「……何しちゃってくれてるのー!?」

 沢田綱吉らしく校庭での戦闘騒ぎに突っ込む。
 ツッコミをしない綱吉という存在は、アイデンティティが崩壊する。
 そのアイデンティティも全て演技上での話なのだが……

「10代目、少々お待ちください! 今こいつを懲らしめますので!」

 懲らしめると言って隼人が手に取っているのはダイナマイト。
 彼の武器は確かにダイナマイトであるのだから、間違ってはいない。
 しかし、並盛中の中では滅多に使わないようにくれぐれもと注意されていたはずだ。
 綱吉と、風紀委員長である恭弥とに。

「クフフ、その程度で僕に歯向かおうだなんて笑止千万!」

 芝居がかったように返答しながら対するは骸。
 力は隠さないと言い切っていた通りに暴れている骸に、いい加減にしろと起こった隼人という図式がその会話だけで見て取れた綱吉は頭痛を感じる。
 その程度で暴れないでくれ。

「…………僕の学校で、何してるの……?」

 彼らの騒ぎを聞き付けた風紀委員たちが恭弥を呼んできたらしい。
 トンファーを構えて二人の間に割り込む。

「クフッ、恭弥君と戦えるのは楽しみですねぇ」

 どこか戦闘狂の気がある骸が唇を舐めている。
 同じく戦闘狂の気は恭弥にもあり、それはそれで楽しそうである。
 恭弥が楽しいならどうでもいいけどさー、と綱吉は思いながら、二人よりは周りが見えていた隼人へと近付いた。

「隼人の気持ちは嬉しいけど、あまり骸に構わないでおいてよ」

 あいつのやることは結局裏目に出るんだし、邪魔しなくても問題ないって。

「さ、沢田さんがそうおっしゃるなら……」

 まだ冷静な部分が残っていたようだ。
 綱吉から下の名前で呼ばれたことで、あっさりと平静に戻った隼人は綱吉の後ろへと移動する。

「隼人は先に戻ってていいよ」
「あ、はい。お気をつけて」

 怪我などする程柔じゃないとわかっていても、念のためにと口にする。
 それには軽く手を振ることで答え、綱吉は戦闘に入っている恭弥と骸へと近付いた。


「うん、ちょっと二人ともオイタが過ぎちゃったかなぁ?」

 まぁ、恭弥が楽しいならそのままにしておいてあげてもいいんだけどね……

「そこまでにしようか」

 三叉槍の柄の部分とトンファーの腹を掴み、間に割って入る。
 綱吉に気付いた二人から戦意が消えると同時に綱吉は手を離して恭弥の手を掴んだ。

「それじゃ、骸はここ直しておいてねー」

 地面がぼこぼこになっているから、と綱吉はダイナマイトと幻覚・三叉槍で作られたグランドの戦闘痕を示す。

「恭弥は一緒に応接室行こっか」

 好きな紅茶でも入れるよ、と言いながら校舎へと足を向ける。

「……はぁ、骸頼んだよ」
「えぇ、任せてください」

 後で僕にもお茶を一杯くらいくださいね、と歩き出す綱吉と恭弥の背中へと骸は言い、骸は地面を均し始めた。

「――むくろー、オレも手伝うかー?」
「えぇ、助かります」

 野球部で慣れているから、と声をかけてきた武に骸は笑顔を返し、二人して作業を続けた。




 帰りのHRを返上したかのように行われていた騒ぎが収まったのを見て取って、生徒たちはいそいそと帰り支度をしていた。
 グランドの作業中の彼らに声が届かない程度に離れた所で会話が始まる。

「なぁ、沢田って、最強?」
「だろ? あのヒバリさんを止めてるんだから」
「あー……あのヒバリさんも好きな相手には弱いわけかー」
「仕方ねぇんじゃねぇ? 余裕でトンファー止めてたし」
「そうだよなぁ、やっぱり強いよな……」

 今までのダメツナはどこに行ったんだ、とぼやく。

「好きな相手を傷つけるのも好きっていうSM趣味じゃなくて良かったよなぁ」

 そこまでヒバリさんが変な人だったら、流石に風紀委員辞めてたよ、オレ。

「あー、そういやお前風紀委員だっけ……」
「おぅ。風紀委員はヒバリさんの強さや在り方への尊敬で纏まっているからな……」

 SMとなると、流石に変態だよな……

「そうじゃなくて良かったな」

 おかげで風紀委員も落ち着いていて、並盛の秩序も落ち着いたままである、という事実を知った彼らは安心した。

「……とりあえず、ダメツナって二度と呼べないな」
「パシリにしてたことある奴らがすっげぇ震えてたぜ」
「あぁー、ヒバリさんに咬み殺されるかも、とか、取り巻きたちに何されるか、って言ってたよな」

 先程グランドで戦っていた骸たちの存在も忘れられない。

「まぁ、触らぬ神に祟りなし、ってな」

 応接室の窓から翻るカーテンの向こうに見える人影が密着しているのを視界の端に収めるのも一瞬にして並中を後にするのだった。




ようやく拍手の変更です。
遅いなぁ私……
こんな毎日を送っていればスレバレはスムーズですよね(笑)

2011/2/1 更新



おまけですw


「う〜ん、やっぱり綱吉君が淹れるお茶は美味しいですねぇ」

 グランドの整地を終えた骸は応接室に押し掛けていた。
 二人きりで過ごしていた所を邪魔する形になったが、一応骸は入る前に中の様子を確認してから入った。
 二人の世界を築いてる程度ならいいが、邪魔ができない程だった場合は諦めて帰るつもりだったのだ。
 一応この段階なら大丈夫だと判断した骸は入室し、邪魔したことに二人を多少不機嫌にさせつつも紅茶を淹れて出してもらった。
 淹れてくれた程度には怒っていないようだ。

「お前いい加減にしろよ?」

 遊びすぎも程ほどに、と綱吉は言うが遊んでいるのは全員だろう。

「もう学校中にバラしてもいいんじゃないですか?」
「そうだね、もう綱吉の強さを知らない人、いないよ?」
「まだ……もう少しは、ね?」

 うーん、と少し考えたが綱吉はまだもうちょっと、と笑うのだった。




彼らの日常です、これらがw
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