E周目2ですが、E周目とは全く違う周回ですよ。
転入生が来た。
今までと違うな〜と教壇を見た。
茶髪を緩く縛ったツインテール。
くるくると髪は巻き胸元へと落ちている。
まぁ美少女な方なんじゃない?
勿論キョウちゃんの足元にも及ばないけど。
「イタリアから来ました! ティナって読んでくださぁい☆ よろしく!!」
うん、そうだよね。
こんな時期の転入生がマフィア関係以外なわけ無いよね。
分かってたよ……
少し現実逃避気味に視線を逸らした。
「ティナちゃん、読めないんだけど……」
「あ、Albertina・Cavalloはアルベルティーナ・カヴァッロって読みます♪」
黒板に書いた名前を指差しながら答える。
クラスメイトの言葉に答えて笑っている彼女は、どこで日本語習ったんだ……
普通もうちょっと硬い日本語になるだろ、とは思うが、ヴァリアーもあんなんだったか……
応接室に何か情報あるかもしれないし、とSHRの終了と共に席を立つ。
「あれ? どこ行くのぉ〜?」
えっと……沢田君、でいいんだよねぇ〜?
隣の席に収まった彼女が聞いてくる。
担任が沢田の隣の席が空いてるな、とか言っていたから覚えていたのだろう。
と思うことにしよう。
「そう、オレは沢田綱吉ね。よろしく」
いつもの笑みを浮かべておき、相手の続けての問いを阻む。
「山本、いつも通りだから」
「お〜、いってら〜」
恭弥に会いに行くということがバレてるのは山本くらいだから、山本に声をかける。
こうしておけば、教師に山本が伝えておいてくれる。
公欠扱いの休みであるとは教師しか知らないが。
「10代目! お気をつけて!!」
そんな大袈裟にすることじゃないって毎回言ってるのに頭を下げる獄寺君には軽く手を振り教室を出る。
「なんでぇ? 大丈夫なの? 授業始まっちゃうのに〜」
「あいつはサボリ常習犯だから気にしなくて大丈夫だって、ティナちゃん」
などと周りから言われて渋々頷く彼女の声が背中から聞こえていた。
「おはよ、キョウちゃん」
応接室の主にちゅっと可愛い音を立ててキスして笑う。
「今朝も一緒にいたでしょ」
お泊りしていたから朝は一緒だったけれど、でも学校では今日初めて顔を合わせたんだからいいでしょ。
「やっぱりキョウちゃん美人だよね〜」
ほぉ、っと感嘆して見惚れる。
うん、オレの大好きな彼女が一番!
「何、唐突に」
「転入生見ていて思ったんだよ」
「あぁ、季節外れの転校生ね」
本来の時間軸ではありえない、という意味だろう。
「それなら、これが目当て?」
ペラリ、と転入のための書類の束が取り出された。
一番上にAlbertina・Cavalloと記載された書類をぱらぱらと捲る。
「そうそう」
一般的な内容だけでも把握しておかないとね〜。
どこにも瑕疵の無い、問題無い無難な書類。
流石にこれだけじゃ、どこのファミリーかもわからないか……
「はい、これ」
「え?」
別に差し出された書類に驚き、一番上にあるファミリー名に目を瞬く。
カヴァッロファミリーという記載のある書類が用意されていることに驚いたのだ。
「ここの一人娘だって」
先に用意しておいたよ、と笑うキョウちゃんは流石だ。
「だからキョウちゃん大好き!」
感謝を抱きしめることで表し、書類をざっと見る。
「多分ボンゴレ10代目が狙いだろうね」
それが命か、同盟のために縁を結びにきているのか、は不明だけどここまで分かっていれば充分だな。
「ありがとう!」
「いや、いいけど」
これくらいならたいした手間じゃない、と言ってくれる。
並盛に関わる全てをチェックしているのだから、当たり前か。
「ま、対応は適当にしておくよ」
ホント、ボンゴレ面倒だよね!
