「今日の任務はねぇ・・・」

 遅刻していたカカシが突然現れて、そう言った。

「・・・まず、遅刻を謝って下さい」
「ばぁちゃんに担当上忍変更を申し立てるには・・・」
「ナルト!何話してんの!!?」
「・・・カカシセンセーから離れる方法」
「ひどっ!!」

 酷いのはお前の方だ・・・とばかりの冷たい視線をチラリとやり、話の続きを進める。

「でも、それだけで受け付けてもらえる?」
「それはどうにかなるってばよ。サスケもそう思うだろ!!」
「・・・あぁ。だよなぁ〜・・・・・」

 マジマジとカカシを見、頷くサスケにサクラとナルトも頷く。

「ってわけで、明日にはお別れ・・・」
「そんなことしないで!!先生が悪かったってば!」
「・・・次に遅刻したら決行だから」
「仕方ないってばね」
「おら、うすらとんかち!今日の任務は何だ!?」

 ギリギリで見捨てられなかったカカシが涙を流した状態のまま、笑みを見せ任務について話し始めた。



『・・・何考えてんだ?ばぁちゃん』
『今のわたしの聞き間違いじゃないわよね?』
『いや、オレにも賭場に行くって聞こえたぞ』
『・・・マジに何考えてんのよ!!』

 隠話でブツブツと文句を言っている通り、賭場に行ってほしいと言われたのだ。

 ・・・綱手が忘れたある物を取りに。




「ってわけで、行くぞ〜!」

「ってか、何処の賭場だよ」

「ん〜?何か言った〜?ナルト」
「う、ううんってば。何にも言ってないってばよ」

 ボソリと呟いてしまった言葉に反応するカカシに慌てて否定するナルトであった。




「・・・って、何か居るし・・・」
「カカシセンセー、依頼人が居る場合はどうしたらいいんですかぁ?」
「依頼人って・・・・・あ゛っ!」

 ナルトが呆れた瞳で見詰め、サクラが嫌そうに指差して良い子な質問方法(手を上げて)で、質問する。

 そんな方向を見て、カカシは声を上げた。


『あ゛っ・・・じゃねーし!』
『ねぇ、ナルト?数日ストライキしていいかしら?』
『いいんじゃないか?どうせ暇なんだろ、あの様子じゃ』
『ちょっと待てよ!サクラもサスケも。それで大丈夫かはシカに判断任せようぜ』
『『それもそうだな(ね)』』

 賭場に居る綱手の姿に、それだけ暇なら仕事をストライキしても大丈夫だろう、と思う三人が居た。


「・・・綱手さま?」
「うぉっ!!・・・カカシか」
「どうしてこんな場所に居るのですか?」


 (あぁ、カカシセンセーでもマトモな話し方も出来るのね・・・)

