今回転生すると、物心つく年齢になる前にリボーンが来た。
 この鈍臭さなら、確かに今から準備始めないとな、と笑ったリボーンに、赤ん坊のできる範囲の把握を間違っていたのか、と気付いた。
 でも、成長には個人差があるって言う話だし、これくらいは別に大丈夫だと思ってたのになぁ……
 だが、面倒なのでこれでいっか、と綱吉はそのままダメツナであることを決めた。




「いってきますっ」

 右手を上げて、とんっと爪先を地面に当てる。
 うん、これなら走れるな。

「気をつけてね」
「うん!」

 公園デビューさせられた公園だし、危険は無いからと一人で出掛ける許可は取った。
 どうせ行っても木陰でゆっくり人間観察するだけだけど。
 それの何が楽しいんだ? と言ったリボーンは知らない。
 時が来るのをただ待つのも辛い――

 ヒュッと風を切る音。
 人体に当たる鈍い音。
 咬み殺された子供が泣く声。

「時、来たれり」

 淡く浮かべた笑みで、凶行の犯人へと歩み寄る。

「元気そうだね」

 ニコリと笑えば、ニヤリと笑われる。

「そっちこそ」

 男の子同士か〜、と少し残念に思いながらも、それはそれで良いか、と笑った。


 久しぶりに会ったキョウちゃんは、まだ五歳なのにすでに最強だった。

「流石はキョウちゃん」
「ツナは?」
「あ、オレは今回弱いからね」

 ま〜ったく鍛えてないし、むしろ弱さを前面に出すことによって対処中だから。

「すでにリボーンが来てるんだな、これが」
「…………は?」

 思いも寄らない発言に、恭弥は唖然とする。

「なのですよ」
「……早いね」
「早いで済ませたくないくらいにね」

 でも、そういうことなのだ、と笑えば、仕方ないね、とばかりに笑う。
 それなら……と互いに視線だけで今後のことを確認しあう。

「――とりあえず、沢田家にご挨拶?」
「とりあえず、一目惚れ主張しとく?」

 コテン、コテン、と互いに見合ったまま、鏡合わせに首を傾ける。

「うん、それじゃ、行こうか」

 手を取り合い、二人は走り出すのだった。



 家に着くと、お母さんお母さん! と手を挙げながら、恭弥と二人で駆け込んだ。

「あら、お友達?」
「ううん! キョウちゃんと結婚する〜!」
「ツナと結婚していい?」

 二人揃ってそんな発言をする。

「あらあら、まぁ。好きなのね」
「うん! ひと、めぼれ? それだって!」

 はじめて見て好きになったから、好きって言ったらキョウちゃんが教えてくれたのー!

「キョウちゃん好きー」
「そうなのねぇ。キョウちゃん? お名前は?」
「雲雀恭弥」
「そうなの、男の子なのね」
「うん」

 恭弥の身長に合わせてさりげなく目線を揃えていた奈々の言葉に恭弥は頷く。

「って、ちょ、ちょっと待て!」

 バタバターっと奥の和室から駆け込んできた家光が叫ぶ。

「うちの息子は嫁にやらーん!!」

 どこのどいつだ、不届きなガキは!
 ガスガスと大きな足音を立てて家光が近付いてきた。
 その後ろにリボーンが面白いことになったぞ? と言った笑みを浮かべてついてきている。

「――キョウちゃんを悪く言う父さんなんか嫌い!」

 そういう言い方をして家光を拒否する。
 元々、そんなに好きな相手では無いため、綱吉の対応も冷たくなる。
 大切で目に入れても痛くない程に愛する息子に、嫌いと言われた家光はその場に崩れ落ちる。
 その崩れ落ちる様を、リボーンが呆れたように見下ろし、綱吉は冷たい視線を向ける。

「キョウちゃん、遊びに行こ?」
「ぁ、うん」

 まぁいっか。別にご挨拶だけのつもりだったんだし、と一人納得した恭弥は綱吉と共に行くために立ち上がる。
 それじゃ、もう一度公園まで行こうかな、と二人が動こうとしたその瞬間。
 家光はふるふると震えながら立ち上がった。
 恭弥を睨みつけるようにして、家光は口を開く。

