「ツナ〜、14日予定空いてるよな?」
「ぁ、ごめん……予定入ってんだ。誕生日ならリボーンと一緒にしてくれないかな?」

 ごめん、と綱吉はすまなそうに眉尻を下げる。

「え〜、なんだよ〜。じゃ、つなは?」
「ごめん、山本。オレも予定あんだ」

 ごめん! と手を合わせる。

「友達より優先って、お前ら彼女かよ!」

 山本がビシッと背中を叩いてくる。

「あ〜……恋人だね」
「ツナヨシ、そろそろ行かないとお迎え来ちゃうよ?」
「あ、サンキュ、ツー」

 あっさりと肯定する綱吉に、山本は唖然とする。

「ぇ、恋人って何……」
「ツナヨシは結構前から付き合っている人がいるからね〜」

 今日はデートらしいよ、と教えてくれたツナに山本が食いつくように反応を返す。

「なんで意味深に恋人って性別不明の名詞使うんだ?」
「そりゃ……」

 あれを見なよ、とばかりに窓の外を指す。

「………………ひ、ひばりぃ!?」
「そゆこと。ちなみに獄寺君がここ数日休んでるのはアレを知ったから」

 だから先に帰れって言ってあげたのに。

「ま、友達より恋人なのは仕方ないよな!」

 ってことで納得した? と言うツナに山本は頷き返した。

「――なぁ、ならつなは?」

 お前はなんでダメなんだ? と尋ねた山本に答えようと口を開いた瞬間に後ろから潰すように抱き着かれた。

「いっつー……」

 舌噛んだ、と涙目になって振り返った。

「なんで待てないわけ、お前は!」

 待ち合わせ場所で待てよ、骸!
 腕を外して、めくれかけたへそちらさせている制服の裾を直す。

「早く行って選びたいじゃないですか」

 何が良いか全く決まってないんですから。

「だからって、髑髏に迷惑かけるなよ?」
「クロームは大丈夫です!」

 クロームから行きなさいと言われましたから。

「まぁ、いいけどさ〜。お前の趣味だろ、その制服の着こなし」

 自分がへそ出しミニスカにしたいからって髑髏まで同じ格好にさせるなよなー。
 呆れたように呟いて、山本の方へ振り返った。

「つまり、オレの彼女」

 ちょっと嫌そうな表情をして骸を指さしたツナに、山本は目を見開く。

「つつつつつ、つな〜!?」
「ぁー、うん、驚くのも分かるけどさー」

 まぁ、なんだかんだあって、と苦笑いをこぼすツナに山本は噛み付くように言う。

「だだだって、骸って男だろ!?」
「残念なことに女だね〜」
「残念って失礼ですね、ツー君」
「いやいや、言いたくもなるよ?」

 お前も重々わかってるだろ?

「いわゆる……そういう意味ですよ?」

 二人だけで視線で会話しあう。
 わかりあった二人の様子に、頭から煙をぷすぷすと上げながら。

「オレ部活行くわ〜……」
「頑張れよ〜」

 よろよろと離れていく山本を軽く手を振り見送ったツナは骸に。

「んじゃ、ツナヨシの誕生日プレゼント見繕いに行くか!」

 と言ってデパートに向かったのだった。






「――しかし、ツナも綱吉もあいつらと付き合うなんて思いもしなかったな……」

 しかもバカップルだよな、お前ら、とほやく。

「うん? ……そうかな?」
「いやぁ〜、自明の理だし」

 かな? じゃないよ、ツナヨシ。

「でも、そんなに不思議だったわけ? リボーン」

 呆れたように言うツナにリボーンは頷き返す。

「オレはあの瞬間から不思議で仕方ないぞ」

 あの、お前らが二人になった時から――



 ジャンニーニが死ぬ気弾を改造してくれたぞ、と銃を構えたリボーンに綱吉はあたふたと避けていた。
 ちょちょちょっと待てよ! と言いながら避ける綱吉はドジを発揮しまくりの転倒等を繰り返しながら、それでも一度として当たらない。
 あまりにも偶然にしては出来過ぎだ、と本気になった瞬間、綱吉は死ぬ気弾に貫かれた。
 タイミングが良すぎる、と思わなくも無いが、当たったからと疑惑の芽を潰したリボーンは撃たれた綱吉の様子を見つめた。

