クラスでもよく雑用を押し付けられたりされている沢田綱吉は、今日もまた、面倒なことを押し付けられていた。
 同じクラスに、登校拒否の男子がいるから、その家へ、今までのプリントを届けてほしい、と。
 今までは郵送したり、先生が運んでいたが、どうあっても学校に来ようとしないその男子生徒に、先生も考えたらしい。
 同じ生徒が行って声をかける方が学校に出てきてくれるかもしれない、と。
 それをHRの時間に言った担任の言葉に、誰か行ってくれ、という問いの後、沢田君がいいと思いまーす! と満場一致で決められたのだった。
 担任に託されたプリントを手に、豪華な一軒家へとやってきた。

「ここ?」

 雲雀、と書かれた表札を前に手元の紙と見比べる。

「くもすずめ?」

 何て読むのだか、分からないけど、インターホンを鳴らした。


 ――そこで、ある意味、運命の出会いを遂げたのだった。




 数日置きには必ずプリントを持って綱吉は雲雀の家へとやってきていた。
 担任の先生は他にもやらなければならないことも沢山あるし、クラスメイトたちはもう綱吉が行くものだと思っている。
 断ることができない典型的日本人の綱吉は今日も雲雀の家へと来ていた。

「雲雀さん、いい加減学校行きましょうよ!」
「嫌だっていつも言ってるでしょ」
「別に家から出るのが嫌なわけじゃないでしょう?」

 ついこの間もお腹がすいた、などと言って家から綱吉を連れて出たのだ。
 近くのコンビニで買って終わらせるとすぐに引き上げようと踵を返していた。

「いつも言っているように、群れが多いから外には行かないんだよ」

 僕、引きこもりだから。

「そんなあっさり言うことじゃないでしょう!?」

 引きこもりはいい言葉じゃないですけど…

「いいじゃない、引きこもり」
「良くないですよ!」
「だって誰とも関わらなくていいし、群れを見掛けていらつくこともない。いいことづくめじゃないか!」
「それは確かに……確かになんだけど!」

 なんだけどぉ!!

「ってか、雲雀さんは咬み殺すのも込みで楽しんでるんだと思っていましたー!!」

 この前のコンビニ帰りにコンビニ前にたむろっていた不良たちを楽しげに咬み殺していたのを見ていたから尚更だ。

「弱いモノいじめしたってつまらないよ。めんどい」
「雲雀さん…………」

 あんなに徹底的に咬み殺しておいて、弱いモノいじめも何もあったもんじゃない、と思うのはオレだけだろうか……

「あ、でも…」
「はい?」
「君とは楽しそうだから戦いたいな」

 めんどくさくない。そうのたまう雲雀に命の危険を感じた。





 そんな日々を送っていたが、ようやく雲雀を何とか言い包め、学校へと放課後にだったが、連れて行くことに成功した。

 綱吉の背中に隠れるようにして歩く。

「雲雀さん、何してるんですか」

 ちゃんと横に並んで歩いてくださいよ。

「嫌だ」

 それだけ言って後ろを付いてくる雲雀に困ったような笑みを浮かべ、少し離れようとする。

「君……こんな人込みに連れ出しといて、僕を置いてったら承知しないよ」

 ギリッと掴まれた腕に強い力がかかる。
 雛鳥のように後ろを付いてくる雲雀に、親鳥のような気持ちになりながら道を歩く。
 普段、全く近付かない場所に出たからか、辺りを見回しながら歩く雲雀に綱吉は気付く。
 周りに興味を持ち、少しはしゃいでいることに。
 それを表に出さないようにしている雲雀が可愛いとまで感じる自分が末期だな、と綱吉は苦笑する。


「何やってんだ? ツナ」
「………綱吉に勝手に話しかけないでくれる?」

 先程まで綱吉の影に微妙に隠れるようにしていた人と同一人物だとは思えない程に素早く、トンファーを手に山本に向かっている。

「って、雲雀さん! 何オレの友達殴ろうとしてるんですかー!!!」

 トンファーを振り下ろそうとしている雲雀の腕を掴み、山本に逃げるように声をかける。

「山本、また明日!」

 雲雀を何とか押さえて学校へと向かおうとする。
 山本の姿が全く見えなくなった頃。

「………綱吉」
「…はい?」
「もう放しなよ」
「あっ。もう何もしてない人に攻撃しようとしないで下さいね」

 そう、お願いして学校へと入ろうとする時には、また綱吉の影に隠れるようにして歩いている雲雀だった。



「……君、勝手に群れないでよね」
「は? 何言ってるんですか」

 何とか家まで無事に誰一人咬み殺されることなく戻ってこれてホッとした綱吉は、雲雀に言われた言葉に首を傾げる。

「馴れ馴れしく君に声をかけてた……」
「いや、友達ですし…」
「だめ。君は群れちゃだめ」

 自分の物は自分の物、君の物は僕の物、みたいな感じのことを言う雲雀に、ただただ苦笑を浮かべるしかない綱吉だった。

 それから、友達と群れていることに変わりが無かった綱吉に焦れて、引きこもりが少し改善されるようになったようである。





こんな雲雀さんは嫌だ!とか話してた内容。
ひっきーひばりん。

魔王様と魔族の話を書いてた時に出てきたキーワードから書いたらしいですw

2009/1/26 回収




 外に出るように少しずつなっていった雲雀だが、それでも群れは嫌いだ、と授業にマトモに出ることは無かった。
 いわゆる保健室登校?
 しかし、保健室にいるのか、と言えば、保健室には普段いなかった。

「雲雀さん! またこんな所で…」
「学校に出てきているだけいいと思いなよ」
「それはそうなんですけど……」

 学校の屋上の入り口の上にゴロリと横になっている雲雀に困る。
 いつも、いつもここにいるだけで、学校に来ている意味が全く無いのだ。

「綱吉」

 グイッとハシゴから顔を覗かしていただけの綱吉の腕を掴み引き上げる。

「うぇぇ!?」
「少しぐらいサボっても大丈夫でしょ」

 抱き締めて、すぅっと眠りにつく雲雀に、綱吉は動けない。
 腕を外そうとじたばたとするが、体格差なのか全く動けない。
 疲れて、諦めた綱吉は、雲雀の体温に眠気を誘われ、そのまま夢の世界に旅立つのだった。


「あ〜…沢田はどうした?」
「お昼休みから帰ってきてません」
「また、いつものか?」
「そうだと思います」
「……後で二人分の課題を用意しておくか」

 クラスではこんな教師と生徒の会話が交わされ、雲雀と綱吉が一緒にいるのは暗黙の了解となっているのだった。
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