「――わかった、父を倒せるなら認めよう」
「……ぇ?」

 は? それだけでいいの?
 綱吉はきょとんとした瞳を父へと向ける。

「……倒せば良いの?」

 それだけでいいなら……と恭弥は家光へと肉薄する。
 目にも止まらぬ、という表現が一番正しいと思える程に瞬間的に家光の背中側へと移動し、隠し持っていたトンファーで家光の首元を叩く。
 不意を突いたこともあり、倒すには力が足りないこともあり、恭弥はひとまず軽く触れる程度の力にまで抑えておいた。
 流石はキョウちゃんだよなぁ、とその動きを視線で追い、地面にあまり音を立てずに着地することに、しなやかさと強さをしみじみと綱吉は感じる。
 ふと、視線をずらせば、同じように恭弥の動きを見ていたリボーンがぱちぱちと瞬いている。
 ここまでの実力の持ち主だとは思いもよらなかったのだろう。


「――これで良い?」

 必要ならば本当に咬み殺すようにするんだけどなぁ……と思いながら。
 呆然として首筋に手を当てている家光を観察し、これで文句は今は言えないだろうなぁと思い、溜息が洩れそうになる。
 ――と、パンパンパンと手を打ち鳴らす音がした。
 リボーンの拍手の音のようだ。

「すげぇな、ヒバリ」

 恭弥、綱吉、そして呆然としていた家光の視線までもがリボーンに集まる。

「こんなもんでしょ、不意を突いたんだから」

 厳しい評価をすることが多いリボーンから褒められたこと自体は嬉しいが正面から行ったことじゃないと正直に喜べない、と恭弥は口元を歪める。

「……父さん、邪魔したらオレ怒るからね!」

 許可したのは父さんだよね、と言外に言った綱吉にリボーンが首を捻る。

「ツナ、知ってたのか?」
「何を?」

 どれのこと言っているのか分からない、と首を傾げてみせる。

「まぁ、これでツナは僕のだね」
「あ、そうか! そうなるよね」

 これでずっと一緒だね! と笑い合う綱吉と恭弥は、とても幸せそうであり、一緒であることが自然に見える。

「……待て」

 でも、待ってくれ、とリボーンは口を開く。

「何、リボーン」
「男同士は結婚不能だ」
「外国ならできる」

 実際には結婚という形を取らなくてもいいのだけれど、ずっと一緒にいる、と子供が言い張るには結婚という単語が最適だっただけだ。
 だから、男同士だからと結婚できなくとも一緒にいるというだけでいいのだ。
 けれど、それら全てを押し包むように隠して。

「結婚って言ったって、僕も綱吉も、まだ五歳なんだから」

 これから変わってもおかしくないしね、と恭弥は笑うのだった。
 だよね、と綱吉もそれに頷き、さっき言っていたように、公園に遊びに行こうと二人は家を飛び出した。
 呆然としている家光と、あらあらまぁまぁと子供の言うことを微笑ましく見ていた奈々と、将来有望だなぁと見ていたリボーンの三人を残して。




 イタリアに何度か行った。
 ザンザスにも会った、九代目にも。
 どうやらザンザスに好かれたらしい、10代目はお前だ! と強く肩を握られた。

「い、痛いよ〜……」

 そんなことを言いながら恭弥の後ろへ避難すれば、恭弥とザンザスの間で火花が散った。
 うん、気に入られすぎだ、オレ。

「キョウちゃん〜」

 今回10代目回避無理っぽいね、と見れば、ふぅと溜息と共に頷かれる。
 でも、それならまず。

「キョウちゃん、ちゅう〜」

 とか言いながらキスをする。
 これで好きな人が理解されればそれで解決――

「つ、ツナ! オ、オレにも……」
「や。ちゅうは好きな人としかしちゃダメなの」

 ってか、幼児にキスをねだるな、少年!

「じゃあ、おじいちゃんはダメかな?」
「ん〜……」

 九代目ね〜、どうすっかな〜……

「じゃあ、ほっぺに」

 ちゅ、と口付けた後、恭弥にぎゅうっとしがみつく。

「ツナ、父さんにも……」
「や、父さん嫌い」

 キョウちゃんに酷いこと言ったもん、と言いながら、恭弥の唇に口付ける。

「…………雲雀、勝負だ……」

 銃を構えるザンザスに少しむっとしながら、ちょっと離れてて、とキスを返してくれた恭弥から離れる。

「死ね……!」

 銃が放たれるのを合図に恭弥が動く。
 本来ならこんなに早く動けないだろうスピードで移動した恭弥がトンファーの鉤爪で銃を奪い去る。
 彼のそのスピードの源は炎の力だ。
 見えないように体内だけで爆発させるように利用した死ぬ気の炎によって起こされた素早さだ。
 まだ死ぬ気の炎はボンゴレボスだけの力だと解釈されている時代、誰一人として恭弥の強さの理由に気付くことは無いだろう。
 結末は分かりきっている、とばかりに終わるのをぼうっと待っている綱吉に九代目が尋ねる。