首に下がるボンゴレリングを指で弾いて笑う。
「今回、家継いないからね」
ふふ、と今回はボスから逃げれないだろうと諦めている二人は苦笑しながら顔を見合わせた。
その日の放課後、ティナ嬢に呼び止められた。
「えっとぉ〜……ちょっと話があるんだけど〜……」
授業も半分くらいしか出てないから声をかけるチャンスが無かったんだろうな。
あの後、風紀の書類を片付けたりしていて時間かかったから。
「何?」
笑って聞けば、困ったように視線を逸らした。
「んとっ……場所、移さない?」
ここじゃちょっとぉ〜、と言うから、後ろを振り返った。
「獄寺君、先に帰ってて」
「いえっ、お待ちしていますよ」
「いやいや、その後オレ用事あるから」
気にせず帰ってよ、と断り獄寺君を帰らせ、彼女が屋上に行きたいと言うので連れていった。
「いい風ね! 空がこんなに青くて広い……」
「そうだね、大空に雲が映えているね」
うん、綺麗。と頷きながら彼女の話を促す。
「あたし、ボンゴレ10代目になりたいの」
へ? 命でも縁でも無く、それ?
「だから、そのリングをあたしにちょうだいv」
くれるものだと疑いもしていない瞳。
自分の物だと思い込んでいるにも近いが、それよりは何があっても手にするという意味合いの方が強いか……
「…………欲しいの?」
「もちろん!」
渡さないなんて言っても無駄だからね!
「あたしこそがボンゴレに相応しいんだから!」
ふむ……ボンゴレ押し付けるのに調度良い?
「ボンゴレを任せても大丈夫なの?」
「馬鹿にしないで! あたしがボンゴレになるのよ!」
しばし顔を見つめて、おもむろに頷いた。
「なら、ボンゴレ10代目として継承を認めよう」
ボンゴレの業に負けぬことを祈る。
そう言い、首から外したリングを彼女の首へとかける。
チャリ、と鎖が音を立てる。
先程までオレの首にかかっていた鎖がティナの首元を飾る。
「覚悟を決めし時に指へ通せ」
その時が試練の時だ、と言い残して彼女に背を向ける。
「…………?」
こんなに簡単にボスの証を手に入れられて良いの? とティナ嬢は呆然と立ちすくんでいた。
「キョウちゃん、キョウちゃん!」
はしゃいだように応接室を訪れたオレに何事かとキョウちゃんは顔を上げた。
「ボンゴレボスになりたいって言うから、あげてきた!」
ほら、無いの、無いの! と首に鎖が無いこととリングを持っていないことを示す。
「へぇ……」
そんなのが目当てだったの? と呆れたように目を細めるキョウちゃんに笑う。
「後は今日と明日、家に帰らなかったら物事は円滑に進むって超直感が告げてる!」
「ふぅん……なら、ちょっとコレ熨斗つけて返してくるよ」
「うん♪」
キョウちゃんもリングを放り投げるように言う。
あ〜、骸にも一言言わなきゃなぁ……
ボンゴレから縁を切れる機会に心が湧く。
「数日後が楽しみだぁ〜♪」
キョウちゃんの胸に頭を押し付けるように喜んだ。
家に帰らないでいる内に乱暴をされた、とティナ嬢が言い触らしたらしい。
学校中に響く悪名。
あぁ、まぁいいけど。
他人の評価なんて興味無いし、事実が分かる者にだけ分かっていれば構わない。
「ツナ……ホントにやったのか?」
そう言うってことは信じちゃったわけだ、山本。
「そんなっ! 嘘だと、嘘だと言って下さい!」
「…………」
縋るのはノーサンキュー。
やんわりと獄寺君の腕を外し、軽く首を傾ける。
「そんなの信じちゃったの?」
呆気に取られた顔をして言う。
何度かまばたきをして瞳に力が戻ったのを確認できたということは、獄寺君はティナ嬢にはつかないな。
「ダメツナが悪いんだろうが!」
「ティナちゃんに酷いことをしたのはダメツナなんでしょ!」
「女の子に暴力を揮うなんて、最低!」
「獄寺も山本も、そんな奴に近付くんじゃねぇよ!」
獄寺君は信じてないみたいだけど、クラスメイトたちに阻まれた。
まぁいいや。
「――」
口を開こうとした瞬間、脇からの声に止められた。
