イライラした様子のいのが玄関からスタスタと居間へと入ってきた。
 イライラをテーブルにドンッと手を突いて発散しながら座り込んだ。

「あ゛〜、ムカつく・・・」

 テーブルの上を指がコツコツと叩き続け、眉根が寄り目付きが鋭くなっている。

「どうしたんだ?いの」
「ちょっと聞いてよ!今日ね・・・・・」

 荒々しくテーブルを叩きながら訴え始めた。




 今日の朝、食後にニコニコと女の子たちは会話をしていた。

「久しぶりに下忍任務休暇が重なったことだし、遊びに行こう?」
「雑貨屋とか巡って、喫茶店でお茶して・・・」
「服も見て来よっか」
「そうだね!」

 7・8・10班の休暇が綺麗に重なり、サクラ・いの・ヒナタの三人で楽しい買い物へと出かけていった。


 色々と見た後、休憩に喫茶店に入った。

「・・・やっぱりさっきの鏡、買おうかしら」
「あぁ・・・可愛かったわよね〜」
「でも鏡、何枚も持ってるし・・・」
「ちょっと使うには良さそうだったじゃない」
「そうよね!」

 食べ終わったら買いに行こうと笑っていた。


 そんな時だった。

「あの、ちょっと・・・いいかな?」
「・・・・・」

 いきなり声をかけてきた男に、嫌そうな表情を隠さずに三人は振り返った。

「・・・何ですか?」
「あの・・・その・・・・・」

 口ごもる男にますます訝しげな表情を浮かべる。

「好きです!付き合ってください!!」
「・・・はい?」

 男はサクラに向かって頭を下げたので、サクラは何を言われたのか理解したくない、といった様子で聞き返した。

「ひ、一目惚れを・・・」
「へ?」
「だから付き合ってください!」
「・・・ごめんなさい。わたし、貴方みたいな人、趣味じゃないの」
「ぼ、僕のことを知ってから断ってください!」

 そんなことを言って、花束を手渡してきた。

「・・・・・」

 ちょっと嫌だったので、いのがサクラの手を引き、三人はその場から走って消えた。




「そりゃあサクラは可愛いけどね!」

 何があったかの説明を終えて、いのはテーブルをまたドンッと叩く。

「落ち着けよ、いの」
「サクラがそんなの受け入れるわけ無いだろ?」
「それに、この広い火の国でまた会えるわけ無いって」
「そうそう」
「・・・それも、そうよね?」

 ナルトとシカマルの宥めに、怒りを収めるいのの姿にその場に居たサスケやチョウジがホッとする。

「ストレス発散なら暗殺系入れとくし!」
「サクラを放っておかないで話してきたらどうだ?」
「うん!よろしくね〜」

 いのはサクラに会いに居間から出て行った。

「・・・ひとまず落ち着いて良かったな」
「いののサクラ好きにも困ったもんだな」

 ハハハハと笑って彼らは忘れることにした。



 それを思い出さなければならなくなったのは、それから一週間も経たない頃のことだった。
 7班の任務で子守をしている時だった。

「見つけたよ!!」
「・・・・・」

 子供をあやしていると走って近付いてきた男にサクラが顔をしかめる。

「やっと会えたね!」
「・・・誰だ?」
「あぁ、ごめんね。自己紹介してなかったな」

 自分勝手に話し始める男を無視して隠話で話し始める。

『で?誰?』
『いのたちと遊んでいた時に告ってきたバカ』
『へ〜・・・こいつが』

 ウザイと思ったのか顔をしかめるナルトとサスケ。


『任務もそろそろ終わるし、ちょっと落ち着いて?』

 いつまでもペラペラと喋り続け、アプローチし続ける男にだんだんと物騒な気配を纏い始めた二人。
 そんな二人に言い寄られている本人が困り始める。
 実際にサクラも怒っているが、それより何をしだすか分からない雰囲気を纏っているナルトたちの方が心配なのだ。

「ナルト、サスケ、サクラ。お疲れさま」
「カカシセンセー、遅いってばよ?」
「依頼人が離してくれなくてね〜・・・」
「じゃ、もう終わりでいいんだな?」
「大丈夫だよ〜」
「じゃ、二人とも、帰りましょ」

 サクラがさっさと帰ろうと歩みだす。

「サクラ?どうしたんだ?」
「センセー、邪魔」

 一言で切って捨てて放置。
 だが、カカシがサクラの名前を呼んだことにより、男に名前が知れてしまった。

「サクラちゃんって言うんだv春らしくって可愛い名前だね。春生まれ?」
「・・・・・」

 カカシのせいだと、睨み付ける眼には殺気が込められている。

「それにしても、サクラちゃんがくの一だなんて思わなかったな〜・・・」

 ペラペラペラペラ・・・・・
 あまりにもマシンガントークで話しかけてくる男に、プチッと切れた。

「うっさいんだってばよ!!近寄んな、バカ!」
「人の迷惑を考えられない奴を好きになるわけ無いだろ」

 カカシが目の前に居るから、攻撃し始めるとまではいかなかったが、ナルトとサスケが怒鳴った。
 ナルトがサクラに手をかけている男の手を振り払い、サスケが男の行動を遮っている。

