「おはよ。サスケ君、おはようvv」
「……はよ」
ここはとある修行場の前。本日の7班の待ち合わせ場所だ。
辺りには誰も居ず、三人だけ。
『サクラ、今日のナルト、おかしくねぇか?』
『誰も見てないのに演技してるわよね』
誰も居ない時は演技をせずにいたナルトが今日に限って演技をしているのだ。
「サスケ! 何サクラちゃんと目で会話してんだってば!!」
「フン! ドベが!!」
「ムキ―――!!!」
『……やっぱ、おかしいかも…………』
『おい! ナルト!! ちょっと止めろ!!!』
隠話で止めるように告げるが、反応は無い。
『…………。……やっぱ変よ! ナルト!! どうしたの!?』
隠話が全く聞こえてないかのように振舞うナルトに二人は戸惑いを隠しきれない。
『……サクラ、サスケ。聞こえるか?』
『『シカマル!?』』
『あぁ。二人に頼みがある』
『何? 頼みって?』
と、そんな時にシカマルから隠話の連絡が入った。
里内であれば傍に居るのと変わりなく話せるよう、改良したのだ。
『ナルトの奴、記憶が飛んでっから頼むな』
『『……は?』』
記憶が飛ぶ? きおくって何!?
『昨日の任務でちょっと頭打ったらしくて、意識を取り戻した後に聞いたら、
1.風見のことは知らない。
2.九重のことも知らない。
3.下忍並みの実力しかない。
って感じでな。表仕様のナルトだと思って付き合ってやってくれ』
あっさりとシカマルは言うが、あまりのことに言葉も無くなるサスケとサクラ。
『ねぇ、シカマルとのことは覚えてるの?』
やっと、回復をしたサクラが質問。
『いや、全く。出会いがアカデミーになってるからな』
風見家での出会いが無くなれば、付き合うことなど無かったのだろうか……
そんなことは無いと思うけど……
『じゃあ、昨日の意識を取り戻した後に聞いた時はどんな感じだったの?』
『聞きたいのか……?』
苦虫を噛み潰したかのような声で昨夜のことを語りだした。
「……う…ん……」
「あ、起きたのか? ナルト、大丈夫か?」
シカマルの腕の中で目覚めるナルト。
「……え? シカマルだってば? ……ここ、どこ…?」
「へ? ……ナルト、今日のこと、どこまで覚えてる?」
「今日のこと?」
不思議そうな顔をして記憶を辿る。
「えっと〜、待ち合わせ場所に行って、サスケとサクラちゃんが来て、カカシセンセーが来るまで3時間近く待ったってばよ。任務は犬を捕まえることで、終わったら修行したってば」
ナルトの返事に考えるかのようなシカマル。
「修行の後は覚えてるか?」
「…………修行中で途切れてるってばよ……。
オレってば、シカマルに何か迷惑掛けたかってばよ」
「いいや、何にも」
ナルトから眼を逸らし、遠くを見つめる。
「……で、ここって何処? それになんでオレってば、シカマルに抱きしめられてるってば?」
抱きしめられてることに特に疑問を持たずに、質問に答えているナルトは大物だと思う。
「ここはオレんちの関係している家の中だ。抱きしめてたのは、お前が倒れてたのを運んでる最中だったからだな」
「シカマルが助けてくれたんだってばね。ありがとうってばよ」
「気にすんなよ。それより、寝とけよ。疲れてんだろ」
「ありがとうってば」
ナルトはそのまま眠りについた。
「……九重、話せるか?」
『何じゃ、シカマル』
「わかってんだろうが。ナルトのことだよ」
『くくく。まぁな。暗部の任務中に頭を打ったことは知ってるな?』
「あぁ。どれくらいで戻りそうだ?」
『なんとも言えないが、数日だろうね。妾が出来るだけ早くするようにするから』
「そうだな。早い方がいいだろう」
シカマルはナルトの隣に横になった。
『いいのかい? ナルトはシカマルと付き合ってたことなんて全く覚えてないよ』
「気付いてたさ。ナルトはどこまで覚えてるんだ?」
『里人が思ってる姿の情報まで、ってところだね』
「ドベ仕様ってわけか。なら、暗部任務さえ無ければやっていけそうだな」
『明日だか明後日だかに風見の神事があったと思うが?』
「……あ!? 忘れてた…どうすっかなぁ……」
『そこら辺はシカマル、お主に任せるよ』
「わーったよ。
……あ、後もう一つ、ナルトはどこまで力が使える?」
『下忍レベルだろう。勿論、隠話もわからんし、妾の力を使うことも出来ないだろうさ』
暗部任務で疲れていたのか、返事を出来ず眠ってしまったシカマル。
『この機会に神事を失くせないものかねぇ……』
月に向かって声は響いた。
「ナッルト〜♪ 今日も可愛いねぇ」
ナルトを抱き上げるカカシ。
「カカシセンセー、遅いってばよ!!」
「……可愛いー!!! いつもより可愛い!!」
カカシはいつもとどこかが違うことを嗅ぎ取ったようだ。
第六感か、それとも変態だからだろうか……
「センセー、遅いわよw」
「……ナルトを離せ」
怒っているサスケより、笑顔のサクラの方が怖いです。
「ナルトが怖がるでしょー。ダ〜メだよ」