「沢田、職員室に来なさい」
担任が口を挟んできた。
いや、いつもながら担任にはご迷惑をおかけしてるね。
これであいつは停学か退学だから安心しろ、などとティナ嬢に言っているクラスメイトの声が背中の方から聞こえていた。
「沢田、当分応接室にいた方が良い」
「ですかねぇ?」
安全を確保するつもりなら、その方がいいかもしれない。
みんながみんな信じている現状なら、暴力に訴えかけられてもおかしくないだろうし。
「証拠も足りないし、あのクラスでは落ち着けないだろう?」
先生という立場から見たら穴だらけ、ってわけだ。
もうちょっと頭がいいと思ったんだけどなぁ……そこは見込み違いか。
そういう演技力や対応は経験も必要だし、未来に任せればいいか。
ティナ嬢の今後を心配するつもりは無いが、押し付けた手前それくらいは考えてやるべきか。
「それよりはヒバリさんが暴れるのを止めてくれ」
あぁ、キョウちゃん今不機嫌だもんね……
むしろそっちが目的なんだな、と担任の言いたいことを把握する。
「わかりました、オレの方でうまく終わらすんで」
あと数日で終わらすから、と担任を安心させるように笑った。
そう、今回の騒動なんて、ティナ嬢ごと全て数日以内に終わることだろう。
数日振りに自宅へと帰った。
帰った場所が隣の家だっただけのことだけれど、泊まるからの一言だけで家には一歩も立ち寄っていないから、数日振りなわけだ。
自室に鞄を置き、制服をハンガーに吊るしていたら、少し青い顔色のリボーンがハンモックに座った状態でオレの方を見ていた。
「ツナ、ここ数日どこに行っていた……?」
「キョウちゃんのとこだけど」
固い表情のリボーンに笑いながら、そんなのいつものことだろ、と言えば、眉根を寄せた。
「オレは信じるが、ボンゴレ上層部はそうはいかなかったらしい」
アルベルティーナ・カヴァッロがボンゴレリングを持って宣言したらしい。
一応、カヴァッロファミリーはボンゴレの同盟ファミリーだからな。
「沢田綱吉にはボンゴレを引き継ぐ資格無し。あたしこそが正統後継者だと」
リボーンの説明によると、ティナ嬢はボンゴレの傍流なんだとか……
「じゃあ、オレは10代目候補から脱落?」
「このままだとそうなるな……」
まだ正式な命令が届いてないから、か。
今は確定していないが、さっきの話によるとほぼ確定だろうな。
「彼女が大空のボンゴレリングを持っていたのはどういうことだ、ツナ」
「あぁ、欲しいって言うからね……リングに拒まれるかどうかは彼女次第だけど」
ちょっと試してあげることにしたんだよ。
「ザンザスのように拒まれることは傍流ということなら無いだろうけれど、オレ自身はマフィアになりたくないからね」
「そんな簡単に終わったばかりのリング戦で手に入れた完全体のリングを渡したのか!?」
リボーンが目を剥くのは、リング戦が終わったばかりなのに手放したからだろう。
けれど、逆を言えば今だからこそ渡すチャンスがあったとも言う。
「オレの守護者がそのまま引き継がれるとかじゃなければ、オレはマフィアになりたくないから嬉しいな」
「……仲間が心配か?」
もし、彼女がお前ら全員の命を消そうとしたらどうする。
「当たり前。それに、オレは降りかかる火の粉は払う主義だよ」
そこはリング戦に表から立ち向かった事実からも分かるだろう? とリボーンに笑いかける。
それもそうだな、と頷いたリボーンに、歌うように続ける。
「一般人だった山本やお兄さんは勿論戻ってほしいし、ランボはまだ子供」
キョウちゃんと骸はオレ以外をボスとして認めるわけないし。
「獄寺君の崇拝はそう簡単に相手を変えないだろうからね」
まぁ、獄寺君はそっちに戻るかもしれないけど。
「全ては彼女次第だよ」
ボンゴレの業を受け止めきれるかも、器があるかも、全ての帰着点はそれ。
「とりあえず、早く全てが決まればいいな」
オレを惜しむリボーンがいる限り、命だけは保証できるかな?
