ピンポーン。
沢田家に客が一人。
「すみません、草壁と申しますが・・・」
「あら、草壁君? 久しぶりね。けれど、うちの子今外国なのよ」
沢田家なのに、出てきて草壁に声をかけたのは弥生だった。
草壁が恭弥の部下であることを知っていた弥生はそう答えている。
「えぇ、知ってます。弥生さんと奈々さんが揃っているなら助かります」
これを。
そう言って草壁が差し出したのは母子手帳と婚姻届と出生届だ。
「これは・・・」
「イタリアにいる恭さんの元へ行こうとしていた時、恭さんから電話が入りまして・・・」
役所に行って書類を持って来い、と命令したのは恭弥だ。
「それで、イタリアへ行くと、これを記入後、印鑑が無いので親に押してもらって提出して来い、と・・・」
とんぼ返りで日本へと戻ってくることになったのだ。
かなりいいように使われてますね・・・
「あらあら、まぁv お疲れ様ね、草壁君」
「いえ・・・」
「それじゃ、早速押すわね」
「あ、私も持ってくるわ」
弥生はパタパタと隣へと走っていく。
印を押して書類を完成させた後、子供たちの名前にキャーキャー騒いでいる。
「流奈ですって!」
「流弥ね」
自分たちの名前の文字が入っていることが嬉しかったようだ。
二人が楽しそうに話している中、草壁は静かに退出を口にした。
「書類の提出はお願い致します」
「えぇ、わざわざ行ってくれてありがとう」
「いつも迷惑をかけるわね」
「いえ。それでは」
草壁が去った後も二人は楽しそうに話していた。
婚姻届の証人は骸とリボーンが書いた。
沢田リボーンとなっていたが、リボーンの戸籍がちゃんとあるのかが疑問だ、と綱吉は思っていた。
骸は多分戸籍くらいは作ってあるだろうと、スルーされている。
「それにしても、草壁さんにとんぼ返りさせるは可哀相だったんじゃ・・・」
「大丈夫。綱吉の部下たちは日本のことあまり知らないだろうし、守護者たちは忙しいでしょ?」
「それはそうですけど・・・」
草壁が日本で動いている頃、そんな会話がイタリアではされていた。
「でも、キョウちゃんが帰らなくて良かった・・・」
「まだ体調が完全には戻ってないからね。数ヵ月後には帰るから」
「えぇぇ!? 何で!?」
「並盛が好きだから」
「・・・・・」
「それにここ、落ち着かない」
「・・・確かに」
ボスの私室ということで、素晴らしい調度品などが飾られ、豪華な部屋だ。
壊したらどうしよう・・・と思ってしまう綱吉も、和室の方が落ち着く恭弥も落ち着かない。
「あと、あの二人も連れて帰るから、哲にパスポート取得も頼んだよ」
「えぇ!? 連れて帰っちゃうんですか?」
「あげるって言ったけど、当分は離せないだろうからね」
一応は母親から早くに離すことは良くないということだけは勉強したらしい。
草壁が持ってきた育児書の成果のようだ(笑)
それに、いくらボンゴレの血筋だとか、そういう事情があったとしても恭弥なら連れて帰るだろう。
「またこっちにも来るから」
「・・・・・」
「それに、多分、あの二人も嫌がってるし・・・」
「・・・そうですね」
そう言って二人がルナとリューヤへと眼をやれば、大人たちに囲まれてしまっている。
次代の母親のことはあまり考えたくないが、11代目候補であり、10代目の子供ということで、誰もが可愛がっている。
――可愛がりすぎて、嫌がっている。
中でも、特に猫かわいがりをしている・・・
「ルナちゃん、リューヤくん、じぃじですよ〜v」
・・・・・えぇっと、家光はじじ馬鹿と成り果てており、その溺愛ぶりに当の本人である子供が引いている。
「確かにあれは・・・」
「嫌がってるよね」
表情が可哀相なことになっている。
まだ物心着く前だろうに・・・
ボッ!!