「雲雀君が心配じゃないのかね?」
「キョウちゃんが負けるわけ無いよ」

 何当たり前のこと言ってるの? と見返された瞳に、超直感の煌めきを見付けた九代目が息を飲む。
 正しくは超直感を使うまでも無い事実に、演技の皮が剥がれかけていただけであるが、九代目はやはり10代目は綱吉なのだと再確認した。

「キョウちゃんお疲れ様ー」

 決着が着いたと同時に、綱吉は恭弥に抱き着く。
 頬に付いた一筋の傷をペロリと舐めて、ザンザスを一瞬睨むが、恭弥に視線を戻す。
 二人以外いないかのように、綱吉と恭弥の世界は閉じていた。




 10代目にするために、と周りに喧騒ができ、二人で過ごせる時間が減った、と二人して不機嫌だった。
 今回は骸たちどうしてるだろうねぇ、とか思い出す暇すら無い程に慌ただしく生活していれば、気付いたらいつもの骸の登場の時期がやってきていた。

「そろそろ黒曜ランド行かなきゃ、かな?」
「あぁ、そうか、もうそんな時期」

 あーでも何かめんどくさいなぁ、と応接室のソファに懐く。

「でも、今回連絡よこさないってことは、またやってるんでしょ、骸のやつ」
「きっとそうなんだろうねぇ……」

 連絡をよこさない時は一番最初と同じように遊びに行きます、という意味と同じだったりする。
 その先で何か変更を加えてくるのが骸ではあるものの、その変更が何かは楽しみにしている。

「じゃあ、問題起きたらすぐにも行くってことでいいんじゃない?」

 とりあえず、疲れてるみたいだし、寝たら? と髪の毛を穏やかに撫でられて、うとうとと綱吉は眠りの淵へと誘われていった。


「――――お前死ねよ」

 黒曜センターに入った綱吉は、あまりの事態にそう口にしてしまった。
 何も分からない振りの、何もできない振りを続けてきた意味を無くすような言葉だが、これは言いたくもなるだろう。
 こういう発言をしてしまうと最初から予想していた訳ではないが、リボーンたちと別行動していて良かった……

「そのオレに似た子供、何……」

 ぐったりと骸に凭れかかって瞳を閉じているその少年。
 綱吉より遥か年下……まだ一桁だろう年齢。
 人形のような白さの綱吉に良く似た姿の子供。

「あぁ、可愛いでしょう。僕のお人形さんです」

 人形とか言うな。
 その言い振りだと気持ち悪い想像しか出来ない。

「お人形遊びをする大きいお兄ちゃん、ってどっかのキモオタかよ!」
「お兄ちゃんって響きはいいですねぇ……ま、そんな呼び方してくれるわけ無いんですけれどね」

 そろそろ起きましょう、ね?
 そう言いながら自分に凭れかかる少年を揺り起こそうとする。

「…………ん……」

 目を開いた少年は数度瞬きを繰り返して、それから骸を殴り飛ばした。


「おはよ、ツナヨシ」

 綺麗な笑顔を見せた少年を見て、綱吉は驚く。

「おま……」
「家継だよ」

 お人形とか、気持ち悪い発言でもされた? 大丈夫?
 と笑う家継に、綱吉はこめかみに指を当てる。

「……骸、どういうことか説明しろ」

 死ぬ気弾を撃たれている訳でもないのに、それと同じような表情をした綱吉が骸の胸倉を掴む。

「どうやら、クローン実験中だったらしいです」

 綱吉君が男の子と付き合ってるということから、子孫の問題を心配したボンゴレ上層部の取り計らいだそうです。
 僕としては面白くないですし、流石にどうかと思ったので、全部破棄してきました。今後同じ研究を続けることは無理でしょう。
 そこまでしてきた、と言う骸が唯一救ったのが先程の――

