ふと気付くと暗い部屋に居た。

「・・・ここ、どこだ?」

 ボソリと一言呟くが、声が届く範囲には誰も居ない。
 ちょっと意識を広げれば、離れた場所に5人程度の気配があることに気付いた。
 でも、その相手に接触する前に何故ここに居るのかを思い出した方が良さそうだ・・・

 そう、風見家のナルト――死音は記憶を辿ることにした。




「ナルト?何やってるの?」
「いのか?どうした?」
「うん?ちょっと今日の任務、できればやりたいな〜と思って」
「順番が狂うから言いに来たのか?」
「そう。確か、今日ってナルトとシカマルだったでしょ?」
「あぁ」
「明後日のあたしとサクラの日と交換!ダメ?」
「まぁ、いいけど・・・」
「ありがとう!じゃ、あたし、シカマルにも言ってくるから」

 パタパタと足音を立てて走っていく。

「あ、あんまり長くそこに居ない方がいいと思うわよ〜?」
「わかってるよ」

 家の脇にある倉庫の入り口でいのを見送った。


 ここには初代当主からの色々な物が入っているので、下手すると何が起こるかわからない物も多い。
 以前に雛人形とか初代当主の手記とかが出てきたのもここだ。

「でも、いい加減、何があるかのチェックしておかないと危ない気がしてな〜・・・」

 そうなのだ。放っておけば問題ないだろうが、何があるのかを纏めておくだけでも後々役立つだろう。
 そう思って倉庫の中を調べていたのだ。
 端から順に調べ、巻物に書き記し・・・そんなことをちまちまとやっていると入り口にシカマルが来た。

「いのたちに任務やってもらうって?」
「やりたいらしいからいいだろ?」
「まぁ、どうでもいいんだけど、明後日の任務って色じゃねぇ?」
「あぁ、そうだっけ。でも、幻術でどうにかなるだろ」
「そうなんだけど、めんどくせー」
「あはは。シカらし〜」

 手にしていた巻物を仕舞い、次の箱を手に取る。

「で?何やってんだ?」
「ここって何があるかわからないから調べてる」
「そんなんやるなら声かけろよ」

 一人で全部やるとしたら何日かかるかわからねーぞ?

「数年がかりを覚悟してる。どうせ、まだ若いんだし?」
「そっか、でも手伝うよ」

 そう言って、シカマルも一緒に調べ始めた。




「あぁ、そうか。その後、ある箱に入った物が光って・・・」

 直後、ここに居たということは、あれは呪いの道具か何かだったのだろう。

「そんなもんがあっさりと置いてあるのは流石風見家の倉庫だよな〜・・・」

 ってことは、ここは別の時代や世界という可能性もあるし、別の場所に移動しただけということも考えられるが・・・

「一応、暗部面で顔を隠しておくか」

 別の世界でも問題無く闇の世界もできるから、闇の世界に手を突っ込む。
 着替えるのが面倒だったのか、普段着の上にマントで全身を隠し暗部面を被る。

「ここがどこかを調べるか」


 気配を消すと、最初に居た真っ暗で何も無い洞窟のような雰囲気を持った部屋を出た。




「・・・・・それなら・・・それなら、なんであの時・・・オレを殺さなかった!?それで断ち切ったつもりかよ!サスケェ!!」
「・・・・・」
「ナルト・・・」
「・・・簡単な理由だ・・・お前とのつながりを断ち切れなかったんじゃない・・・」

 ナルトの怒鳴り声やサクラの呟き、サスケの声が聞こえてきて、死音は暗部面を被ったことは正解だったな、と思いながらそちらへ向かう。

「ただ、お前に言える事は・・・・・あの時。お前の命はオレの気まぐれで助かっただけだという事だ」

 そう淡々と語ったサスケは一瞬の間にナルトの肩へと手をかけていた。

「・・・そういやお前には火影になるっていう夢があるんじゃなかったか・・・?」

 ナルトの耳元に囁くようなサスケの姿。

「オレを追い回す暇があったら、修行でもしてりゃ良かったのに・・・なぁ・・・ナルト」
「・・・サ・・・サスケ君・・・!」

 右手で刀を引き抜きながらサスケは続ける。

「だから今度は・・・オレの気まぐれでお前は命を落と・・・」

 ガスッ!