クスクスと笑みを零しながら楽しそうな表情を隠しきれないのだった。
「ボンゴレドンナおめでとう」
「ありがとう」
オレからの言葉でもあっさり受け入れられる辺りは高評価してもいい。
まだリングは嵌めてないようだけど。
「リボーン、お別れかな?」
「あぁ……でもヒバリ関係で会いそうだがな」
「ふふ、そこは仕方ないよね」
裏社会から完全に離れるわけじゃないから。
「その時はよろしくね」
「あぁ、よろしくしてやるぞ」
師弟の絆は形を変えて継続することができそうだ。
ボンゴレから離れるに当たって、一番いい形での別れになりそうだ。
「じゅっ、10代目!」
「獄寺君、もう10代目じゃないから呼ぶなら名前でね」
実際の10代目になるのはティナ嬢なんだから。
本物の10代目に悪いでしょ、と笑いながら獄寺君に注意を飛ばす。
「あ、そうだ! イタリア帰るの?」
「いえ! オレはじゅっ、さっ沢田さんについていきます」
沢田さんと呼ぶことにした獄寺君は慣れるまで時間がかかりそうだ。
罰金制度にでもしたら楽しそうかもなぁ……
それについては後で決めるとして。
「うん、なら風紀に入ってもらうことになると思う」
それが一番楽な方法だろうから、オレが受け入れるには。
「ランボもビアンキもリボーンもみんなイタリアに帰るからね」
少しでも残ってくれると嬉しいよ。
笑って歓迎されることに感動したのか、獄寺君が大げさに喜んでいるが、それは軽く見なかったことにして。
「では、ドンナが乗り越えられることを祈っているよ」
ボンゴレリングにちらりと視線を向けてその場を後にした。
面と向かって言われたティナ嬢だけが『ボンゴレの業』からだと理解ができるように紡いだ言葉。
頬から血の気が少しだけ引いたそのままでコクリとティナ嬢は首を動かし、立ち去るオレの背中を見つめていた。
* * * * *
視線で火をつけることが可能であったのなら、綱吉の背中は燃え上がっていただろう強さで見詰めていた瞳をチラリと首元のリングへと落とす。
大空のボンゴレリング。
綱吉が持っていた時よりも、リングの石の青さがくすんでいるように感じるのは何故か。
新たに家庭教師として就任したリボーンを見下ろす。
アルコバレーノのことも、マフィアのこともだいたい理解しているから一週間後に継承式という話になったが、念のための家庭教師。
相性をこの一週間で確認した後で、合うようならば継続して家庭教師にとの言葉も出ている。
けれど、フリーのヒットマンに戻ろうと思っている、とすでに言われた。
代わりに、それまでの間は全力で守り、全力で教えるとも言われている。
だから、聞くのは今が一番だ。
「リボーン、ボンゴレの業って何か知っている?」
「いや……何だ? それは」
チャリ、とリングを持ち上げ、空を見上げる。
「嵌めた時に起こる試練らしいわ」
「……それなら歴代のボスがパワーアップするのに身の危険を契機に起きると言うボンゴレの試練しか該当しそうなもんは無いな」
「そう……」
パワーアップなのか、としばしティナは考え込む。
掌の上で何度となく転がして大空のボンゴレリングを見つめる。
何処か覚悟を求められているようで、無邪気に嵌めることができないでいる大空のリング。
イタリアで一週間後に行われることが確定しているが故にイタリアへ戻る専用ジェットの中、リボーンに聞く。
「就任式で嵌めないわけにはいかないわよね」
ボスの証であるボンゴレリングを嵌めないという選択肢は無いよね、と確認する。
しかし、間髪入れずに言われる。
「当たり前だろう」
「なら、何かあった時は頼むわ」
覚悟を決めるまでに時間はかかったが、本番当日に嵌めるよりはいいだろう、と空の上という味方以外は存在するわけがない今が一番良いだろうと考える。
――ボンゴレリングを左手中指へと収めた。
ティナはリングをはめたと同時に今までと違う場所にいるように感じられた。
いつの間に移動させられた、と思うまでも無くリングの試練の開始だと超直感のどこかが告げる。
しかし阿鼻叫喚の虐殺場面の最中に放り込まれ、お前が、お前が、と呪いのように、呪詛のように向かってくる嘆きに押し潰される。
元々マフィアの令嬢だったために多少の耐性があったがために意識を失わずに審判の時を迎える。
『ボンゴレの業。貴様に覚悟はあろうな、この業を引き継ぐ覚悟が』
「わ、私はボンゴレになるの!」
キッと睨み付けるように言った彼女にパチパチとゆったりとした拍手の音が届く。
