if 卒業〜イルカ先生がナルトの正体を知ってたら……〜




 森の中、木が薙ぎ倒れかなり荒れ果てた感じになっている場所。そこへイルカが走ってきた。

「見つけたぞコラ!!」
「あっ、イルカ先生……」

 ボロボロになったナルトに頬を引き攣らせるイルカ。
 それもそうだろう。イルカはナルトが実力を隠していることを知っていたのだから。

「ナルト……」
「ん?」
「その背中の巻物はどうしたんだ?」
「あっ! これ!? ミズキ先生がこの巻物のこと教えてくれたんだってばよ。んで……この場所も…………」


『へへへ。下忍になるための茶番劇……なんだよね』
『あぁ、そうだったのか。怪我は?』
『ボロくなるように見せてるだけだからv』


 ナルトたちが実力を隠していることを知ってから、風見家用の隠話から修行まで付けてもらっていた。
 現在は上忍並みの実力を持っているイルカであった。


 ガガガガ!


「ナルト、巻物を渡せ」
「あのさ! あのさ! どーなってんの? コレ?」

 ミズキのクナイをイルカが受けている姿にナルトは驚いた顔をした。


『ゴメン、イルカ先生。任せちゃって』
『気にするなよ。これくらいなら軽いから』


「ナルト!! 巻物は死んでも渡すな!!」

 一応、劇として話を進めてゆくイルカ。

「それは禁じ手の忍術を記して封印した危険なものだ!
 ミズキは、それを手に入れるため、お前を利用したんだ!!」
「ナルト……お前が持っていても意味の無いものだ! 本当のことを教えてやるよ」
「!!」

 何を言い出すのか、と隠話で笑っているナルト。

「バ! バカよせ!」
「この里にはお前にだけは決して知らされる事の無い掟がある。それは……ナルトの正体がバケ狐だと口にしない掟だ!」
「えっ??」
「よせっ!!」
「イルカの両親を殺し―――! 里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!!」

 禁句を口にしたミズキに驚いた顔をしていたナルトの額に青筋が浮かび始めていた。


「…………」


 隠話の中でまでも無言になってしまったナルトに、戸惑いを隠せないイルカは、それでも劇を進めていた。


 ――ザクッ!!


 ナルトを庇ってイルカの背に大きな手裏剣が刺さる。




「……ク、ククク…クハハハハッ!」
「ふっ、狐が目覚めたのか!?」

 勘違いをしているミズキにそのまま笑みを向ける。

「イルカ先生、大丈夫? 今、掌仙術を使うから……」
「あぁ、サンキュー」

 手裏剣を抜きながらナルトは木の上に声を掛けた。

「死影、拘束しといて」
「了解、死音!」

 いつの間にか来ていたシカマルが、影首縛りの術でミズキを拘束した。

「これで大丈夫だよな、イルカ先生?」
「助かった。ミズキの処分は決まってるのか?」
「一応、捕まえて帰ることになってる。だったよな、死影?」
「そうだ。死音、いつまで拘束しておけばいいんだ?」

 もうすでに頭の中からミズキの存在を抹消している。


「な、な、なんなんだ―――!!? バケ狐が!?」
「死音に向かってバケ狐は無いだろ、バカが」

 ミズキが叫び始めてやっとその存在を思い出したようにナルトは笑う。

「あぁ、そうだった。九重は神狐だから妖狐なんかじゃない! 勘違いするにも程がある!!」
「……ナルト、それに怒ってたのか?」
「そうだな〜……これくらいは覚悟してもらわないとw」

 ニヤリと笑って、鋼糸を手にしているナルト。

「それじゃ死んじゃうだろ!」
「……毒の方がいい?」
「いのたちが喜ぶな」
「そうするか……」

 楽に死なせない、ということだろう。

「ナルト! シカマル! いい加減にしろ!!」
「……イルカ先生〜、オレの名前呼ばないで下さいよ〜」
「影首縛り使ってる時点でバレる運命だと思うけど?」
「……それもそうか」

