その雨の中、森の奥を疾走する二つの黒い影があった。その影は素晴らしい速さで火の国から雷の国の方へ走っていた。
「……雨の日の任務ってウザイよな」
「確かに。めんどくせぇ」
凄いスピードで走っているから、話していても大丈夫だと普通に話している。
「しかも遠すぎ!! 移動時間が勿体無ぇ!」
「……それでも他の奴らに比べたら早く着けるだろ、オレたちなら」
他の奴ら、とは自分たち以外の全ての人間を示している。
「まぁな。でも、その短時間でも! 塵も積もれば山となる!!」
「……どうしろと言うんだ?」
「なんか早く移動出来る手段、開発しろvV」
ニッコリと脅し込みで言う。
「どういった物を作れ、と?」
「任せる! 早く移動出来て、できればあんまし疲れないモノvV」
「…………しばらく考えてみる」
こいつには何を言っても無駄だと再確認したシカマルが諦めの声を出した。
数日後、術の構成を考えていたシカマルはふと立ち上がり、居間に居たチョウジに声を掛けた。
「チョウジ、ちょっといいか?」
「何? シカマル、ひとり?」
「一人だけど? それがどうかしたか?」
「だって、シカマルにはナルトが付き物じゃない」
「違うから!! まぁ、あいつの注文だけどな」
「注文? また何かお願いされたんだ?」
また、ってことは前にもいろいろとお願いという名の無理難題を押し付けられている。
「あぁ。……で、今考案中の術のことでちょっとな」
「僕に手伝えること?」
「お前の専門だよ」
「専門って何のことさ」
「亜空間のことなんだけどさぁ……」
影に亜空間を繋ぐことは可能か?から始まり、亜空間を常駐させることは可能か、などいろいろな質問がなされた。
「……それで何に使うの?」
「ナルトが移動時間が勿体無いから早く移動出来るようにしろってさ」
「あぁ。それなら、これでどうにかなるかな?」
「一応、試算上は早く移動出来るはずなんだけどな」
「あ、でも、実際には時間短縮じゃないよね?」
「影の中だからな。理論上は影が存在する所なら何処へでも繋げられるはずだ」
「なら一瞬だね。……やってみる?」
「あぁ、そうだな」
一度、実験してみないことには何とも言えない。
「よし! これでいいか?」
「うん。とりあえず影に亜空間を用意してその中に入ってみよう」
まず、居住空間を常駐させることから始まった。
「ま、これは問題ないな」
「固定することは可能かな?」
「座標でも決めてそこへ繋ぐようにするか?」
「だね。次は別の場所に移動?」
「そうだな。一応、火影岩あたりにしておくか」
などと言いつつ、移動術を完成させていく二人。
最終的には長距離の移動を可能としたのだった。
「ほら、ナルト! 完成したぞ!!」
「ホント!!?(キラキラッ)」
「影の中に入っている間に移動だな」
「へぇ〜。で、時間はどれくらい短縮出来るの!?」
「一瞬でも行けるな。とりあえず影の中に入るぞ?」
シカマルがナルトと共に影の中へ。
影の中は快適な居住空間となっていた。
「すっげー。居間? あ、テレビまである!!」
「のんびり出来る場所を作ってみた」
「うわぁ〜、テレビも写るんだ〜」
写った映像は里の様子だったりする。
「影の中だからな。指定すればどこでも写るぞ?」
「じゃあ、じっちゃん!」
「はいはい。……何やってるんだよ、じいさん」
仕事を山にしたままグラビア雑誌を見てる。
「シカ! じっちゃんの前に出れる?」
「……可能だ。目の前でいいか?」
「オッケーオッケー」
グラビアを見ながらニヤニヤしてる三代目の前に影の中から出てくるナルトとシカマル。
「じっちゃん、何してるってば?」
「じいさん、仕事片付けてねーとマズイんじゃねぇ?」
「うおっ!!? お、お主ら、何処から出てきた!!?」
グラビア雑誌を隠したくとも隠せない慌てた三代目がわたわたと立ち上がって言った。
「秘密〜。それよりじっちゃん、仕事しないとダメだよ」
「わかっとる。……あぁ、ナルト。任務を頼んでいいかのぉ」
「どんなの?」
「土の国の大名暗殺」
「うわっ、また遠いし……」
「承知いたしました。ほら、行くぞ」
「あ、待てって!!」
今度は影に入らず、二人は窓から飛び出していった。
「影の中の移動術は何処まで行けるんだ?」
「土の国ならどうにかなるだろ」
風見家に帰って準備をしてから影の中に入ったのだった。
「なぁ、影の中に忍具を仕舞っておくとか出来ないかな?」
「あぁ、倉庫代わりに使うか……」
いろいろと使い道がありそうな術なのだった。
後書き
あぁ、リクも書かないで何やってるんだ、私は。
ずっと書こうと思ってたので書いてみた。
まだ名前がこの時決まっていない設定なので、
<影の中>を連呼しています。
下忍時に闇の世界という名前に決まりましたからね。
2005/7/31 作成