「何、も、起きない?」

 ただの失敗かと綱吉はホッとし、リボーンは舌打ちをした。

「死んだ時のために呼んでおいたのが無駄になったな……」
「ぇ? 誰呼んだのさ!」

 ツッコミを発揮した綱吉が顔を上げたのとほぼ同時に窓から恭弥が顔を出した。

「って、ひば………」

 名前を呼びかけた綱吉は急に胸元を押さえて倒れ込む。
 そのことに二人が反応する前に綱吉は煙に包まれた。
 十年バズーカが発動した時のように煙に包まれた綱吉に、二人が近付く頃には煙が晴れ、そこには分身した綱吉がいた。

「ど、どういうこと〜!?」

 綱吉が叫ぶ。
 もう一人の綱吉――ツナが少し首を傾げ、綱吉の服の袖を引いた。

「ツナヨシ、ツナヨシ」
「うぇ!?」
「オレ生きてる?」
「……生きてるな」

 だな、とツナに頷いた綱吉を見て、恭弥があぁ、と納得している。

「恭弥さん、お久」

 ひらりと手を振り、後のことをどうするかは任せたとばかりに綱吉と恭弥を部屋から押し出す。

「…………えぇーっと、ダメツナ?」

 の割には堂々としすぎか。

「超死ぬ気の時のツナか?」
「何言ってんのさ、どっちかって言うとオレがダメツナの方だって」
「じゃあ、お前が本体?」
「いや、あっち。オレはおまけみたいな……」

 今までオレいなかったのに何したわけ、リボーン。

「一時的なもの? オレ消える?」

 ちょっとそれも覚悟しなきゃ、と尋ねるツナにリボーンは首を捻る。

「やっぱりお前がハイパーの方じゃないのか?」

 いつものダメツナだったら悲観して嘆いているはずだ、と不思議がる。

「だって、今降って湧いたような存在だよ、オレ」

 別に何かに凄く執着してるわけでも無し、そんなにパニクるわけ無いだろ?

「ま、死にたいわけじゃないから、できればいつまででも生きたいけど」

 それも発生方法からすれば難しいだろ? と言う。
 達観している生に溢れた瞳の光に、リボーンは調べてみるとボルサリーノで自身の瞳をツナから隠した。


「はい、これ」
「ありがとう、助かります」

 戻ってきた恭弥から書類と鍵を受け取りツナはお礼を言う。
 綱吉と一瞬目を交わし、リボーンを振り返る。

「恭弥さんに用意してもらった場所で生活するから、何かあったらよろしく」
「――お前ら、そんなことしに行ってたのか……」
「だって母さんの心臓に悪いでしょ?」

 少し落ち着いてからタイミング計らないと。

「別にオレが行っても良いけど?」
「ううん、ツナヨシはこっちにいて」

 本来の本体が綱吉だと理解してもらうまでは、と視線で伝えたことに綱吉も頷く。

「じゃ、キョウちゃん、ツーのことよろしく」
「お願いします、恭弥さん」

 今回は今まで表で関わってなかったから、綱吉のキョウちゃん呼びとツナの恭弥さん呼びにリボーンは目を白黒させている。
 その間に恭弥とツナは姿を消したのだった。



「――んな感じで話に置いてかれてただろ、オレ」
「別にたいしたことじゃなくて、オレとキョウちゃんは幼稚園頃に遊んでたことがあっただけだって」
「だったとしても、なんでいきなり付き合うことになるんだよ!」
「ん〜、そりゃ、両想いだったのと、ツーに部屋とか用意してもらうための交換条件でしょ」
「あれ? そうだったんだ……」
「だよ。わかるだろ?」
「あぁ、うん。オレに便宜計るくらいならしてくれるけど、あの時の内容まではしてくれないよね」

 結局オレは綱吉じゃないし、と呟く。
 これが綱吉のためだったらおかしくは無いが、ツナ相手ならそうだろう。

「――だったらお前は!?」

 リボーンが今度はツナに矛先を変えた。

「オレはほら、…………ひとめぼれ?」

 自身も信じてなさそうな発言にリボーンはツナを蹴りつけた。

「いってー! や、うん」

 だって、あの時可愛かったんだもん。



「くふふふ、綱吉君が分身したと聞いて遊びに来ましたよ」

 何の前触れも無く、骸は綱吉の部屋に現れた。
 今現在、復讐者の牢獄地下深くに捕らえられているはずの骸がどうしてこう現れたのか、とリボーンは頭痛を覚える。

「あぁ、骸か。久しぶり」

 元気してたかー? と綱吉は平然と言う。
 元気も何も、水牢の中のはずの本体に無茶を言うな、と綱吉はこんな性格だったかと悩んでしまう。

「おや、もう一人はどちらですか?」

 せっかく分身した綱吉君たちを並べて見ようと思って来たのに、とごちる。

「ちょっと待て、ツーなら呼び出すから」

 そう言い綱吉は携帯を取り出す。
 最近まで持っていなかった綱吉が携帯を持っているのは、恭弥から与えられたからだが、その経緯や電話での会話を思い出しリボーンは胸やけから吐き気を催す。

