色々と課せられた試練を乗り越え、今日この時、大ボンゴレの10代目に就任する。
そんな流されに流され続けた人生を送っていた綱吉がフラリと消えた。
「10代目!?」
時間だと扉を開けた獄寺は、姿を消している綱吉に、すわ誘拐か!? と慌てる。
バタバタと出て行けば、屋敷の裏手に数名の人影を発見した。
「10代目!?」
声に振り返る人影は、綱吉と恭弥と骸だ。
「ダメツナ! 何してやがる!!」
とっとと戻れ、と声を荒げる家庭教師を一瞥し、綱吉は鼻で笑う。
「茶番はおしまいだよ、アルコバレーノ」
冷ややかに告げる綱吉の声。
いつもいつも、大空らしく全てを包み込むような暖かい声音であった綱吉から響く、極寒の空気のような響き。
その声の響きに守護者たちは息を飲み込む。
「いい加減、オレは疲れた。飽きた」
きっぱりと切り捨てるように告げる声。
「ですから、ツナ君。何度も僕が始末いたしましょうか? と言ったでしょう」
「うるさいよ、骸」
日常を恙無く過ごせる分には何も文句は無かったんだよ、本当に。
「お前ら、何言って……10代目!!」
「黙れ、この駄犬が!」
10代目、10代目ってうるさいんだよ!
先程までの落ち着き払った、冷たく無表情であった時とは違い、正反対なまでに激昂し怒鳴りつける。
「ツナ、落ち着きなよ」
トントン、と叩き、綱吉に少しは落ち着くように恭弥は言う。
「キョウちゃん・・・ごめん、つい」
「気持ちはわかるよ。溜まりに溜まった怒りでしょ? 仕方ないよ」
僕だって色々思う所は多いもの。
そんな彼らの様子を見て、リボーンは呟くように尋ねる。
「ヒバリ・・・そういえば、共犯者だと昔言ってたな・・・」
「そんなことも言ったね、アルコバレーノ。僕は共犯者」
出会ってそこまで経たない頃である中学生の時代の話をよく覚えているものだ。
「そういう言い方をするのならば、僕は協力者でしょうか」
「お前も共犯でいいよ。かれこれ五歳からなんだから」
なんだかんだと五歳くらいから協力してくれている以上、ほぼ共犯者だろ、と綱吉は言い切る。
「ありがとうございます」
くふふ、と認められている事実を喜ぶと、骸は三叉槍を構えた。
「それでは、ツナ君、キョウちゃん、この場は僕にお任せください」
また後程お会いしましょう、追いかけますから。
「よろしく。行こうか、キョウちゃん」
「そうだね。骸、連絡方法は例の方法で」
恭弥にクスクス笑いながらキスをする綱吉に、同じようにクスクス笑いながら恭弥は骸に声をかけた。
そんな二人の姿に、守護者たちが眼を見開く。
「――ツナ!」
少しの間を開けて、ようやく山本は叫ぶ。
しかし、その声に全く何の反応も示さずに、綱吉と恭弥は歩き去る。
「気安く呼ばないでください、マフィア風情が」
三叉槍を突きつけ、骸が道を阻む。
「――お前とダメツナの関係は何だ?」
誰一人として通してなるものか、といった雰囲気の骸に、先程共犯者だと言っていたが、詳しい内容が分からなかったことに、リボーンは口を開く。
「そうですね、もう言っても良いでしょう」
幼馴染ですね、一般的な言葉で言うと。
「でも、マフィアになんかこんな話は関係ないですよね」
五歳の時にはマフィア嫌いになっているお二人ですから。
「なんでだ?」
「ボンゴレ10世争いのためですよ。初代の血を引くからと命を狙ってきた奴らから自分たちの身を護るために手を汚した時から」
マフィアは二人の敵なのですよ。
「ですから、好んでマフィアに足を踏み入れた人間。元々マフィアの世界にいる人間。そんな人たちは二人から嫌われて当たり前なのですよ」
「・・・・・」
骸の話に、返す言葉も何も無い彼らの様子を見回し、その内の一人とは視線で軽く、また今度、と言う。
「そろそろ時間稼ぎもいいでしょう」
時間を稼ぐためだけに、本来なら話す必要の無い過去の話まで持ち出したのだ。
これだけ時間を作れば、綱吉と恭弥は遥か遠くへ行く準備も終わっているだろう。
「もう二度と会いませんように」
霧に紛れるように骸は姿を消した。
後には、綱吉に捨てられたという事実に打ちのめされた守護者たちが立ち竦んでいた。
そろそろここで連載になっちゃってたスレツナ話も終わりですね・・・
バレネタでした!
あと他に何人か書きたいネタがあったような気もするのだけど・・・思い出せません。
つまり、ここでバレた=もう終わりって感じですよねー。
一応、蛇足な話があったりするので、まだもう少し続くけどね。
2009/11/28 作成
あ、おまけ?
今日は、アルコバレーノたちを完全に撒いて、二人きりでデート。
探し回っているだろう彼らから完全に姿をくらますために、二人していつもはしないような格好。
以前、骸が用意してきた洋服を纏い、普段の綱吉と恭弥とは違うように見える。
パッと見――否、じっくり見たとしても、綱吉と恭弥だとは誰も気付かないだろう。
どこにでもいるような、平凡な男女のカップルが恋人繋ぎで手を繋ぎ楽しそうにデートをしているとしか見えないのだから。
「あれ? あれ、極限の妹じゃないか?」
「は? 何見つけてるのさ、ツナ」
デート中に余所見なんて、いい度胸だね、と恭弥が冷たく笑う。
「だって……なんか聞き捨てならないこと言ってたんだよ」
「何を?」
「毒蠍にオレへのプレゼントを作るのを手伝ってもらうって……」
「あぁ、それであの材料……」
どこ見てるのさ、と言いながら視界に入れた彼女たちの手に持たれた白みがかったビニール袋があったのか、と分かったからだ。
「キョウちゃん」
「ん?」
「一ヶ月くらいキョウちゃんの所に泊まる」
「それは構わないけど……大丈夫なの?」
赤ん坊とか、そんなに長期間空けてて何かされないのか? と心配して恭弥が言えば。
「…………だったらいいな」
諦めたように、溜息を吐いた。
お題で書いたスレツナ話の中の一つに骸が変装用のを用意してた話のその後、かな?
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