コンコン、とノックの音が静かな部屋に響く。
 しかし、返事が返ってこない。
 いつもなら、この時間は応接室内にいるはずの委員長からの返事が無い。
 巡回に出るにはまだ早く、いるはずなのだが・・・
 席を外しているだけかもしれないし、ノックに気付かなかったのかもしれない。
 そう思い、声をかけて入ることにした。

「失礼します」

 ガチャ、と開いた先には、委員長と少年がソファに座っていた。
 あの生徒は・・・遅刻常習者の一年・・・?

「こちら、本日の遅刻者名簿です」
「机の上に置いて」
「はい。他の書類は校長らからの書類を纏めたものです」

 そう言って、机の上に持ってきた書類を全て置く。
 確か、あの少年の名前は沢田・・・沢田、ツナ・・・だったか?

「いつも通り、書類の処理はこちらで行っておきます」

 何か風紀で行っておくべきことはありますか?

「特に無いよ」
「それでは、失礼致します。必要があればいつでもご連絡を」

 頭を下げて、その場を辞する。


 委員長の嫌う草食動物の一人にしか見えない遅刻常習者の彼。
 いつも群れの中、搾取される側であった彼。
 そんな普段の彼とは全く違う表情。
 冷たい、人ではなく物を見るかのような温度の無い視線。
 何も興味が無いとでも言うかのような無表情な顔。
 普段のコロコロと変わる表情と打って変わって無表情になると、綺麗な顔立ちをした人形か何かのように、ゾクリ、と背筋を冷たいものが走る。
 そんな見てはいけない物を見たかのような感覚を覚えたが、これは誰にも言えない、胸の奥底深くに仕舞いこむしかない。
 知らなかった時と同じ行動は取れないかもしれないが、そう決めた。



「へぇぇ、いいね」
「ん? 何が?」
「さっきの・・・副委員長」

 結構使えるよね、あぁいう人なら。

「よくあんな人がいたね」
「あぁ、いいでしょ。出しゃばらないしね」
「まぁ、今度一応口止めしておくかな?」
「しなくても、言い触らさないよ」
「うん、そうだね」

 にしても、駄犬じゃなくて、あんな部下が欲しいよ。

「駄犬は部下とは思ってないけどさ」
「あれじゃあねぇ・・・」

 邪魔にしかならないよね。

「今度、紹介するよ」

 ツナの言うことも聞いてくれるように、ね。

「うん、お願いしちゃおっかな」

 応接室を出て行った草壁を見送った綱吉と恭弥はクスクスと共犯者の笑みを浮かべた。




「――!?」

 殺気!?
 突然感じた、それにビクリと反応する。
 何事も無かったかのように、振り返ると、そこには房が頭部の頂点にある特徴ある髪型をした同年代の男子がいた。

「・・・なんだ、お前は」

 並中生じゃないことに、侵入者か、と誰何する。

「彼らに気に入られるなんて、どんな相手か、と思いましたが・・・」

 なるほど、二人が気に入るわけです。

「初めまして、風紀副委員長?」

 くふっ、と笑い、槍を手にする。

「大丈夫だとは思いますが、念のため・・・」

 そう言って、槍で突く。
 それを避ける草壁の頬を掠め、槍を手元に引き戻した後、その槍はふっと消える。

「ツナ君とキョウちゃんの邪魔にならないようにお願いしますよ」

 二人のこと、そして僕のことは心の奥底にしまうように。

「もう会わずに済むことを祈っております」

 それでは。
 窓からの風に攫われるように、掻き消えるように姿を消す。

「・・・・・何、だったんだ?」

 疑問の声を上げるものの、委員長絡みであることは確かだろう。と諦めるのだった。





前回のこのシリーズの拍手お礼時、頂いたコメント内容から書きました。
草壁さん、そういえば出してなかったよね!(笑)
あと、犬と千種とかも言われてたので、その内書きます。
・・・・・多分、その内←←

2009/5/5 回収


オマケー!


「キョウヤ! ツナヨシ!」
「・・・骸、これ、何?」
「あ、可愛いでしょう♪ おみやげですv」

 ちょっと利用していた男が沢山連れてたので、数匹ちょろまかしてきちゃいました♪

「ちょろまかした、ってお前なぁ・・・」
「だって、可愛いでしょう? ツナ君とキョウちゃんが気に入りそうだなぁって思って」
「まぁ、可愛いことは否定しない」
「うん、確かに可愛いよね」
「でも、誰が面倒見るのさ」
「賢いのであまり手を焼かすことは無いですよ」

 少しご飯を用意する程度で。

「すでにキョウちゃんとツナ君に懐いているようですので、可愛がってあげてくださいねv」
「・・・わかったよ」
「仕方ないね」

 こうして綱吉と恭弥の周りを黄色い小さな鳥が飛び回ることになるのだった。
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