恭弥が今回は少しやり方変えてみようよ! と言ったために日本に彼女はいない。
 綱吉とつぐみが双子で生まれ、骸も近所に六道眼で操った一家を装って住み着き始めたある日、彼女は宣言をしてイタリアへと飛び立った。
 今回は向こうから遊んでくる、それだけを言い残して綱吉は置いてけぼりを食らった。
 けれど、イタリアに乗り込むわけにもいかないし、日本から離れる様子の無い奈々と共に足止めをされていた。
 綱吉とつぐみを危険から守るため、という名目の者が張り付いているのもあって、絶対日本から出ることは無いだろう。


 そんな状況に置かれてから幾ばくか、唐突に綱吉が部屋へと入ってきた。

「うぁぁぁ、キョウちゃん〜〜〜」
「うるさいよ、ツナヨシ。何また嘆いてるの」

 部屋は共通の二人部屋だから、嘆くのはどうでもいいが騒がしすぎるのは問題である。

「だって、だって……せっかく誕生日なのにキョウちゃんが近くにいない…」
「あぁ、イタリアに行ったままだもんねー、恭弥さん」

 いっつもべったりの二人のことを考えれば、こうして綱吉が嘆くのも想定範囲内のことではある。
 だいたい分かっていてもおかしくない恭弥が一人行ってしまったことの方が問題だ。
 ……気付いてないんだろうか? 家継はふと疑問に思った。
 いや、きっとそれも恋愛の駆け引きの一つで分かった上なんだろうな。

「そうそう。会えないのって寂しいよー……」
「はいはい、遊びに行って来れば? もしくはプレゼント贈るとか」

 例えば、と例を挙げるように言う。
 遊びに行くくらいなら、隠れて行って帰ってくるくらい綱吉なら何とかするだろうし、プレゼントで終わらせることだってできるはずだ。

「えー……遊びに行ったら帰ってこないぞ、オレ」

 きぱっと言い切る。
 それは言い切ることじゃない。

「きょうやさんに怒られるよそれ……」
「だーよなぁ……プレゼント贈るって、何がいいのやら……」
 多分脳内検索しているのだろう。
 恭弥が欲しがる物、必要な物、何か喜ぶ物を……
 けれど、こう何周もの付き合いとなってくると、そうそう選ぶこともできないのだろう。
 その気持ちは分からなくも無いから、クスクスと笑いながら言う。

「さっさと贈りなよ、間に合わなくなるよ」
「まぁ、ここらへんでも贈っておけば満足してくれるだろうし……」

 つぐみの言葉に焦ったのか、すぐにこうしよう、と決めている。
 何を贈ることにしたんだろうか、と綱吉の手元を確認して。

「って! そんな群れ情報とか誕生日プレゼントにしないで!!!!」

 そんな危険な物送ろうとするなー!!!! とつぐみは全力で叫んだのだった。


「まぁまぁ、ツグ君。ツナ君とキョウちゃんだから仕方ないでしょう?」

 隣の家から来ていた骸がつぐみを慰めるように口を挟む。
 まだ付き合ってはいないものの、秒読み状態の骸とつぐみを綱吉は冷たい瞳で見る。

「うぅぅぅ、むくろ〜〜〜〜〜」

 ホントさっさとくっつけば良いのに……
 骸に抱き付いて嘆いているつぐみを見なかったことにして、綱吉は用意していた情報の送信ボタンを押した。




* * * * *




『昨日、――の路地裏にて数名の遺体が発見されました。当局では殺人の疑いがあり、犯人の行方を追って〜〜』

 テレビが告げる外国のニュース。
 食事時に流れたそれに、つぐみがぽとりと箸を取り落とす。

「うぅぅぅ、地名がきょうやさんのいる場所に近すぎる……」
「あぁー、早いねぇ、昨日送ったばっかりの情報なのに♪」

 それはとてもとても楽しげに綱吉は笑った。

「ツナヨシはそれでいいの!?」
「いいんじゃない? キョウちゃんが楽しければ」

 それは問題だろう! と声を上げても、綱吉の全ての基準は一つ。
 恭弥が楽しいか、恭弥のためになるか。
 そうだと分かりきっていたことだろう? とつぐみははぁぁ、と溜息を吐いた。

「あぅぅぅぅ〜…………」

 ツキンッと痛みを訴える胃に、つぐみは呻き声を上げ、手を薬箱へと伸ばす。
 ここ最近の常備薬に、だ。

「なんか、量増えてません?」

 たまたま食事を共にしていた骸が尋ねる。
 前に骸がつぐみを見た時には、こんなに沢山薬箱の中に胃薬は無かったはずである。
 急に増えたように感じた骸が問えば、掌にざらざらと規定量以上に胃薬を載せたつぐみが遠い目をして言った。

「これが一番効いたんだよ…………」
「へぇ、僕も用意しておきますかねぇ……」

 そんなに効いたと言うなら、つぐみのためにも非常時用に用意しておくべきか、と考え込む。

「骸、できるなら、●×製薬の△▼△っていう名前の胃薬出たら手に入れてくれ」
「え? これじゃなくていいんですか?」

 今良く効くと聞いたこの胃薬の話じゃなかったのか?

「今まで繰り返してきた中で一番良く効いたけれど、すぐに販売停止になった薬なんだ」
「…………それ、他に問題があるのでは……?」

 だから、販売停止にまで追い込まれたのでは? と骸は不思議そうにする。
 そんな危ない物であれば、飲ませたくは無い。

「背に腹は代えられない」
「……そういう所だけ男前でいいんですか、つぐ君……」

 骸を呆れさせた時点で、つぐみは綱吉たちの悪影響を受けすぎだという証拠という話である。





ひばたんです!
チャットでネタが浮かばない〜と言いながら会話文を二本程4日の内に書いていたんですよね。
その内の一本、チャットで書きなおして修正してアップです!
胃薬に対して男前なツーがいい!と友が言ったからこれにしたよ。
全部チャットで書いて発言していたから、早々と見れていたとは思いますが、ちゃんとHTML化したので更新ですv

2010/5/8 作成
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