「ナルト、一つ頼まれてくれぬか?」
「何?何か任務?」
「任務は任務なのじゃが・・・」

 言葉を濁す三代目からナルトは巻物を奪った。


「・・・風見家への依頼〜?」
「・・・そうなのじゃ。その大名の家は風見の血を多少引いておってな」

 風見の血を多少なりとも引いているため、代々の大名に口伝で風見家のことが伝えられているのだ。
 全部を詳しく、という訳にはいかなかったので、木ノ葉近辺の土地神の子孫であることくらいだけなのだが・・・


「それはいいけど、どうして護衛任務になるんだ?」

 そう、巻物に書かれた依頼内容は、大名の息子の護衛だった。

「乱開発を止めようとしているこの大名を説得するため、というのが一番大きいだろう」
「しっかし、風見家に依頼するようなことかよ・・・」
「指名料込みでAランク。悪くは無いと思うが?」
「まぁな。んじゃ、死影とオレと引き合わせてくれよ」
「あ、それは無理じゃ」
「なんでだよ!?」
「大名が風見家当主=ナルトだと知っておるからじゃ」
「おいおい・・・」
「そういうわけで、下忍任務ということになる」
「うっわ〜・・・めんどくせー」




 そんな会話がなされた二日後、ナルトたち7・8・10班の9人はアカデミーに居た。

「ん?ナルトか?どうしたんだ?」
「あ、イルカ先生!おはようってば」
「おはよう。皆、元気そうだな」
「当たり前だってばよ!」
「それで、なんでお前らだけでここへ?」

 そうイルカが聞くのも仕方ないだろう。
 本来、任務となれば担当上忍を含め、フォーマンセルで受けるのが当たり前。
 なのに、ここに居るのは下忍たちだけ。
 しかも、9人も居れば何故ここに居るのか?という話になっても仕方ないだろう。

「任務だってばよ?」
「イルカ先生、火影さまから大名の子息の護衛任務の巻物、預かってない?」
「え?・・・これ、Aランクだよな?」

 机にあった巻物にAランクであるという印がついていることから子供たちを窺う。

「そうそう、それ!いくらかーちゃんの命令とはいえ、Aは無いよな」
「キ、キバ・・・?」
「先生、心配しなくても大丈夫よ。家の関係で受けなきゃいけなくなった任務ってだけだから」
「実際、Aランクも無いらしいよ」
「めんどくせーことに、指名されたらしいからな」

 ナルトたち全員に眼を順々にやると、巻物に眼を落とした。

「・・・下忍だけで、Aランクか?」
「そうだってばよ!オレの力が認められた証拠だってば」
「お前一人の力なわけねーだろ、ドベ」
「ドベって言うな〜!!」

 サスケとナルトが掴み合ってたりするが、それを放置してサクラが巻物を受け取っていた。

「依頼相手はどこ?」
「・・・わかった。今、呼んでくる」

 イルカは何か諦めたような表情を浮かべ、隣の部屋へと入っていった。


『・・・それで、この下忍演技はいつまで続けるの?』
『そうだな・・・里を出るまではこのまま』
『説明は必要かな?』
『いらねーだろ。どうせ、大したことじゃないし』
『そっか。じゃ、そういうことで』

 イルカが大名の息子を連れてくるまで、そんな隠話が行われていた。



「こちらが護衛相手のご子息だ」
「はじめまして、俺は―――」

 イルカが連れて来た男は何故かキラキラした効果を纏いながら、目線を女の子たちに向けている。

『・・・なんでわたしたちの方を見てるの?』
『なんかさ、さりげなくナルトくんたちを無視してない?』
『・・・あたしもそう思うけど、どうなの?』

 女の子へとアピールされている自己紹介を素で無視して隠話で話し込んでいるサクラ・ヒナタ・いのであった。

「君たちの名前を教えてくれないかな?」
「え?あ・・・手、離してくれます?」
「あぁ、ごめんごめん」

 男はサクラといのの手を両手で掴み、名前を聴いている。
 謝っているのにも関らず、手は離されない。


「オレってば、ナルトだってばよ!」
「サスケだ」
「僕はチョウジ」
「オレはキバだ」
「シノ」
「・・・シカマル」

 手を剥がし、それぞれ自己紹介をして三人を背中に庇う。

「男の名前はどうでもいいんだよ。そちらのレディーのお名前は?」
「・・・サクラ」
「あたしはいの。この子はヒナタよ」

 どうでも良さげに答え、イルカを振り返り挨拶をしている。

「そ、それじゃイルカ先生・・・行ってきます」
「き、きっとなんとかなる・・・と思うから」
「頼む。問題は起こさないでくれ!」
「うん、あたしたちに任せておいて」

 問題のある依頼人に、問題児であった下忍たち、そして女の子たちも手を出されでもしたら何を仕出かすかわからない。
 と、心配は尽きないが、何とかなることを祈り、送り出すイルカであった。




「サクラちゃん・・・いや、サク姫だな、うん。ねぇねぇ、サク姫。趣味って何なの?」
「・・・『サ・・・サク姫・・・(引き攣り)』そうねぇ・・・『もちろん毒薬作りよねv』植物を育てることかしら?」
「サク姫なら綺麗な花を咲かせるんだろうねv」
「・・・あ、あはは・・・そう、かな?」
「絶対そうだよ!」

