「咬み殺すよ」
いつものセリフで彼女が構えたのは一本の杖だった。
「クッ、そんなものでどうしようと……」
軽口を叩く不良に、恭弥の唇の端はクイッと上がった。
フワフワとしたアニメのキャラの衣装を着た少女は可愛らしい。
女の子たちの憧れのいわゆる魔法少女物と言われるアニメ。
その青い衣装を母親に着せられ、魔法のステッキが安っぽくピカピカしている姿は微笑ましいと言える。
安いプラスチックは簡単に折れそうで、そんな物を振り下ろす少女には悪いが痛い訳が無い。
――無いはずだった。
したたかに殴られた不良は痛みで悶絶し、トドメとばかりに少女は再度振りかぶる。
「あ〜、やってるよ……」
「そんな『あちゃ〜』みたいなポーズしたって、悪いのツーじゃん」
はぐれかけていた綱吉と家継が追い付いた。
暴れる恭弥はいつものことだが、武器が今回違うのは確実に家継が悪い。
「だって、すぐに折っちゃったじゃん、きょーやさん」
そう、最初に持たされたステッキはすでに折られている。
家の塀にぶつけて一日として持たなかった。
「だからって作ってくること無いだろうが……」
嘆いていた母親には悪いが、わざわざ、と綱吉は言いたい。
「いや、ちょっと考えてたら出来そうだったから、つい」
強化プラスチックですら無く、あれはトンファーと同じ金属製だ。
何度か転生している内に覚えていた作り方を駆使したのだ。
「でも、あんなの持ってもらう機会、そうそう無いだろうし……」
家継の言う通り、無いだろう。
家継より10歳程遅れて誕生するなんて。
大抵同年代、ズレて数年なのだから。
「これくらい成長してないと作れないからさ……」
子供の手足では作るなんて無理なのだから。
「だから、ね?」
いいでしょ、あんなに可愛いし、全く周りから浮かないし、あぁいう少女あちこちに居るよね。
トンファーを振り回す子供なんて目立って仕方ないと言われれば綱吉とて否定はできない。
だけど。
「オレに骸まで、って流石に無いだろ」
今放映中のシリーズのメインが三人組だからと言って、用意する意味無いだろう?
「むしろグローブを用意しろよ」
綱吉としてはその方が使える。
「いいじゃん、女の子なんだから」
「…………ロリコン」
「ちがっ! 違うからな!」
酷い! と叫ぶ家継に、生温い視線を向けておく。
「さて、と」
そろそろ行くか、と自分も持たされているステッキを掌に打つように握り直し構える。
「しっかりカスタマイズされてんな〜……」
死ぬ気の炎で魔法めいたエフェクトが発生するようにしたそれで幻覚を構築する。
楽しげな恭弥をドサクサに紛れて回収した綱吉は家継に笑った。
「そりゃ、あるもんは使わねーとな!」
クッと笑い、骸と合流するぞーと二人の手を引いた。
ピカピカって光ってる杖を振り回してる女の子が可愛かったんです。
ホンの出来ごころなんです。
ぷりてぃーできゅあきゅあのPってことで←
2010/12/28 作成
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