「あちっ! ・・・ルナ? リューヤ?」
子供たちが死ぬ気の炎を額に灯しているのを見て呆然としている家光。
「・・・・・」
「やっぱり嫌がってるし、連れて帰るよ」
「そうして下さい・・・というか! 二人共大空属性ですか!!」
死ぬ気の炎の色から判断する綱吉。
「みたいだね。こんな年から出せるなんて凄いね」
「凄いけど・・・確かに凄いですが、そんなに嫌だったんですね・・・」
「だね・・・」
死ぬ気の炎を灯してしまうほどに強い感情をこんな年で覚えるのはどうだろう・・・
そう、双子の両親は溜息交じりになるのだった。
前の話の続き。
迎えに行ったのに、とんぼ返りさせられる草壁さん。
あ、死ぬ気の炎灯してますが、多分この時のことは本人覚えてませんよ。
当たり前ですが・・・
まだ続きがあるけど、本編と同じことになるので。
「・・・着いた」
空港から出るとベビーカーに乗せた二人の赤ん坊が開放感にか嬉しそうに声を上げている。
その微笑ましい赤ん坊の声に振り返った全ての人が固まっている。
その赤ん坊を連れている人って――と。
「恭さん」
「哲。早かったね」
「恭さんの迎えですから」
草壁が車を回してきて、恭弥たちを迎えに来たようだ。
「自宅まで送りますから」
「頼んだよ」
車に乗り込み、並盛町へと向かう。
後には、あの雲雀恭弥が赤ん坊を連れていた!? という恐怖の感情に染まった人々を残して。
ガチャ。
「・・・」
開いた扉のすぐ向こうに自分の母親の姿を見つけ、止まる。
「お帰りなさい、恭弥♪」
「・・・」
何でだろう。その語尾に付いた音符マークが怖い・・・
「中で奈々も待ってるから早く入りなさい。・・・あ、草壁くんも上がっていってね」
うきうきとした弥生が恭弥を引っ張って居間へと入っていく。
「お帰りなさい、キョウちゃん。キョウちゃんがツー君と結婚なんて信じられないわ〜」
「本当にね。私なんて、女の子産んだはずなのに、成長していくにつれて、本当に女の子産んだんだったのかしら? と何度も自問自答しちゃったのよ」
それは学ラン着て並盛の秩序をしている娘を見てれば、そう思っても仕方ないでしょうね。
はしゃいでいる母親を見て、嫌そうに少し顔を歪める。
「・・・母さん、仕事は?」
「孫と初めて会える日なのよ? 仕事なんてッポイよ。ッポイ! 裕恭さんもそう言っていたわ」
だから、今は自室に居るけど、もうすぐ降りてくるから。
「それで、この子が流弥くんと流奈ちゃんねv」
「ツー君とキョウちゃんの小さい頃にそっくりね」
「本当ね〜v」
嬉しそうにリューヤとルナを抱き上げている二人。
「それにしても、ツナ君と付き合ってるなら付き合ってるで、一言くらいあっても良かったんじゃない?」
そして、妊娠したなら妊娠したって・・・産むなら産むって言ってくれればいいのに。
「娘の出産も知らない母親なんて、母親失格って思われるでしょ?」
「・・・僕、母さん見たの一年振りくらいなんだけど・・・」
「あら、それでも卒業式にはちゃんと出たでしょ、私」
「話す暇なんてあった?」
「・・・無かったわね」
そんなすれ違い状態で話せという方が無茶だ。
「仕事忙しいなら仕方ないんじゃない? 今日はずっといるって言うならリューヤとルナよろしく」
哲、行くよ。
「ちょっと! どこ行くのよ!?」
「結構長くあっちにいたから、馬鹿な群れの粛清」
「・・・これからも暴れる気なのね」
「文句ある?」
「・・・・・好きにしなさい」
「僕は好きに生きるよ」
そして、スタスタと群れを咬み殺しに行くのだった。
うんと、一部削って修正して本編に入れる。
間違いなく入れる・・・けど、短かったので長くするためだけに書いてみた。
一応、没ネタの世界じゃ付き合ってることとか知らなかったことになってます。
2008/1/20 作成
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