顔を見せないようにしていたマスクが外された顔はボンゴレファミリーの肖像画の間に飾られた歴代ドンであった。
『ならば我らの一員となることを認めよう』
黒いマントに包まれた姿は、その中で一際大きく、美麗でもあった絵姿で見たことのあるT世。
息を飲み込む彼女に彼は告げる。
『]世の希望により貴様をデーチモと認める』
そう言ったかと思えば、不思議な空間が壊れた。
縦の時間軸を司るボンゴレの力の向こうに隠れた人影。
リングの力で作られた『継承の間』の縦の時間軸の影に隠されたもの。
ティナには一瞬だけしか見えなかったが、あれは間違いなく綱吉の影であった。
飛ばしていた意識が現実へと戻ってきた。
指輪をはめる前に確認した時間から一分も経っていないということは、全ては刹那の間に行われたこと。
それでも指輪をはめると同時に意識を無くしたティナを心配していたのだろうリボーンが真横へとやってきた。
「大丈夫か、アルベルティーナ」
「……うん…何とか――」
そう、何とか答えながら上半身を起こす。
指に収まるリングは形を変え、超直感が初代の時代のリングへと戻ったことを教えてくれる。
今現在、手元には無いが、同じ飛行機内の金庫に収まる他の守護者のリングも同じく形を変えたはずだ。
「無理するなよ」
女には優しく、とモットーとするリボーンからの労りの言葉に軽く頷きソファへと座り直す。
トゥリニセッテの一角を担う『縦の時間軸』を司るボンゴレリング。
残りの『横の時間軸』を司るマーレリングは封印されたまま、遠い遠い未来まで関わることはできない。
それもあり、ボンゴレリングを手に入れようと決めたはずのティナだったが。
最後の『点』であるアルコバレーノのおしゃぶりは同時に呪いを受けると言われているが――
「『業』って、充分『呪い』じゃない……」
受け入れたことで胸を貫いた楔。
これから自分も同じように『業』を量産し、深めていくことになる。
その先に『ボンゴレデーチモ』として、あの『空間』の仲間入りをする。
それが、先程の選択でティナに課せられた使命。
逃れることのできない、決められた定め――
「――ボンゴレ」
欲しかったけれど、二度と離れられない、戻れない名前へと継承式を前にティナは縛りつけられた。
後悔はしていないが、カヴァッロの名に対する愛着だけが残る。
「アルベルティーナ、本当に大丈夫か?」
「うん♪ もう、あたしがボンゴレなのv」
だから大丈夫だ、と言ったティナの瞳には決意の光が込められていた。
* * * * *
閉じていた瞳を開いてキョウちゃんに笑いかける。
「今、継承を終えたよ」
「そう。なら、もうボンゴレに巻き込まれることは無いかな?」
いやぁ、嬉しい嬉しい、と曇り一つない笑顔を浮かべる。
「もうこんな形で離れられることは無いだろうけれど、たまにはいいよね!」
「そうだねぇ。――じゃ、今回の後始末頑張ってね」
「はぁい」
ティナ嬢がついた嘘を事実の話で上書きし、元通りになるようにしなければならない。
真実は一つしか無いものだから、簡単に書きかえられるとは思うが、人々の記憶っていうのは時間が一番大きいのだから。
ちょっと大変だろうけれど、ボンゴレから離れられたという事実から考えればこれくらい楽なもんだ。
根回しに獄寺君と山本、お兄さん……あと京子ちゃん辺りにでも出動願おうかな。
学校内での有名人たちの発言力を甘く見てはいけない、とキョウちゃんにも一言もらうかも、と笑うのだった。
「無事終わったね!」
人の噂も七十五日と言うが、彼女がいなくなって一ヶ月も経つと噂は人々の記憶から薄れた。
当事者の片側がいなくなれば、そんなものかもしれない。
「ツナ、風紀財団のトップやらない?」
「え? それはキョウちゃんの……」
「ここまで変わったら、とことんまで」
ね? と笑われ、それもまた楽しそうかと頷く。
ボンゴレ程不自由にはなりえない風紀財団で、獄寺君や山本たちまで所属した半分アンダーグラウンドに足を突っ込んだ生活に突入するのだった。
嫌われ系統でもう一本いってみた。
何がどう転んでも、キョウちゃんシリーズはハッピーエンドであるという強い信頼感があります。
読んでいても安心できますよね、多分w
悪女パターンではあるんだよ、悪女パターンではな!!
悪女って、ある意味ではイイ女のことなんだぜ←
2011/5/15 作成
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