パタリ、と音を立てて九代目の執務室から出たリボーンは今日はこちらに泊まり、明日の早朝に日本へ戻る予定だった。
 そのために、貸し与えられた客室に一旦向かっていた。
 その客室を見て、休める環境で無いのならば、自身が所有している塒の一つにでも向かおうと思いながら。
 ――唐突にガシッと腕を掴まれた。
 咄嗟に銃を抜き、相手に付きつけようとした段階で、相手に気付いた。
 警戒もあらわにしたまま、リボーンは掴んできた彼らの促しに従い、部屋へと入った。
 背中でバタンと閉じる扉の音を聞いた直後に腕は放され、何か話があったのか、と彼らを見た。

「何の用だ、ザンザス」

 眉間に皺を寄せているザンザスへ、リボーンは尋ねる。
 その向こう、控えるように立ったスクアーロは、飲み物でも用意しようと二人を見てから離れていく。

「あのジジイ、今度は何を起こそうとしてやがる?」

 知ってるか、信頼も厚い最強のヒットマン。
 そう言うザンザスにリボーンは少し不機嫌になる。
 信頼も厚い?
 今回ドッキリを仕掛けられたのはオレだぞ、と。

「ジジイの起こす騒動の尻拭いはオレに回ってくることが多いんだ」

 それから始まったのは、ザンザスからの愚痴である。
 騒動を起こした最終的な尻拭いは、息子であり、暗殺部隊という掃除のための組織へと任されるのだ。
 断ろうにも、息子だろう、と言われてしまえば断ることもできず、ザンザスはいつもいつも色々とさせられていた。
 その関係で、気付いたらイロモノのような人員が増えていっているのもまた事実である。

「……大変だったんだな」

 そういえば、ドッキリの看板を作ったり持たされたりしてたか……

「次に何を起こすか、少しでも早く歯止めを用意するために、教えろ」

 スクアーロに差し出されたお茶を飲み干してザンザスは言った。

「――そんな状態だって言うのに……」

 それだけ苦労していたと言うのならば、何故……

「なんで10代目になるのを諦めたんだ?」

 今現在のを少しでも止めるのならば、自身が10代目に着く方が早かっただろう。
 いくら綱吉がいるとはいえ――更にそれを知っていたとしても、だ。

「ぁぁ? お前知らないのか……?」

 ギラリとした眼で睨まれて……ん? 涙目?

「オレが揺りかごの後の氷の中から出られたのは、九代目から逃げるためだったのを」
「………は?」

 ちょっと待て、10代目になるために起こしたクーデターだったよな、揺りかごっていうのは。
 その後の氷? あぁ、何かツナが言ってたか……氷漬けにするファーストエディションという技で監禁されてたんだよねぇ、ザンザスって、と。
 その氷から出られた理由が逃げるため……?

「お前にわかるか? 父親から『あーん』で食べさせられる苦しみが! 延々と色々はなしかけられ続ける苦しみが!」

 逃げられないんだぞ!!
 ザンザスの悲痛な叫びに、リボーンは眼を左右へ揺らしながら、目が止まったスクアーロに尋ねた。

「あぁー……これ、どういうことだ?」
「ザンザスはな、可哀相に首から下だけ氷付けだったんだ……」
「あぁー……」

 そういう意味? とリボーンは相槌を打つ。

「九代目の気が向いたら食事を『あーん』で与えられ、何をどうやったのか不明だが下の世――」
「言うんじゃねぇ!!!!!!」

 全力での炎での攻撃にリボーンに説明をしていたスクアーロが黒焦げになる。

 煤けたスクアーロからプスプスと煙が出ているのを見ながら、リボーンはザンザスに同情したかのような感想を漏らす。

「………大変だったんだな」
「それで済ますな!!」

 どんだけ苦労して氷を溶かしたと思ってるんだ、オレが!

「食事の時は鼻歌を歌ってるし…………ぅぅ……」

 思いだしたこと自体が辛かったのか、ザンザスが涙を零さんばかりに落ち込んでいる。

「…………苦労してんだな、お前も」

 九代目に迷惑をかけられているのは、数名どころじゃなかったのか、とリボーンは呟く。
 はぁ、と溜息を吐いたリボーンとザンザスとスクアーロの三人は、情報交換を今後互いにすることを約束し合ったのだった。




前回の思い切り続きです・・・
ヒバツナどーこー?←←

今回もこれ一つですw

2010/12/6 更新



おまけですw


「オ、レは――ジジィの尻拭い係じゃ、ねぇー!!」

 ゴゥッと憤怒の炎が逆巻く。
 ぐるぐると風を巻き込み、火の粉が飛び散る。
 ボンゴレ本部にて起きたそれは、まさしくクーデターであった。
 九代目の義理の息子であるザンザスが、怒りに燃えて辺りを燃やし尽くしている。
 小さな時から義理の息子だと知っていたザンザスは周りの期待を無視して、悠々自適に生活していた。
 どこかでボンゴレの血が入っているのは間違いない、と確かに証明されているため、死ぬ気の炎と超直感を持っていることから候補の一人に入っていることは理解していた。
 けれど個人主義的な部分が強いことを自分で理解していたために、組織のトップに着くつもりは無かった。
 だから、初代の直系で先祖返りとまで言われる綱吉がいるならと暗殺部隊に身を置くことにした。
 今もその判断は間違ってなかったと自負していた。
 けれど。
 口さがない者たちの『掃除係』という蔑称を発祥とする『九代目の尻拭い係』を押し付けられるのは我慢がならない。
 暗殺部隊が、何故九代目が壊しちゃった☆とかてへっ☆とやる度に同盟の仕切り直しやら後始末に借り出されなければいけないのだ。
 文句を言った時、息子だろうなどと、そんなものを免罪符にされ、いつまでも、今でも。
 いい加減にしてくれ! とザンザスは切れてしまったのだった。


 その結末は、ゆりかご事件としてザンザスが氷漬けにされたという形で終わるのだが、その姿を見た綱吉たちは爆笑して二度とその場には来なかったと言う――




いや、一応ツナたちも会いに行ったことが…………
目の前では笑わないようにしてるんだけど噴き出してて、部屋の外で爆笑したらしいよ!
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