「ナルト、サクラを連れて行け」
「後からちゃんと来いよ?」

 ニッ、と笑い合うと二手に別れる。
 カカシは何があったのかわからず、その場に留まっている。

「サスケ?どうしたんだ?」
「カカシは黙ってろ。何もしない」
「あぁ、サクラちゃん・・・・・」

 離れていくサクラを追いたそうな様子を見せるが、サスケがしっかりと止める。

「サクラに二度と近付くな」
「君に言われる筋合いは無いと思うな」
「オレとサクラはお前が思いもよらないような関係だ」

 というか家族だ。とは言えないが。

「今日は忠告だけで済ましてやる」

 それだけ言ってサスケも帰宅する。



「あ〜、もう!いのが怒るのも分かるぞ、あれ!!」
「そ、そう?」
「ホントに救えねーな、あいつ」
「あ、お帰り、サスケ」
「サスケもやっぱそう思うよな!」
「当たり前だ!!」

 ナルトとサスケが怒って色々と言い始める。
 その言葉にいのの怒りも復活し、被害が広がる。


「・・・そんなに怒んなよ」
「そうだよ。明日はお休みじゃない」
「そうだ!気分転換にピクニックにでも行かないか?」
「たまにはそんなのも楽しいんじゃないか?」

 口々に慰めたり、提案をして逃げようとしている。

「そうだな・・・ピクニックか・・・」
「それも楽しそうだよな」
「サクラ〜!サンドイッチ作ってくれる?」
「いいわよv」

 そう決まると、三人は少し機嫌が直った。




 機嫌が悪いとまではいかないが、胸にモヤモヤした物を抱えた数人を含んだ風見家の10人はピクニックへと出かけた。
 朝からお弁当を作り、楽しげに移動する。
 久しぶりに全員で遊びに出かけるので尚更楽しそうだ。

「わ〜、綺麗〜・・・」
「わたしのお勧めスポットなんだ〜」
「サクラの?へ〜、いい場所だな」
「闇の世界で一瞬なんだけど、ピクニックだから少し歩くことにしたんだけどね」
「これなら全然いいよな」
「ありがと〜、サクラ!」
「どういたしまして」

 草原で、少し珍しい花が咲く場所だ。
 花の色が変わっているので、ちょっと見ると綺麗に見えるのだ。

 レジャーシートを敷いて、のんびりと話す。
 赤丸が見える範囲で駆け回っている。

「こんな場所、よく見つけたな」
「一応、火の国では絶滅しかけている花だからね」
「たまたま見つけたの?」
「そうなの。たまに薬草摘みに出た時にね」
「あ〜、ズッル〜イ。あたしも一緒の時だったら良かったのに・・・」
「今度一緒に行こう?」
「そうだね!」

 笑って話したり、お弁当を楽しそうに食べたり・・・素敵な時間を過ごしていた。
 いのの希望通りのサンドイッチが入っていて、いのが満面の笑みで食べていた。


 全員の機嫌も回復し、お昼寝に入った人も居た。
 そんな時、また嫌な声が響いてきた。

「あ〜、サクラちゃんvもうこんな場所で会うなんて運命としか言いようが無いね!」

 先程まで笑みを浮かべていた人たちが口元を引き攣らせる。

「え?・・・どうしてここへ?」
「運命だよ!」

 嬉しさ一杯といった様子でまくし立てる男。
 そんな出来事に怒ってもいなかった人までイライラとし始める。
 サクラ自身も引き攣った笑みを浮かべ、いつになったら終わるのか・・・と目が笑っていない。


「・・・今までに三回会ったけど、やっぱりアナタと付き合う気はありません」
「えぇええ〜?」
「趣味じゃないので・・・帰って頂けますか?」

 いい加減にイヤになったサクラが口を開く。

「そんなっ!・・・なんで・・・なんで!」

 サクラが帰れと言ったのに、帰ろうともせずサクラに纏わりつく様子に、ナルトたちが怒る。

「サクラが嫌がってるだろ!」
「早く帰りなさいよ〜」
「そういうしつこい奴って嫌われるぜ」
「サクラとじゃ格が違うな」
「釣り合いが取れないんだよ」

 口々に言う。
 サクラに限らないが、風見家と付き合うとなると、ただ人じゃ無理だろう。
 特にこのような凡人じゃあ・・・・・

「他人に言われるようなことじゃない!」

 逆切れして声を荒げる男にサクラがこれまでで一番冷たい視線を送る。

「大切な家族に対する暴言―― 一生許しませんから」

 最後にニコリと笑い、サクラはナルトたちを振り返った。

「今日はもう帰ろう?ね、ナルト」
「あぁ、わかった・・・」

 全員、男に冷たい視線を送り帰宅した。



「か・・・ぞく?」

 二度と許されないと愕然とした男が一人残されていた。


後書き

まず最初にいのが暴走しましたが、実はこの時すでにヒナタも不機嫌です。
書かれてないですけどね〜(笑)

といった辺りでよろしかったでしょうか?


2006/10/29 作成

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題名は思いつかなかったので、適当で変なお題。より借りました。