「アカデミーって疲れるよねぇ……」
「でも楽しいじゃない! 皆で一緒だしv」
「そうだけど、ナルトたちは大変そうだし……」
「それも込みで楽しんでるんじゃない?」

 アカデミーにも慣れ、毎日の生活がパターン化してきた頃。サクラといのはいつもの実験をしながら話していた。


「いの。これ、貰ってっていい?」

 サクラが手に取ったのは以前作った幻覚系の毒。

「いいけど、何に使うの?」
「最近ね、ムカつく人が多くてね……w」


 ナルトに対して暴言を吐く里人。
 ナルトを狐と呼び、暴行を加える者。
 サスケが何も頑張っていない恵まれた子供だと嘲笑う者。
 ヒナタを当主候補から落とされたと思ってる者。
 名家の子供は不幸知らずの幸福だと思い込んでいる者。


「ってわけで、ちょびっと悪夢を見てもらおうかなぁv って思って」
「そうねv なら、これも使うといいわよw」

 いのもそれらの里人に怒りを感じていたので、止めること無く別の薬を手渡す。

「ありがとv ……でも、これで足りるかしら?」
「そうね。これじゃちょっと心許無いわね」

 完成品の数々を手に取り、量を確かめる。


「「…………作りますか」」


 綺麗にハモった二人はニヤリと笑った。




「……ど、どうしたんですか?」

 アカデミーの職員室でイルカは同僚たちを見て(おのの)いた。


 青く痩せこけた頬をした人物。
 目の下に真っ黒な隈を作った人物。
 リストカットに走ったと思われる手首の包帯。
 胃をやられたのか胃薬を大量に買い込む人物。
 眠ることに恐怖を感じたと思われる栄養剤を買い込む人物。
 うふふふ、と何処か遠い処へ行ってしまった人物。
 ギラつく瞳をした危険な人物。


 などなどといった、どう考えてもヤバイだろ!あんたたち!!という同僚たちに恐怖を感じるなという方が無理ある。

「……イルカ先生は大丈夫なんですか?」
「……な、何がですか?」
「最近、里中で悪夢が流行っているんですよ……」
「殺される夢や嫌な仕事に追われる夢。家族に罵られる夢を見た彼なんか、自殺まで考えるようになって……」

 指差されたのは手首の包帯の人物。


「あぁ。妖に食い殺される夢を見た彼は何処かに逝ってしまいました」

 別世界に逝ってしまったのなら精神病院か施設に隔離した方が良いのでは……?


「……そ、そうなんですか…」
「火影さまも胃薬を大量に買い込んでいましたよ……」
「……授業、どうしましょう?」

 先生方がこんな状況で授業を行うことは難しいだろう。

「どうにかなりそうな数人で纏めれば……グハッ」

 その先生は喀血をしてしまう。

「せ、先生も休まないと……」
「だ、大丈夫です。こんな時こそ頑張らねば!」

 赤い口元を拳で拭き、笑ってみせる。


(血を吸った後の吸血鬼みたいです……;)


「イルカ先生が無事だったのは何よりです!」
「自習にでもしましょう」

 生徒たちにも悪夢に魘されてる人物が居たようで、空席が目立つ。
 異様な雰囲気の中、宿題が出され自宅学習が命じられたのだった。




「……なぁ、シカマル。これってやっぱ…」
「……だろうな。嬉々として里中を駆け回ってたからな」

 溜息交じりのシカマルとナルト。

「……ここまで大事になったら任務達成に支障が出てきてるんじゃないか?」
「きっと、そうなるよな」

 木ノ葉の里の進退問題にまで発展している、今回の出来事に頭を抱えたくなる二人であった。


 その頃、頭を抱えるどころか、持病の胃痛が悪化して、胃潰瘍になっていると診断された三代目は泣きそうな表情をしていた。

「絶対! これは彼奴らの仕業じゃ!! この任務の山をどうしろと言うんじゃ!!!?」

 三代目は今回の事件は風見の誰かの仕業だとわかっていた。

「……死音を呼ぶか…」

 もう溜息しか出ない三代目は山を解消するためにナルトを呼び出した。


「死音。これらを全て……出来るか?」
「判ってるよ。皆で分担するから大丈夫だ」
「じいさん、机の下にある任務も任せてくれて大丈夫だぜ」

 流石に全部は悪いと思ったのか、何件か期限にゆとりがあるものを除けていた。

「ホントか!? ……助かる」
「今回は仕方ないって。後少しで収まると思うからもうちょっと頑張ってよ、じっちゃん」
「じゃあ期限までには終わらせますから安心して待ってて下さい」
「死影、作戦よろしく!」
「わかってるよ! 一旦帰るぞ」

 ナルトとシカマルは巻物の山を抱えて瞬身の術で消えた。

「……頼んだぞ、死音」




「さて、今回はちょっとやり過ぎたサクラといのに責任を取ってもらう」
「えぇえ〜!! ……まさかあたしたちだけでやれとか言わないよね?」
「流石にそれは厳しいから一番負担するってとこで」

 テーブルの上にごちゃっと置かれた巻物の山にウンザリする皆。

 多すぎて何本かは下に転がってしまっている。


「でも、これは仕方ないよね。だって皆、喜んでたもの」

 ヒナタが言う通り、悪夢を見て傷心している里人を見て『いい気味だ』と思っていなかった者はいない。

「それに、報酬はちゃんともらえるんだろ?」
「大丈夫だろ。今回は何かを壊した訳じゃないし」

 以前、里を破壊したという名目でタダ働きになったことがある。

「なら、終わったら旅行でも行くか?」
「いいかもね。ネジはお父さんの所へ?」
「……会えるなら喜んで行くな」
「サクラちゃん、いのちゃん。私の家に遊びに来ない? この前言ってたもの、手に入れたから」
「ホント!? 行くわ!!」

 目の前の山に多少現実逃避をしてしまったが、終了後のご褒美が決まったこともあり、やる気を出した。

「それじゃ、決まったことだし、やりましょうか!!」

 シカマルが立てた作戦に基づき、二人一組で飛び回る。
 持っていった物が終わると一度戻り、また出て行く。
 そんなことを繰り返すこと数回。全てが終わったのは二日後だった。




「つっかれた〜!!」
「ホントにねぇ。影分身も必要だし、休みほとんど無かったしね」
「あ! あの毒、切れちゃったかな?」
「もう切れてるんじゃない? そのうちまたやればいいじゃない」
「そうね。その時までには、別の毒も開発しなきゃねw」
「そうよね! でも、今はヒナタの所にいかなきゃ!!」

 嬉しそうにいのとサクラはヒナタの家に向かった。
 そして、いのとサクラは楽しみにしてたヒナタが手に入れた物を充分に堪能した。

 何かって?毒薬の本かもしれないし、毒草かもしれないですねぇ……


後書き

なんとなくサクラといのに暴走してもらいました。

そのうち、別の人にも暴走してもらおうかと思っています。
そうすれば何とか書けそうな見込みが立ったためw

2005/7/12 作成

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