちゃんが横に、後ろに骸・髑髏・犬・千種が付いてきている。

「リボーン、皆一緒に会いに行っていいわけ?」
「いや・・・守護者だけなら何とかなるか?」
「あ、それなら僕たちは外で待っていますよ」

 髑髏たちを置いていくなら、自分も外で待っていると骸は言う。
 それなら、ということで、リボーン・綱吉・恭弥の三人で九代目と面会した。



「綱吉君、すまないね」
「いえ・・・お体の調子はいかがですか?」

 ベッドに横になり、起き上がることも出来ないでいる九代目の姿に、綱吉は尋ねる。

「まだまだ元気なつもりだったんだがね」

 こんなに早く綱吉を呼ぶとは思っていなかった、と謝る。

「オレはボンゴレを継ぐ気、無いんですけどね」
「ははは、分かってるよ。それでも頼んだよ」
「・・・・・はい」

 超直感でだろう、綱吉の考えをしっかりと理解していた九代目は綱吉に頼んでいた。

「それで、彼は・・・?」

 雲の守護者、だったかい?

「あぁ、キョウちゃん。えぇ、雲の守護者の雲雀恭弥さんです」
「急なことだったのに、一緒に来てくれたんだね」
「僕が綱吉についていかないわけがないよ」
「そうかい。守護者も一緒にお披露目した方が箔が付くからね」

 その方が良かっただろうね。

「お披露目って・・・」
「今晩にパーティーでお披露目だぞ」
「はぁ!? パーティー!?」

 そんなもので大々的に発表するの!?

「そうだぞ。いい加減自分の立場を理解しろ、ダメツナ」
「そんな・・・」

 外堀を埋められていくことに、溜息を吐いてしまう。

「・・・僕もそれ、出るんだよね?」
「あぁ、そうなるな」
「それ、正装だよね?」

 どっちの格好で出ればいいわけ?

「・・・・・」
「・・・確かに、言われてみれば」

 守護者として表に出るなら、男装の方が周りへ牽制になるだろう。
 しかし、正装ならば女装が正しいだろう。

「どっちの姿とは?」

 分かり合っている綱吉とリボーンに、九代目は不思議そうに尋ねる。

「あぁ、九代目には紹介したことありませんでしたよね」

 オレの彼女の雲雀恭弥さんです。

「かの・・・じょ?」
「はい。正真正銘、女性ですから」
「・・・・・そうだったのかい」

 それは知らなかったよ、雲の守護者が、ね・・・

「で、どっちにするの?」
「・・・ドレス着ておけ」
「赤ん坊?」
「ツナから離れる気は無いんだろ?」
「当たり前」
「だったら、ドレスを着ていた方がいいだろ」

 ついでに、美女を隣にしてれば少しはツナの印象も変わるだろ。

「うん、そうだね。キョウちゃんのドレス姿楽しみにしている」

 きっとキョウちゃん美人になるだろうな〜、と嬉しそうに綱吉は言った。

「ツナのスーツは骸たちと別れた部屋に用意してある」

 雲雀もそこで着替えるといいだろう。

「・・・ドレス、あるの?」
「あの旅行バックの中には無いのか?」
「見てないから知らないよ」
「もし、その中に無かったらスーツを用意するか・・・」

 お前の身長だとスーツくらいしか用意されてないだろ。

「それならどっちとかいう問題ですら無いんだね」
「キョウちゃん、まずは開いてみよう。ね?」

 では、失礼します、九代目。
 綱吉は恭弥の手を引いて部屋から出て行く。



 パタン、としまった音を確認して。

「次代の心配は全く無いということかい? リボーン」
「そういうことだぞ」

 ただし、性別を知るまではオレも困っていたけどな。
 男性同士で付き合ってるとか聞かされてな〜・・・
 しかも二人の関係からすると、ツナが彼女を作れるような感じじゃ無かったからな。