「――で、すぐに来い」
『わかったよ、骸か〜……』

 そんな声が携帯の向こうから漏れていることに、僕じゃいけませんか? などと骸が口を挟んでいる。
 人間の記憶の都合の良いことで、ツナにも綱吉の記憶がだいたいあるため、今の所、特に問題は起きていない。
 骸がやった事件の記憶があるのだから、あぁいう反応でも間違っていないだろうに、そこに注文を付けるあたりが骸らしい。


「本当に綱吉君が二人ですね〜」

 やってきたツナに、骸が呆れたように呟く。

「骸変わらないよな〜、とか言ってほしいわけ?」
「そんなわけ……」
「ん? ……あれ?」

 ツナが骸を見ていたかと思えば、急に不思議そうに首を傾げる。

「はい?」
「お前さ……幻覚で姿変えてない?」

 突然の言葉にリボーンは驚いて固まっている。
 骸ははしはしと瞬きを繰り返し、それから笑った。

「綱吉君は気付いてなかったのに……」
「そりゃ、違うし」

 オレを舐めるな、と苦笑を返す。

「一応、性別等ごまかしてますから」

 実験体になっていた時期から、ずっと。

「バレるとは思わなかったんですが……」

 流石はツグ君ですよね……とリボーンには聞こえないように呟く。

「ツナヨシ気付かなかったんだ……」
「なんか違和感あるとは思ったけど、どうせ骸だし」
「ですよね、綱吉君たちからしたらそうですよね」

 綱吉と恭弥なら、骸ならどうでも良いと言うだろう、と頷く。

「ま、ツーの場合は違うよな」

 互いの性別違えば、ほぼ結婚か何かに至ってるわけだし。

「じゃ、本当はどんな姿?」

 見せてよ、と言われるがままに骸は幻覚を修正した。



「――ま、骸、綺麗だし」

 それだけはオレも認めるよ、と綱吉がツナに笑う。

「それが取り柄でしょ、骸の」

 一目惚れしたとか言った口から骸をけなすような言葉にリボーンは頭を抱える。

「まぁ、骸だしね〜」

 と納得しあった綱吉とツナが笑い合うのを、ただ大人しく聞いていた恭弥と骸が溜息を吐いた。

「本人いる前で話題に出す赤ん坊も赤ん坊だけど……」
「平然と語る綱吉君もツナ君も、ですよね……」

 どうせリボーンには理解できない関係なことには変わりない。
 四人の前世等を知らなければ――教えるつもりはさらさら無いが。

「はい、綱吉君。僕とツナ君からです」
「サンキュー!」
「これ、二人から」
「ありがとう、恭弥さん、ツナヨシ」

 交互にプレゼントを渡し合い、それぞれ立ち上がる。

「じゃ、今度四人で遊びに行こうね!」
「どっか旅行とかも良いよな」
「それは僕がキツイです……」
「あぁ、水牢の中だっけ」

 長時間実体化や幻覚は辛いと骸が言う。

「そうですよー、なんか方法ありませんかね?」
「そんなんツーが10代目になるしか無くない?」

 ボンゴレボスの妻とか、かなり使える立場だろ?

「ツナヨシが守護者だからとかでも出せるだろ?」
「えー、女だったらツーがやらなきゃ結婚とか厳しいじゃん」

 いくらボスじゃなくても結婚難しくなるって。

「そんなのただツナヨシが面倒なだけでしょー?」

 ポンポンと掛け合いながら、四人は部屋を出ていく。
 今日は14日、綱吉たちの誕生日当日。
 迎えに来た恭弥と骸とそれぞれデートだからと二組に別れ雑踏へと消えていった。






ツナ様ハッピィバースディ!
ネタ的に考えついた時、あまりにも頭の中で進みすぎて、終わるまで停止してたというw

あ、友に聞かれたのだけど、キョウちゃんは今回男の子ですよ。
書き忘れーw

2010/10/14 作成
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