 サスケの口上の最中にサスケは後ろから踵落としを食らわされ、地面と仲良しにさせられてしまった。



「何者!!?」
「・・・あ・・・んぶ!??」

 先程までサスケが立っていた場所には暗部の姿の死音が居た。

「・・・・・何をする・・・?」
「何って、あまりにもバカなことを言っている人が居たから、ちょっと、な」

 ぐりぐりとサスケの背中辺りを踏みにじっている死音。
 サスケはそれから逃れようとしているが、死音が封じきっている。

「君は・・・誰だ?」
「事故でここに来ただけだ。オレの怒りに触れるようなことを言ってるバカが居なければ出てこなかったさ」

 肩を竦め、手を広げるような大げさな身振りを見せる。

「・・・ナルトの・・・声?」
「・・・えぇ!?」
「あ、そういえば・・・」

 サスケは地面と仲良くしている最中だったので、声しか判断基準が無かったから逆に気付いた。
 死音の声はナルトそのままだと。

 他の人は視覚に騙され、ついでに動揺していたために気付けなかったのだ。


「事故だ、つっただろ?オレの世界だとここは未来に当たるんだろうな・・・」

 オレの世界でこんなことしやがったら、サスケ七割殺しにしてやる・・・
 そんなことを呟いた死音はバレたようだし、と面を外しマントのフードを下ろした。

「・・・ホントにナルトだわ」
「ちょっと幼いか?」
「あまり変わらないように見えるってば」

 死音がナルトだとバレていく中、サスケは未だにもがいていた。

「ナルトがサスケの気まぐれで生き残り?今回、サスケの気まぐれで死ぬ、と?」

 馬鹿馬鹿しい。

「オレの気まぐれでまだ殺されてないだけなのにな」

 酷薄な笑みを浮かべる死音にサクラ・ナルト・サイ・ヤマトの四人は寒気を感じた。


「・・・おっと」
「チッ!」

 サスケが千鳥流しを使用した。バチバチと電気が迸っている。
 死音は簡単にナルトたちに影響が無いようにした上で受け流した。

 その間にどうにか地面から離れることができたサスケは死音と相対した。


「あんま面倒はかけないでくれないか?」

 クナイ一本しか持ってないんでな。

「・・・は?」
「暗部の任務中だったんじゃ・・・」
「どういうことだ?」

 ヤマトとサイは、死音がマントの下に来てるのは暗部服でないことに気付いた。

「自宅の倉庫の整理中だったから、武器なんて必要無いし」

 こんなことがあるなら今後は用意しておくか。

「・・・そんなんで勝てるのかよ」

 死音を甘く見たサスケが刀で切りかかってきた。

 カキンッ。
 死音がクナイで止めるとサスケに蹴りを一発。

「いくら修行したとは言え、オレのチャクラ量に勝てるわけ無いだろ?」

 ついでに、オレの世界のサスケは里抜けしなくてもお前より強いんで。あしからず。

「・・・サスケ君・・・」

 手も足も出ないサスケの姿。
 口元に手をやり、ただサスケの名を呟くサクラ。
 同じ自分だと言うのに、強い死音の姿にナルトは唇を噛み締めている。


「木ノ葉に連れ帰るのか?」
「あ、あぁ・・・」
「じゃ、縛るか」

 簡単に印を組むと、サスケの影が実体化しグルグル巻き。

「・・・!?」
「か、影?」
「そう。影首縛りの応用な」
「だ、だって、それ・・・奈良家の血が・・・」
「親戚なんで。あ、でも、ナルトは無理だと思うぞ」
「そ、そう・・・」

 ナルトが脱力して、肩を落とすのをポンッと叩き、一瞬で上へと移動する。


「・・・ナルトくん?」
「あぁ、聞いてなかったのか?」

 眉根を寄せる大蛇丸にクスリと笑うと死音は手にしていた物を突き刺す。


「あ、あれ・・・!?」
「サスケが持っていた刀・・・」

 下ではサクラとナルトが驚いている。
 彼らの一人として気付かぬ内に刀を手にし、大蛇丸に突き刺したのだ。

「九尾のチャクラを込めたから簡単には治らないぜ」

 ニッと笑みを浮かべ、カブトを見る。

「こいつの身体なら、長くは持たないだろうな」
「何を・・・?」
「ここで殺しておいた方がナルトたちのためか・・・?」

 カブトがチャクラを纏わせたメスを投げ付けるのを首を傾げながら避ける。



「何やってんだよ、お前は」

 そんな死音の影から死影が出てきた。

「あ?シカマル?」
「だっから、あの倉庫嫌なんだよ・・・」
「片付けなきゃいけないんだって」
「そりゃあな。・・・っつーか、お前、何やってんだよ」
「え〜?おしおき?」
「馬鹿なこと言ったかやったか、したのか」

 納得すると状況を確認する。

「サスケを拘束して、大蛇丸に傷を負わせたか」
「いいじゃん。バカなんだから」
「どうでもいいけどな。とっとと帰るぞ」
「は〜い」

 死音と死影の状況にそぐわない能天気な会話の間、カブトは攻撃を続けていた。
 全て弾かれたり避けられたりしていたが。
 うざかったのか、死影がカブトに数本のクナイを投げていた。
 カブトの急所数ヶ所へと刺さったクナイを見もせずに下へと眼をやった。

「すんません。こいつが迷惑かけました」
「何もしてない!」
「そうか?」
「そうだ!・・・あ〜、その影は三十分も持たないんで、後よろしく」

 手を上げて別れの挨拶に変え、次元移動の術で風見家の世界の元居た時間を指定する。


 消えた二人に、後でナルトとサクラは疑問を話し合っていた。

「なんで、シカマル?」

 シカマルが来たことが気になっていたらしい。




「それで、何が原因だったんだろう・・・」
「あの箱に入ってたの、初代当主の装身具だったらしい」
「はぁ?また初代〜!?」
「持ち物にチャクラが染み付いてて、それが変に作用したんだろ」
「うっわ〜・・・付喪神みてー」
「そんなもんだろ。それにしても、無事で良かったよ」
「あはは。とりあえず、今日は止めにするか」
「もう二度とやらなくてもいい・・・」
「だから、片付ける必要はあるんだって」

 二人はそんなことを話しながら、倉庫を後にした。


後書き

紗奈の怒りをそのまま死音に体現してもらいました。
・・・こんな感じで良かったのでしょうか?


2006/11/15 作成

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題名は思いつかなかったので、適当で変なお題。より借りました。