「まぁ、オレだし?」

 と苦笑する家継を見れば、言いたいことは綱吉と恭弥には通じる。
 しかし、勝手にクローンなどを作っているなどという事実を教えられれば……

「九代目に怒りに行った方がいいかな?」
「そうだね。クローンと子供は違うでしょ」

 うん、そうだよね、と頷き合う綱吉と恭弥に家継は首を振る。

「掛け合わせてあるから、ある意味では二人の子供」

 そういう実験だったんだ、と言う家継は、分かりやすいだろうと瞳を示す。
 外見は綱吉にそっくりでありながら、黒く染まる瞳は恭弥の遺伝だ、と。

「…………家継が息子?」
「ぇ……年近すぎない?」

 家継が息子なのはちょっと嫌、と言う綱吉とは違い、別のことを気にする恭弥。

「それは今関係無い……」
「あぁ、近いのは骸が他の実験を強制終了させるための苦肉の策だから許してやって?」
「――って、そういう理由なのかよ!」

 あっさりと答えを与えられて、綱吉は突っ込んでしまう。

「まぁ、そんなこんなで、普段は骸の操り人形の一つの振り」

 話していると綱吉と似てる部分が多いからバレそうだしねー、と家継は笑う。
 一番最初の生では綱吉だったのだし、兄弟や双子などに生まれることも多いのだから、それは仕方ないだろう。

「……そろそろ起きろよ」

 ゴツッと骸の頭を蹴り、家継は喉が渇いたと骸に飲み物を請求するのであった。



 あれこれやっていたら、家継が獄寺たちに見つかってしまった。
 骸の影に逃げ込むようにパタパタと走るが、それを見て獄寺が叫ぶ。

「じ、じゅ、10代目! か、隠し子ですかー!?」
「違うよ! ってか、生めないから!」

 獄寺の嘆きのような声に、咄嗟に突っ込む。

「ん? その場合、誰かに産ませた、って表現の方が正しくないか、ツナ」
「や、だって、オレお付き合いしてる人いるし……」

 そのこと考えれば、産ませたより産めないの方が正しいだろう。

「「って、誰!?」」

 しかし、誰とも付き合ってないと思っていた二人からすれば、そんな驚きにしかならない。
 綱吉のことが好きなのだから、尚更だ。

「ん? 誰って、ひば……」
「えぇぇぇぇぇ!?」
「そ、そんなっ! 嘘でしょう!?」

 言いかけた綱吉の言葉に、そんなのは間違いだ! とばかりに叫ぶ。
 面倒だし、うるさいから、と綱吉は二人を放置した。




 ザンザスたちと獄寺たちの、イタリア組と日本組の綱吉の傍にいるため居場所争奪の守護者戦があったり、どたばたとした日々は続いていた。
 そして、色々と巻き込まれ続けていた綱吉は、9年と10カ月後の未来へと飛ばされてきていた。


「――えっと、どうしよう」

 あまりの事態に綱吉でさえ、呆然としてしまう。
 今までに何度も経験せざるを得なかった10年後の未来に飛ばされた事件。
 ただ敵を倒せば良かったそれのはずが、こんなことになれば仕方ないだろう。
 困ったように尋ねた先は、10年後の家継。
 今の綱吉と同年代な姿に、やっぱり犯罪じゃねぇか、骸の奴と呟いたのも記憶に新しい。
 そう言った時、今のツナヨシが恭弥さんと並んでも同じだよと並べて言われたのは仕方ないことか……

「どうしようって言われても……」

 もう諦めたら?

「何年も前にキレてたよ?」

 だから今キレても変わらないって、と笑う家継に、はしはしと瞬きを何度かして、表情を変えた。
 何年も前にキレたんだ、オレと。

「あぁ、まぁそうだよな」

 我慢する必要がどこにあったんだっけ? とぼやきながら瞳を伏せた。
 一瞬で開いた瞳にはオレンジ色に見える力強い輝き。
 額には炎が灯っている。

「いい加減に、しろー!」

 極力加減して放ったイクスバーナーでその場を鎮圧した。



 この状態に至ったのは、確か、あの言葉が一番分かりやすいだろう。

「チキチキ! 沢田綱吉争奪戦!!」

 そう、この言葉をボンゴレアジトへ通信を繋いできた白蘭が言ったのが原因である。
 何故チキチキなのか、ちょっと突っ込んでみたいが、そんなこと気にしている場合じゃないだろう。