 あっさり納得して暗部面とフードを取り去る。

「そんじゃ、このまま連れてくか」
「あぁ、そうだ。ナルト、卒業……おめでとう」

 ミズキを捕まえた功績で、ナルトが下忍になるということになってたから、これで卒業なのだ。

「今日は卒業祝いだ。ラーメンをおごってやる!!」

『……別に奢られても嬉しくないよな、ラーメンなんかじゃ』
『そんなことない!! イルカ先生と食べるラーメン好きだし!!』
『けど、今日は風見家で宴会らしいから、イルカ先生もそっちに来ませんか?』
『いいのか? なら、ラーメンは今度な』

「その前にそれを返して来い!」
「あ、そうだってば! 火影のじっちゃんの所行ってくる!
 イルカ先生、後で来るってばよ!!」

『風見家の場所、知ってたよな? イルカ先生』
『わかってる。今から向かうよ』
『オレたちはミズキの引渡しと禁書を戻さなきゃな』
『おう! また後で』

 ナルトが暗部の付き添いで三代目の元に向かった。







 アカデミーでは今日も風見の子供たちにとっては詰まらない授業が行われていた。

「今日はクナイと手裏剣の投げ方だ。皆、演習場に集まること!」
「「は〜い」」


『今日は演習か……』
『適当にやってボォ〜っとしてようぜ』
『だな。さ〜て、面倒な演習の始まりか』


 だらだらと歩くシカマルに纏わり付くようにゆっくり歩いているナルトとキバ。それに合わせて周りのスピードもゆっくりだ。

「シカマル! どっちが多く中てられるか競走だ!!」
「めんどくせぇからパス」
「シカマル、めんどくさがってばかりいたら一生モテないぞ?」
「別にいい。オレはイケてねー派だから」


『本気出したらカッコイイのに……』

 ナルトはそう言って、隠話の中でシカマルとイチャイチャな会話を始める。

『そうやっていつまでもラヴラヴしてればいいさ。どうせどうせ……』
『キバ、そんな話を振ったお前が悪い』
『シノォ〜、でもこんな風に返されるとは思わなかったって』

『そこ! 五月蝿い!!』

 二人の世界〜♪ だったはずなのに、突っ込みたくなるくらい五月蝿かったようである。




『……こんなとこに来るなよなァ』

 アカデミー生たちが手裏剣やクナイを投げて笑っている影でナルトたちはぼやき始めていた。

『うっわぁ……何十人だよ』
『ナルト、全員出動か?』
『……それしかないよな。生徒たちを守りながら戦うのは大変だろうし』
『……いいの? ナルト』
『何がだ?』
『何って……イルカ先生にバレちゃうわよ!?』
『仕方ないだろ。……諦めろ』
『来るぞ!!』

 的の順番を待っていたキバが番が来たのに動かないことにイルカが呼びかける。

「キバ? 順番が来たぞ? どうした?」

 やはり中忍では気付けなかったようだ。

 アカデミー生やイルカを狙って飛んできたクナイなどをナルトたちが動き、弾き飛ばす。

「なっ……!?」
「誰も動くんじゃねぇぞ!」
「絶対大丈夫だから、ちょっとだけ目を瞑っていてね」

 シカマルとヒナタの忠告に逆に恐怖を駆られたアカデミー生たちが悲鳴を上げる。

「……だから、ただの子供は…」
「おいおい、オレらも子供だって!」
「まぁな。でも、その前に忍だろ」
「忍はこれくらいで悲鳴を上げちゃダメよね?」
「アカデミーは準備期間だからいいんでしょ」

 会話をしながら襲ってきた他里の忍を葬り去る。

「なっ! お前らは名家の子供じゃないのか!!?」
「そうよ〜v 名家の子供だから鍛えてるんじゃないの」
「まぁ、それ以外の名前も持ってるけど」

 やはり忍びを葬りながら話す。

「それ以外の名だと!?」
「所謂、暗部名のこと。つまりそれだけ強いわけだ」
「なっ!!!」

 ナルトたちが暗部だと知ったイルカが驚きの声を発した。

「は〜い、こっちは終わったわよ」
「これで最後、だな」

 最後の一人をナルトが切り刻んだ。




「…な、なると……」
「イルカ先生、今まで騙しててゴメン」
「違う! ナルトは騙してなんかいない!!」
「…………イルカ先生?」
「騙してなんかないだろ? 暗部が偽るのは当然のことだ。それに、守ってくれてありがとう」
「イルカ先生……」