「リボーンの報告によれば、最強の・・・次代が楽しみになるね」
「そうだな・・・」

 いつか産まれるであろう、二人の子供に思いを馳せる二人であった。





「キョウちゃん?」

 旅行バックから出てきた服を手に恭弥は震えていた。

「・・・・・ねぇ、つなよし」
「何?」
「今から帰って母さんを咬み殺してきていい?」
「ちょ、帰らないでー!!」

 綱吉は抱き付いて、恭弥を止める。

「それに、その服もキョウちゃんに似合いそうだよ」

 笑顔で告げる綱吉に、恭弥は渋々頷いた。

「恭弥、パーティーに出るなら、これがいいと思うの」

 髑髏が恭弥の旅行バックの中から取り出したドレスを押し当てる。
 先程、恭弥が握り締めていたのはピンク色のワンピースだった。
 髑髏が示していたのは――

「早く着替えないと、時間が迫っているそうですよ?」
「そうだぞ。まだ着替えてなかったのか、てめーら」
「リ、リボーン!?」

 リボーンが追いついてきて、急かせるように告げた。

「クロームはこれが良いと思いますよ」
「はい、骸様」

 髑髏は骸が差し出したドレスを手に衝立の後ろに向かう。
 その後ろを、髑髏が選んだドレスを手に恭弥が付いて行く。

「さ、僕らも急いで着替えましょう」

 そう言う骸の声に綱吉も着替え始めた。





 ざわっ。
 会場に現れた10代目と雲と霧の守護者たちに、パーティーの出席者たちがざわめく。
 極東の地から現れた、初代の血を引いていようとも外様の10代目とその守護者たち。
 そんな人物たちに、ボンゴレを導いていけるのか?
 そんな疑問に包まれている彼ら。

「10代目!」
「あ、獄寺君」

 そういえば、先に渡伊したんだった、と迎え入れる。
 スモーキング・ボムが・・・
 嵐の守護者の証が指にあることから、出席者たちに動揺が少し現れる。
 あの悪童を手懐けた10代目へと向ける視線が少し変わる。
 そして、隣に立つ霧の守護者、六道骸に眼を疑う。
 マフィア嫌いだと評判のあの・・・と。

「てめっ、ひばっっ!?」
「獄寺君、注目されているんだし、静かにね」

 笑顔でそう獄寺に言う綱吉に、獄寺は大人しく移動する。
 骸の逆隣に立つ美女に皆の視線が集まる。
 白い清楚なドレス。
 黒い肩にかかる程度の髪の毛。
 10代目の腕に掴まって歩いていたらしく、寄り添うように立っている。
 よく観察すれば、雲のリングを手にしていることに気付けただろう。
 しかし、それよりは美貌に、10代目に寄り添っていることに、全員の目線は留まっていた。




 恙無く、お披露目も終わり、パーティーは終わりを告げた。
 あの黄色のアルコバレーノ、リボーンが育てたという10代目の姿は大人しそうであったが、強い意志を秘めた瞳に表立った不満は何一つ無かった。

「ひ、ひばっっ!」
「うるさいよ」

 控え室のような場所へと移動した綱吉と守護者たちは、会話を交わしていた。
 否、一人怒鳴っている人を全員冷たい眼で見ていた。
 いくら周りに知り合いしかいなくとも、うるささに閉口していたのだ。

「おまっ、お、お、おん!!?」
「僕が女だったからどうしたって言うのさ」

 別に偽物でも何でも無いよ。

「う、う・・・嘘、だろ・・・」
「獄寺君、邪魔」

 結局集まっていた全員にその後無視され、リボーンがいるからと現れたビアンキの姿を眼にして倒れるのだった。





高校生の内に渡伊するツナ様とキョウちゃん、と思いまして・・・
まぁ、とある同人誌を読んでて思いついたんですけどね(パクッちゃいませんのであしからず)

オチが思いつかなくて、ごっきゅを倒しておいた(爆)

2008/8/25 回収
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