「きょ、キョウちゃん……」
「ホントこりないよね……あいつら」

 こないだツナが切れたって言うのに……
 ぼやきながら、騒ぐ群れを見ていた。

「……まさかとは思うけど……十年バズーカ……」
「うん。使ったの、あれが原因」

 とんでもなく邪魔するんだよね、全員。
 今回未来へ呼ばれたのは、それが原因だ、と恭弥が頷く。

「未来のオレ、何考えてんの……」
「そりゃあ、アレが酷いからでしょ」

 綱吉争奪戦と言われた騒ぎが大きくなっている。
 ボンゴレ・ミルフィオーレ関係無く競争している姿を視界に入れ、綱吉は溜息を吐く。

「ツナヨシの次に獄寺君たちが追いかけて使ってたから、あのメンバーが入れ替わったんだけどね」

 恭弥さんが使ってないのは、こっちで取り返しがつかないことをされないために、だよ。

「ツー……」

 家継の言葉に、綱吉は溜息を吐いた。

 そして、綱吉は切れたのだった。


「本気で怒るよ、オレ! オレが好きなのはキョウちゃんだって、ずっと言ってるよね!?」

 オレを争奪って何考えてるんだよ!!

「結婚してないのだから、沢田綱吉君はまだ誰の物とも決まってないはずだよ!」

 だから、だ、と白蘭が動けないながらも言う。

「……キョウちゃん?」

 どういうこと? と視線も向けず問う。

「婚姻可能年齢になった時からずっとあいつら全員の妨害開始。未だに不可能」

 日本の法律改正も、外国への戸籍の移動も、全て。

「その打開策に綱吉は過去へ」
「そうそう。ツナヨシ追っていった人も皆それを阻止するためだけに、だよ」
「…………」

 何をしてるんだ、全員……

「だって、仕方ないじゃないか」

 全員、綱吉君が好きなんだから。
 ただ、それに尽きる。

「…………キョウちゃん?」
「うん?」
「じゃあ、オレが動いたってことは、そろそろ……」
「うん、さっき終わったよ」

 外国に戸籍を移して婚姻したという届け出が終わってるよ。

「だから、もう大丈夫」
「そうなんだ……」

 じゃあ、オレも我慢しなくていいよね。
 そう言いながら、こんな変なことで呼び出された十年後の世界への苛立ち全てを込めて、そこにいるサンドバッグにちょうど良い彼らへと攻撃を開始するのだった。


「う〜わ〜……酷い状態だね…」

 怒って当たり前の状態だとはいえ、死屍累々と倒れた人の山を見ながら家継はぼやいてしまう。

「ツナ君を手にいれる為の最大の難関はキョウちゃんじゃなくてツナ君自身ですよねー」
「恭弥さん傷付けた時点で破壊神降臨するしね」

 まぁ、それは仕方ないことだよね。
 二人が仲良しで、オレとしては嬉しいけどねー。

「ツナヨシ手にいれる為になんて恭弥さんに手を出したら、人生詰むよなぁ」

 自業自得、だろ? とニヤリと笑って言う家継に頷き返しながら、骸は結局二人に影響受けまくっていますよね、と思うのだった。




「ただいまー」

 何かいつもの展開と違ったから、疲れたよ……
 癒して、癒して、と綱吉が恭弥に抱き着く。

「おかえり」

 何があったの? と何があったのか聞き返しながら恭弥は綱吉を撫でる。
 未来で叩きのめされた獄寺たちはその姿を見るまでも無く倒されている。
 嫌がるシャマルの保健室に放り込むように手配だけをして放置してきている。

「とりあえず、結婚できるようにするための騒ぎだったらしいよ……」

 他に方法無かったのかねぇ……

「まぁ、結婚できたのならいいんじゃない?」

 ツナが暴れたのなら、もう我慢する必要も無いし? と笑いかけ、少しだけ笑い返した綱吉へと口付けを落とした。



「ぼ、僕は疲れました……」
「あはは、十年後のツナヨシ、人使い荒かったよねー」

 外国に戸籍移すために手伝えって骸のこと扱き使ってさー。

「まぁ、同じ未来が来るとは思えないけど、二人はこのまま大丈夫そうだよね」

 良かったよ、と家継は疲れている骸のためにチョコレートと飲み物を用意しながら笑った。






バレネタ没ネタ?
一応キョウちゃんシリーズでバレネタ〜とか考えてた一つなんだけど、どう考えてもにょひばは人を選びすぎるだろw
っていうか、にょつなでも一つハードルできるよね、とか思いながら書いたんだよなぁ……
そういえば、バレネタフルコースの見本何も無いよね……今度友と相談して作りますね!br>
2010/10/25 作成
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