 そんなサクラの感想は置いておいて。



「ちょっとした息抜きだよ」
「ばぁちゃん!何やってんだってばよ!!」
「おぉ、ナルト。お前もやるかい?」

 綱手は楽しそうにルーレットで賭けていたコインを一山をナルトに渡す。

「・・・ばぁちゃん、この金どうしたってば?」

 確か木ノ葉に来る前に全部スッちゃったと思うけど?
 そう続けられたナルトの言葉に目線を逸らす綱手。

「・・・まさかとは思いますが、木ノ葉の、だったりしませんよね?」
「そ、そんなわけないだろ・・・」

 素敵に目が泳いでいて、どっからどう見ても嘘だとしか思えない。


『・・・んで、どれくらい負けてんだよ・・・』
『ん〜・・・あの山から見て、今月分くらい?』

「ほら、ナルト。賭けなよ」

 誤魔化すかのようにそうナルトを促す綱手に、一つ溜息を吐くとナルトは賭けた。

「赤」
「よし!・・・あ、カカシ。向こうに荷物があるから取ってきてくれないか?」
「はい。わかりましたよ」

 任務で頼まれた物を取りにカカシがその場を離れ、サクラとサスケが後ろで見守っていた。

「おっ、ぼうず。すごいじゃないか」
「へへ〜ん。これくらいイケルってばよ!」

『・・・ナルト、ほどほどにね?』
『この賭場を潰すんじゃねーぞ?』
『わかってるよ!!』

 サクラとサスケが注意したのは、以前に潰しかけたことがあったからだ。




「ん〜、次は赤の14ね」
「・・・・・また、当たった・・・」
「んで、黒の4だね」
「・・・そのディーラーを取り替えろ!!」

 何度も連続して勝ち続けるナルトに男はディーラーと組んでイカサマをしてるに違いない!と叫ぶ。

「ん〜?誰だって同じだけど?」
「・・・あぁあぁ・・・もう、もうこの店はお終いだ〜(泣)」

 第一、店のオーナーがこんな風に泣き叫んで居るのだから、イカサマであるはずがないのだが・・・

「ルーレットも飽きてきたや。次はカードにでもする?」
「・・・もう、もう勘弁してください・・・」

 泣き付く店のオーナーに苦笑を浮かべるとナルトはその店を後にしたのだった。




『第一、その時の財産、使い切ってないぞ?』
『わかってるって!これはこれで楽しいんだけどさ』

 あまりにも当たりすぎるので、それはそれで楽しくないようだ。


 そんな会話を終える頃には次に賭けた1〜12に入り、ナルトのコインは3倍になって帰ってきていた。

「幸先がいいねぇ・・・ほら、次は?」
「ん〜と、21で」

 そして次々とコインを増やしていくナルト。



「おかしいわね〜。カカシセンセー、遅いわ」
「だな。行くか」

 そう言って、サクラとサスケが席を外すと、ナルトが笑顔のまま綱手に暴言を吐く。

「んで?どう見てもこの金、オレらとかの任務の報酬だと思うんだけど?」
「な、ナル・・・」
「しかもオレが居なきゃ全部スッっちゃう所だったろ?」
「・・・・・」
「ま、これを持ち帰れば何の問題も無いけどな」

 ナルトがそう言うのは、ナルトが儲けた分だけで、今日綱手が負けた分を余裕で取り返し終わったからだ。


「じゃ、これ全部換金して」
「おいおい。ぼうず、勝ち逃げはいけねーぞ?」
「え〜?その分、ばぁちゃんが負けたからいいってばよね?」

 そう言うが、納得いかない顔をしている相手に仕方ないなぁ・・・という表情を浮かべ、半分を残した。

「んじゃ、次は黒ね」
「よし!それでこそ男だ!!」

 ルーレットが回り、そしてそれは赤に入った。

「あぁああぁ〜・・・」
「残念。ほら、ばぁちゃん、もう帰るってばよ?」

 しっかりと先程換金したお金を持ち、綱手を連れて席を立つ。


「ぼうず!また来いよ!!」
「おぅってばよ!次はブラックジャックでもやるってばよ!!」

 笑顔で別れを告げ、そしてカカシ、サクラ、サスケと合流し、賭場を後にしたのだった。


「あぁあ、勿体無いね・・・」
「ばぁちゃん、賭け事は程々がいいんだってばよ?」
「そうですよ。そろそろ帰らないと皆、心配してますって」

 いろいろと四人に説得され、綱手は帰路についたのだった。

「・・・しかし、ナルト。いくら取り戻したんだ?」
「え・・・?見てないから知らないってばよ?」

 カカシの問いにナルトは受け取ってきた袋をそのまま手渡し、それを確認していくカカシは呆れていた。

「・・・綱手さま、今日、いくら持ってきてました?」
「えぇと・・・―――両くらいかな?」
「微妙に足りないです」
「えぇ〜?」

 それは困ったな、という表情をした綱手にナルトは溜息を吐いた。

「ばぁちゃん、これに懲りて賭場に行くの止めるってばよ?」
「・・・・・わかった」

 まぁ、きっとすぐに賭場へ逃げ出す日が来るんだろうけど。





「サクラ、サスケ」
「はい、これよ」
「しっかり五代目に貸し作ってこい」

 風見家に帰って、まずナルトがしたのはサクラとサスケから袋を受け取ることだった。

「・・・サクラ、サスケ。これ、一袋で充分だけど?」
「・・・あ、そうか?」
「そうかもね」
「適当にどっかに突っ込んどけば?」
「・・・だな」

 ナルトから離れ、カカシを探すまでの短時間、サスケとサクラはスロットを数回、回したらしい。
 そして、しっかりと勝利した二人は袋にずっしりとお持ち帰りしてきたのだ。


 使わない一袋は適当に放置し、死音の姿をして死影と共に火影邸へと向かう。



「・・・ばっちゃん、足りない分どうすんだ?」
「誰かに払わない訳にもいかないし・・・困ってた所だ」
「・・・五代目、無利子でお貸しいたしましょうか?」
「ただし、賭場に言ったら行く度に倍にしてくからな」

 そう言うナルトとシカマルの言葉に甘え、現金貸付を受けたのだった。




 それから、しばらくして。

「うわ〜〜・・・首が回らない〜〜!!」
「・・・だったら賭場に行くの止めろよ」

 ふぅ、という溜息を聞いても止めることの出来ない綱手が居たとか・・・


後書き

大勝・・・短い回想場面でしか起きてません。
でも、最後に半分賭けて負けたのに、
綱手が負けたのよりちょっと少ないくらいなら
かなり勝ってるような気がします。

そして、最後に負けたのはわざとです。
こんなので良かったのでしょうか?


2006/3/8 作成

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