「ちょっと! 獄寺君、ダメだよ!」

 あわわっ、と慌てる綱吉が獄寺を止めようとする。
 それでも何の役にも立たない程度にしか動けていない。

「獄寺ー、学校で花火は危ないぞー」
「いやいや! 山本もそんな問題じゃないから!」

 三人組として認識されている綱吉・獄寺・山本の三人が、いつものように騒ぎを起こしている。
 それに対して生暖かいような視線がクラスメイトたちから向けられている。
 クラスメイトたちからすれば、ダメツナに纏わり付く人気者たちとしか見られてない。


 でも、それらは真実ではない。
 真実の姿はそんな簡単なものではないのである。




「あ〜、今日も疲れた」

 はぁぁ、と溜息を吐いて、いつものように邪魔な奴らを撒いて、応接室の恭弥の元を訪れていた。
 いつものことだが、邪魔だな、と思った奴らのことを思い返せば、溜息しか出てこない。

「お疲れ様、ツナ」

 授業では何もわからず、馬鹿にされるのもただ受け入れ、騒ぎに巻き込まれる。

「いつものこととはいえ、駄犬どうにかならないの、あれ」

 野球程度なら楽にあしらえるのに。

「あれ? 今日のはアルコバレーノが関係してたんじゃないの?」

 副委員長からの報告だとそうだったはずだけど・・・

「あ〜、それはそうなんだけどね・・・」

 でも、あれはのせられやすすぎ。

「本当、ただの邪魔!」

 たまに、さ・・・

「いい加減にしろよ、この駄犬が! って怒鳴りたくなるよ・・・」
「僕はやっちゃってもいいと思うけどね」

 ツナの精神に悪そうだし、あまり我慢すると。

「やったらアルコバレーノがうるさそう・・・」

 面倒なことになるのは嫌だよ、と苦笑いして。

「それらは忘れることにして、今日はどうする?」
「ちょっと骸に用があるから、骸の隠れ家に訪問したいな」
「うん、わかった」

 じゃ、行こうか! と学校を後にする。
 恭弥の所に行くために撒いた獄寺や山本、リボーンに了平たちに見つからないように抜け出した。





 並盛町の外れのあたり。
 黒曜が眼と鼻の先の場所に位置する骸の隠れ家の一つに綱吉と恭弥は訪れた。

「キョウちゃん、呼んであるの?」
「うん。来いってメールしたよ」
「ふぅん。じゃ、待たなきゃダメか」

 オレたちを待たせるなんて、何様のつもりだろうね。
 そう言いながら中へと入り込んでいけば、中にいた者に誰何された。

「誰だビョン、お前ら」
「・・・・・いぬ?」

 どっからどう見ても動物めいたものと、帽子を目深に被ったものが綱吉と恭弥を見ていた。

「ここはオレたちの場所なんらから、出てけ!」

 キャンキャンと喚く犬に、恭弥はトンファーへ手を伸ばした。

「うるさい!」
「――キャン!」

 殴り飛ばされた犬が悲鳴を上げて倒れ込む。

「あ〜、どう見ても犬だね、犬」

 悲鳴からしてごこまでも犬以外の何物でもない、と綱吉はその様子に頷く。

「そっちはどうするわけ?」
「・・・ここは骸様の持ち物。あなたたちは侵入者」

 そう言った帽子をただ見返す。

「骸・・・さま?」
「様!?」

 敬称に驚いて、次いでそのことに笑ってしまう。
 骸に様!? と。

「何がおかしい・・・」

 そう言って襲い掛かってくる帽子を軽く沈没させ、平然とその場の椅子へと腰掛けた。




「――――犬! 千種!」

 ドゴッといったような鈍い音を響かせ、骸が部屋へと入ってきた。

「あ、来た、骸」
「ツナ君とキョウちゃんに何しでかしているんですかー!!」

 その勢いのまま怒って意識を失っている犬と帽子の体を振り回している。

「・・・別にオレたちは怪我もしてないし、気にしてないよ」
「ちゃんと僕たちのことを話しておかなかった君の対応にはムカつくけどね」
「だって、お二人は興味無いでしょう、僕の手下のことなんか」

 だから、会わせるつもりが全く無かったのですよ。

「もうすでに7年くらい使っていますから、この二人は」

 今回はたまたまかち合っただけですよ。

「これでもあちこちに隠れ家も沢山ありますしね」

 それでも、こんなことになってしまうとは・・・

「本当にすみませんでした」

 今後はちゃんと話しておきますし、ちゃんと躾けておきます!


「もうどうでもいいよ」
「それより、これお願い」

 綱吉はもういい、と興味を失った様子であり、恭弥はそれより今日の目的をさっさと手渡して帰ろうと思ったようだ。

「はい! ・・・犬、千種、行きますよ」

 そう言って、二人へはまた今度、と挨拶をし、犬と千種を引き摺り部屋を出て行く。
 その場に、ベッタリと密着している綱吉と恭弥を残して。





犬と千種は犬と帽子にしました。
ケンじゃなくてイヌね!(笑)
次に出すキャラたちは何て呼ばせるかなぁ・・・

2009/7/12 回収


この下にはおまけ。
何か骸を書くのが楽なのは何故?




「――ん? ・・・あれ?」
「むぅ・・・あれ? むくろしゃん?」

 眼が覚めた千種と犬が寝ぼけたように辺りを見回している。
 元々いた場所とは違う景色を不思議に思ったのだ。

「おや、起きましたか」

 千種、犬。
 そう笑って言う骸に、背筋を走った恐怖の欠片に身体だけが反応してビクリッと跳ねる。
 何が怖いのかも分からず、何でこんな風に反応したのかも分からず、ただ骸を見返す。

「さて、お二人にはお話していなかったことがありましたね」

 僕には二人の大切な幼馴染がいるのですよ。

「彼らのために色々と動いておりまして、マフィアを潰しているのは僕自身の野望も関係していますが、彼らのためが大きい所もあるのですよ」

 二人の名前は、沢田綱吉と雲雀恭弥。

「大切な幼馴染の二人は、マフィアと関わらずを得ない現状にあるけれど、マフィアに対する恨みもあり、マフィアなど滅べばいいと言っている」

 そうですね、先日潰した組織も彼らの依頼でしたね。

「この町に性格を偽って隠れ住んでいるお二人ですが、僕の用意した場所では本来の性格を出すことも多く・・・」

 もう、わかりましたよね?

「僕の大切な幼馴染になんてことをしてくれたのですか?」

 どこまでも澄んだ笑顔で千種と犬の二人を見る骸に、二人はガタガタと震えた。

「お二人も許してくれましたので、今回は巡ってきてもらうまではしませんが」

 二人に頼まれた依頼の情報を一刻でも早くお届けするため。

「協力してくれますよね?」

 綺麗な笑みを浮かべた骸に、言葉も無くコクコクと頷いた千種と犬。
 そんな言うことを良く聞く二人に、それで良いのです、とばかりに少し柔らかくなった笑みを浮かべた骸は、二人に指示を始めた。
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