風見家は広いから家の周りを一周するだけでもかなり時間がかかる。そして、敷地内から出るわけにはいかないから本当に家の周りだけだ。
のんびりと散歩なので、今日は沈丁花の花が咲いたなどと季節感を大切にゆっくりと歩く。
その後は部屋に戻り、読書だ。
この家には今までに見たことの無い門外不出の巻物が大量にある。
趣味である術の作成などは関係なく、興味を持ったものを読み耽るのが毎朝の習慣だ。
「じいさま、おはよう」
「おはよう、キバ」
読んでいると、ノックの音の後キバが顔を覗かせた。
「ご飯できたってさ」
「今、行く」
その日によって、迎えに来る人は違う。
一応、料理当番の人以外と決まっているようだが、その日になってみないと誰が来るかは分からない。
呼びに来てくれたキバとともに居間の方に行く。
「じっちゃん、おはよう」
「おはよう、ナルト。・・・疲れておるようじゃのう」
居間に入るとナルトが声を掛けてきたが、疲れているのか目の下に隈が出来てしまっている。
「ここ数日寝てませんから」
「何があった?」
「ツナデさまにバレた」
朝だと言うのに溜息を沢山吐いている皆。疲れているだけでなく、仕事が嫌になってきているのかもしれない。
「はぁ?お主らがか?」
「ナルトとシカマルだって知られたのよねぇ」
「教えろって煩かったからな〜・・・」
任務を受け取りに行くのはナルトとシカマルだと三代目の時から決まっていた。
「二人だけなのか?」
「そうなのよ。聞いてよ、じいさま」
楽しそうに笑ってサクラが話しかけている。
「疲れてたのもあるんでしょうけど、ナルトの時に普通に話しかけちゃったのよ」
「その夜に説明を求められて、ついでにシカマルのことも教えちゃったのよね」
「・・・失敗しちゃったね、ナルトくん」
最後のヒナタの一言が一番キツイ気がする。
「ナルトとシカマルだけでまだ良かったんじゃない?」
「だよな〜、10人も暗部やってるって知ったら、どんな無理難題を押し付けられることか・・・」
ちょっと想像して、悪寒を感じたキバが震えている。
「いつかは話さなければならないだろう?」
「それはそうだと思うよ。一応、この里の長なんだから」
「・・・なぁ、綱手さん、オレらを二人組みだと思ってないか?」
「あぁ、それな。絶対思ってると思うぞ。私兵を持ってるんじゃないか?としか知らなさそうだし」
私兵・・・本当の私兵が居ないわけじゃないけれどな・・・
風見の関係者とか、親戚とか・・・暁とか・・・・・
「二人組みで何人か私兵が居るだろうという相手に渡すにしては任務量多すぎだけどね・・・」
「それ!わたしもずっと気になってた!!」
「だよな。三代目は気を使ってくれてたし・・・」
「いやいや、わしも厳しい時はかなり任せていたと思うぞ?」
「いいえ!今の量はそれより大変です!!」
そんなに言い切るほど大変なのだろうか・・・
つつくと藪蛇のような気がして突っ込めなかったが。
「今日は下忍の方か?」
「いえ、それは影分身に任せて暗部任務の方」
「五代目が就任してから下忍に行ったことあるか?」
「無いな」
言い切るナルトたちに三代目は笑みを浮かべた。
「わしに出来ることなら手伝いたいが、何も無いからのぅ」
「だったら、この巻物だけでもお願いしてもいいですか?」
「暗号解読だけ!お願いします!!」
全員が手を合わせて頼むので、暗号解読の巻物だけは受け取ったのだった。
朝食を食べ終え、影分身たちは下忍任務に向かい、ナルトたちは分け合った巻物を手に暗部任務へと向かったのだった。
そして、三代目は受け取った暗号解読を
「ん〜・・・疲れたのぅ」
暗号は適当にやっていたのにも関らず、あっさりと解け、残りの時間は術の開発のための巻物を紐解いていたのだ。
今やっている術の開発は、火影であった時から構想だけはあった術で、ここ数日は似たような内容の巻物を開き、詰めの部分に差し掛かっていた。
肩を鳴らしながら首を回し、ちょっと肩が凝ったかな?と思う。
「そろそろお昼か・・・?」
「じいさま、ご飯にしましょ?」
そろそろかと呟いた瞬間、いのが顔を覗かせた。
「ピッタリじゃのぅ」
「そうだった?今日はスパゲティだって、サクラが言ってたわ」
「そうか。楽しみじゃのぅ」
サクラの得意料理は洋食系。三代目の好みそうな和風スパなどをいつも用意してくれる。
「じいさま、それ終わったの?」
「あぁ。これくらい簡単に解けないとは綱手もまだまだじゃ」
笑いながら言う三代目にいのも笑う。
「そういうのが渡される解読には多いですよ?」
「ダ、ダメだよ、いのちゃん。そんなこと言っちゃ・・・」
「だって・・・ヒナタもそう思うでしょ?」
「思うのはいいけど、言ったらダメなの」
やはりヒナタが一番ヒドイと思う。
「そこらにして食べようぜ!じっちゃん、ありがとな」
ナルトの声に話すのを止め、昼食を食べ始める。
「疲れておるなら昼食くらいはわしが作るが?」
「いいの、これくらいは。気分転換にもなるし」
「そうそう。こういう時間だけは寝なくても確保しなきゃな」
家族団欒の時間、といったカテゴリーなのだろうか・・・?