 イルカに抱きつくナルト。微笑ましげに見守る風見の子供たち。

「さて、あいつらの記憶を消すか」
「そうよね! 覚えてたら精神が壊れるかもしれないし」
「忘れた方がいいこともある」

 口々にそう言い、その場に居た子供たちの記憶を消してゆく。

「皆も守ってくれてありがとうな」
「先生も受け入れてくれてありがとう」
「ナルト、落ち着いたか?」
「シカマル……見て見ぬ振りぐらいしてくれてもいいだろ!?」
「気にすんな」
「無理! ……お疲れ、皆!!」
「お疲れ様、ナルト」
「……イルカ先生、これからどうする?」
「そうだなぁ……なぁ、お前ら。オレを鍛えてくれないか?」
「え? イルカ先生を!?」
「いつまでも生徒に守られているわけにはいかないだろ?」
「……なら、一緒に修行しよう!」
「隠話は絶対に教えないとな!」
「そうね。きっと先生に教えてもらうこともあるだろうし」
「楽しみね!!」

 そして、イルカは強くなったのだった。





「……こうやって強くなったのはいいけど、最近、火影さまに呼び出されることが多くなったよな」

 イルカが強くなったので、上忍にならないか? とか、ナルトたちと一緒の任務に就かないか? などといった話を三代目にされることが多くなった。

「お邪魔します!」
「あ! イルカ先生!! お疲れ様〜v」
「怪我、大丈夫?」

 風見家に着くと、女の子たちが迎えてくれた。

「大丈夫だ! それより、皆揃って卒業おめでとう!!!」
「ありがとう!!」×7
「まだナルトとシカマルは帰ってないのか?」
「もう少ししたら帰ってくると思います」
「今は料理とかを作ってるので、先生は座ってて下さい」
「オレも手伝おうか?」
「あ、イルカ先生!それなら酒を運ぶの手伝ってくれ!」
「……結構用意してないか?」

 居間にある酒の本数は、数え切れないくらい。

「皆、かなり飲むし、イルカ先生も飲むでしょ?」
「じゃあ持って来るか。どこにあるんだ?」
「地下だよ〜」

 料理をしてない面々は全員、酒を取りに行く。

「……あ、僕、影の中から持ってくるね!」
「あたしも手伝うわ!!」

 チョウジといのが影の中に消え、それ以外の人は倉庫から運び出す。

「すっごい量だな」
「まぁ、一族で宴会とかすることもあるからな」
「機会があれば買ってくるからな」
「先生が飲みたいのがあったら持ってこうぜ!」
「いやいや、これで充分だよ」

 大量の酒を手に居間へと戻って行った。



「ただいま〜」
「お帰りv 早くしないと始めちゃうわよ?」
「待てって! ほら、お土産v」

 楽しげに差し出したのは、意識を失ったミズキ。

「毒薬とかで思いっきり苦しめてやってくれ、いの」
「いいの!? じゃあじゃあ! この前出来た、それは流石にヤバイだろ? ってダメ出しされたやつ使っていい!?」
「いいぞー。思う存分やれ! ってさ」
「サクラ! サクラ〜!!」

 嬉しそうに駆けてくいのに苦笑いをするシカマルとナルト。

「火影さまの許可は取ったのか?」
「そうだよ。あっさりどうぞ、って」
「脅したの間違いだろ。後腐れなくやっちゃっていいらしいから、イルカ先生も術の練習でもする?」
「いや、別にいいさ」

 風見の子供たちによる毒薬実験や禁術練習により、ミズキはボロボロにされたのだった。
 用意した大量の酒は11人の腹に消えていったのだった。




「……二日酔いだ」

 翌日、イルカ先生は飲みすぎで二日酔いになっている状態でアカデミーに出勤したのだった。



後書き

 ifとして、書かせていただきました。
 微妙に飛ばしたところもありますが、こんな感じ。
 やっぱり知ってるという話の方が良かったかな?



web拍手お礼小説でした〜v
無事、再録できました。

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