 里の中を騒ぎながら歩いていく中、男はサクラをナンパ中でした。

 サク姫とか呼ばれて、サクラは(このボンボン、どうしてやろうか・・・)などと物騒なことまで考え始めていた。

「いのちゃんとヒナちゃんの趣味は?」

 こっちの二人はちゃん付けのようである。

「あたしはサクラと一緒」
「・・・手芸・・・かな?」

 一応、依頼人だから無視をするわけにもいかないので答える。
 いのの趣味はサクラと一緒で毒薬作り(笑)という意味である。
 いのは料理も毒に変化するのだから趣味という次元を超えていると思うが・・・

「皆、女の子らしくっていいねv」
「「・・・・・」」

 返事をする気にもなれず、儚い笑みを浮かべるのが精一杯だ。


 ナルトとサスケが喧嘩をしていたり、キバがそれに絡んで周りを巻き込んでいったり、といった騒がしい中、里を抜けていく。
 そして、木ノ葉の正面入り口を抜け、<あ>と<ん>と書かれた門が全く見えなくなった頃、ナルトとサスケの喧嘩は不自然な程あっさりと収まった。


「予定としちゃ、行程は二日。途中で一泊するからな」
「そこらへんはシカマルに任せるわよ」
「んで、野宿になると思うから・・・」
「女の子たちが居るのに野宿する気かい!?」

 9人で予定を話している最中にボンボンは口を挟んできた。

「黙ってて。たまには構わないけど?」
「見張りは交代で一時間ずつだな」
「女の子にそんなことさせられるか!!」
「だから、少し黙ってて下さい」
「黙ってられるか!女の子に見張りなんてこと、させられるわけないよ!!」
「・・・・・男だけで交代するしかないか」

 ボンボンがあまりに五月蝿いのでそういうことになる。




「寝なくていいのか?」
「オレのことなど気にせずに見張ってろよ」
「別にそれでもいいんだけどな」

 その夜、キバが見張りに起きていると、ボンボンは星を見上げていた。

「・・・おい、お前」
「?・・・なんだ?」
「将来の夢とかあるか?」
「忍を続けて家族と一緒に平和に暮らす」
「即答だな・・・」
「そりゃあな。ここに居る全員、夢を叶えているんだから」
「忍になりたくなかったのは居ないのか?」
「居ないな。居るわけが無いんだよ」
「・・・そうか」

 キバからの回答を反芻しながら夜空を見上げるボンボンに、キバは笑みを漏らした。

「家を継ぎたくないのか?」
「なっ・・・お前、何言ってんだよ」
「決められた道――親の跡を継いで本当にいいのか、と悩んでるんだろ?」
「そんなわけないだろ!!」
「オレたちが親と同じ道を選んで忍になったことを知ってたから、あんなこと聞いたんじゃないのか?」
「・・・・・」
「いくらでも悩めばいい。嫌だったら逃げることも出来るんだし」
「お前に何がわかる!!?」
「一応、依頼内容の確認で事情は知ってるからな」

 キバの言葉に苛立ちも露わに席を立った。

「あぁ、それと、相談相手の名前くらい覚えておけよ」
「・・・男の名前なんか、誰が覚えるか」

 ボソリと呟いた言葉にキバはクスクスと笑っていたのだった。




「おぉ!貴方が風見の・・・!?」
「はじめまして、現当主うずまきナルトです」
「よく来てくれた!今回は依頼を引き受けてくれありがとうございます」
「いえ、お会いできて嬉しく思います」

 大名の屋敷に着くと、大名が早速ナルトに会いたがったのか面会となった。

「うちのドラ息子の護衛などという任務ごときに大勢で・・・申し訳ない」
「こちらの都合もあり、9人で来させてもらいましたから」
「本日はこちらに泊まられると良いでしょう。食事の時にでもまたお話させて頂きたい」
「はい、わかりました」
「ありがとうございます」

 すぐに任務の予定も無かったので、屋敷にゆっくりさせてもらうことにした。



 大名に歓迎され、その夜は豪勢な食卓で話も弾んだのだった。

「・・・なぁ、サク姫」
「なぁに?」

 ボンボンにサク姫と呼びかけられるのにも慣れたサクラは料理に舌鼓を打ちながら首を傾げる。

「会った時と全員の性格が違う気がするのだが・・・」
「・・・生きていくためには偽りを身に纏うことも大切なのよ」

 説明になっていないような回答だが、その言葉が男には考え込ませる内容だったようだ。


「・・・サク姫、ありがとう」
「え?何が?」
「いや、何でもない・・・」

 一人で納得したようにサクラから離れていく。

「・・・わたし、何かやったっけ?」

 サクラは不思議そうにボンボンの背中を見たのだった。




 翌日、屋敷を辞した直後に闇の世界で帰宅した9人は、お土産に渡されたお菓子でお茶していた。

「それにしても敵も来なかったし、暇な任務だったよな」
「そうそう。あいつさえ気にしなければ散歩みたいな感じで」
「一応?下忍らしく終えれたからいいんじゃね?」
「まぁな・・・サクラが一番大変だったんじゃねー?」
「適当にあしらってたけどね」

 これでAランクならぼろ儲けだよな、というのが全員の感想だったようだ。

「・・・その男の名前、何なんだ?」
「・・・・・え?」
「オレは会ってないからな・・・で、名前は?」
「・・・覚えてない・・・」

 ネジからの質問に誰一人として答えられなかった。

 ・・・向こうが名前を覚えようとしなかったので、あっさりと脳裏から削除したようだ。


後書き

ナンパ男な遠戚の話でした。
サクラが狙われてます・・・
傍目にはロリ?と聞かれそうな年齢差があります(汗)

風見家の話――こんな感じになりましたが、良かったでしょうか?


2006/5/3 作成

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題名は思いつかなかったので、適当で変なお題。より借りました。