全員で集まって食事をする。その時間が安らぎの時間でもあるのだ。
「今日は報告したら任務は拒否しようぜ、ナルト」
「だよなー。そろそろばぁちゃんにはお灸を据えないと」
一日休めば、何も文句は言わないらしい。
「あ〜・・・そういえば報酬はちゃんと貰ってる?」
「そこんとこは抜かりないぜ。ちゃんと受け取って、そこらの部屋に突っ込んどいた」
「そろそろ部屋に入りきらないんじゃない?」
「でもなぁ・・・闇の世界に入れとくか?」
「そっちのは任務中なりに酒とか買って減るし?」
そして、闇の世界内の倉庫に大量の銘酒などが増えていくのである。
10人がそれぞれ見つけたら買ってくるのだから。
「じっちゃん、何か欲しい物、ある?」
「キセルが欲しいな・・・」
「んじゃあ、いいのがあったら買ってくること!!」
10人は頷くと、午後からも詰まっている任務を解消するために出て行く。
「・・・何本買ってくる気じゃ・・・?」
あの様子だと、全員がいいと思った物をそれぞれ買ってきそうだと、苦笑したのだった。
午後は午前中の続きの術の開発をする。
読み取った部分を別の巻物に纏め、そこから必要なことだけを使用する。
疲れてくると、今度は庭へと出て行く。
「・・・火遁、火龍炎弾!」
身体を動かしたり、術を放って気分転換だ。
「おじいさま・・・お茶でもしません?」
「ん?ヒナタか?」
「えっと〜・・・コーヒー淹れましたから・・・」
「おぉ!いい匂いがするのぉ」
庭にある東屋の部分に数人が集まり、ケーキを食べたりしている。
「今日はね!滝の里で評判のケーキなのv」
嬉しそうに切り分けるいのが皆に配っている。
「おっ、美味い!!」
「ホントじゃのぅ」
「よし!サクラ、この店もリストに追加!!」
「わかってるわv」
美味しいお店はそれ用のリストに追加して、食べたくなったらそこから決めたりする。
「明日は練り切りがいいなぁ・・・v」
「じゃあ、月霞かな?」
皆がお気に入りの店の名を挙げ、それを買うことを決める。
「ナルトが休みもぎ取ってくれるなら、今晩はゆっくり眠れるわね!」
「その分、今頃シカマルと頑張ってるんじゃない?」
その二人はこのお茶の時間に参加は出来なかったようだ。
「じいさま、晩御飯は何食いたい?」
「シチューはどうじゃ?」
「シチューか・・・」
ホワイトソースがどうした、だの呟いているキバはそのまま台所へ消えていく。
「・・・シノ、今日はもう無いの?」
「いや、あるが・・・」
「キバ、料理に入っちゃったわよ?」
「仕方ないから一人でやる」
「キバー!!」
シノが一人で任務に行くと言っていたが、いのはキバを呼びに走っていった。
お茶の時間も終わり、三代目は朝読んでいた巻物を読んでいる。
読み進めていると、いつの間にか暗くなっており、ナルトが怒鳴りながら入ってきた。
「じっちゃん!!明かりも灯さないで何やってんだよ!!」
「おぉ、ナルト。晩御飯か?」
「おぉ、じゃねーよ!電気くらい点けろよな!!」
「これからは気をつけるよ」
「そう言って、何日経ってると思ってるんだよ・・・」
風見家に世話になり始めてからずっとなのだから、ナルトが怒鳴るのも仕方ないことだろう。
「今日の晩御飯はじっちゃんがリクエストしたシチューだってさ」
ナルトは三代目の返事も聞かずにスタスタ出て行ってしまう。
「待つのじゃ!」
そんなナルトを追いかけ三代目はダイニングに入っていった。
「全員、終わったか〜?」
「はい、これ!」
「大丈夫だよ。これが報告書ね」
「しっかり終わらせたわよ〜」
渡された報告書を纏めてしまい、食事の続きを食べる。
「んじゃ、行ってくるな」
食後、報告書を手にナルトとシカマルが五代目に渡すために出かける。
「行ってらっしゃい」
「お土産はいらないからね〜」
お土産=任務?なのだろうか?
「じいさま、デザートは?」
「フルーツか。食べるぞ!」
ナルトとシカマルの帰りを待つ間にみかんを食べていた9人であった。
どうにかこうにか五代目から休みをもぎ取ったナルトたちが帰ってきて、それぞれの時間の過ごし方をしている中、三代目は自室を片付け、早々と就寝したのだった。
「今日もいい一日だった」
後書き
えぇと・・・優雅?・・・でしょうか??
充実はしてると思います。
やりたいこともやれてるし・・・
こんなので良かったでしょうか?
あぁ、そうそう。店の名は適当ですよ?
こんな店、存在しないはず。
2006/2/26 作成