「「!?」」
いつもとナルトが違うことを思い出し、ナルトの反応を窺うサクラとサスケ。
「助けてってば、サクラちゃん」
サクラたちに恐怖は感じてなく、カカシセンセーの腕から逃れようと頑張っているナルトは可愛いvv
「……大丈夫だった、ナルト?」
一瞬の間の後、サクラはナルトを取り戻し、サスケはカカシに攻撃を仕掛けていた。
「助かったってばよ。ありがと」
「いいえ、どういたしまして」
「カカシ!! 今日の任務は何だ!!!」
「今日は無いよ。だから、修行だね」
「じゃ、このまま付き合ってもらおうか!」
サスケとカカシは攻防を続けながら話していた。
「修行だって。ナルト、向こうで忍術の練習でもしましょうか」
「オレってば、火遁を使ってみたいってばよ!」
「じゃ、豪火球の術の練習でもしてみましょうか」
「頑張るってばよー!!」
『ま、きっと出来ないでしょうけどね』
下忍並みになっているというナルトでは不可能だろうとサクラは判断したのだ。
「今日集まってもらったのは、ナルトの記憶喪失について話し合うためだ」
「「「えぇえ!!?」」」
「突然言ったらビックリするわよ、シカマル」
「それより、いつぐらいに戻りそうなんだ?」
「数日中ってとこだな」
「へぇ。で、何が問題なんだ?」
「やっぱ皆忘れてるな。明日は風見の神事がある日だろ」
「「「「「……あっ!!」」」」」
「でもさぁ、とりあえず座っててもらえばいいんじゃない?」
「……親たちが知らなくてもか?」
「あぁ。そういう問題もあったね」
「ナルトに話しかけられないようにあたしたちでカバーすればいいの?」
「それしかないだろ。ナルトはオレが説得するから」
「シカマルが説得するなら大丈夫だね」
「でも、ナルト記憶無いんだよ? シカマルとだってただの友達っていう記憶しか無いんだって」
「え? そうなの?」
「確かにな。ドベ仕様の記憶しか無いらしいからな」
「……シカマル、辛いでしょうけど頑張ってw」
シカマルとナルトが付き合ってるのが当たり前になってるこのメンバーにとって、これくらいのことはからかい甲斐があって楽しそうなだけだ。
「へいへい。どうにかすっから」
「シ、シカマル……オレってばこんなトコに居ていいのかってばよ……」
「大丈夫だって言ってんだろ」
「そうよー。せっかくこの場から浮かないように着替えたんだから大丈夫だってvv」
「サクラちゃ〜ん……」
翌日、記憶がまだ戻らないナルトは正装させられ上座に座っていた。
「ナルト、ここに集まるのはここに居る皆の親だから、何も心配することねーって」
「そ、そうは言うけど…………」
「ナルト、もう少し落ち着け。落ちつかねーととんでもない失敗をするぞ!」
「キバ!! 脅かしちゃダメ!!!」
しかし、ヒナタがおどおどしてないことの方がナルトには驚きだったようだ。
「シ、シカマル〜……」
シカマルは性格設定をしていない。めんどくさがって変えなかったのだ。
「何も喋らなくていい。ただ座ってるだけだから」
もう一度、ナルトに言い聞かせる。
「わかったってば。頑張る」
「ふぅ〜。終わった〜」
「オ、オレってば変なことしなかったってば? 大丈夫だったってば?」
「大丈夫だよ。あんなもんだって」
「よ、良かったってばよ……」
「……ねぇ、九重さまが実体化してるんだけど…」
「「「はぁ!?」」」
いのが指差した方を皆が同時に見た。
「お疲れ様。ナルト、ちょっと頭を見せてごらん」
「だ、誰だってばよ!!?」
驚いているナルトを気にせず九重はナルトの頭を触る。
そして、何やら呪を唱え撫でている。
「…………。よし、これで戻っただろう」
九重はナルトの記憶を戻すために実体化していたらしい。
「…………////」
「な、ナルト!? 大丈夫か?」
「ふふふ。大丈夫みたいだから妾は戻るからな」
シュンっという音を立てて九重は消えた。
「ナルト?」
「……皆、迷惑掛けてごめん…///」
全ての記憶が残っていたナルトは皆に掛けてた迷惑に真っ赤になってしまっていた。
「記憶、戻って良かったなぁ……」
「そうね。しいて言えば、シカマルをもうちょっとからかいたかったかな?」
「シカマル君、お疲れ様」
「無事どうにかなったし、オレは一度、実家に戻るな」
「あ、あたしも! パパに帰ってきて、って言われちゃったしね」
「僕もね。というか、皆言われてたよね」
「だな。じゃ、シカマル、ナルト。お疲れ様」
笑顔のまま皆帰っていき、ナルトとシカマルだけが残された。
「……し、シカマルは帰らなくていいの?」
「オレは帰って来いなんて言われてないからな。
それに、ナルトを一人にするわけないだろ」
「シカマル……」
ナルトとシカマルはつかの間の二人きりを楽しんだのだった。
後書き
以前、日記で言ってた記憶喪失ネタ。
その時書かれてたのは、シカマルの回想の前まで。
だから、神事があるとかは即興で作られたネタ。
神事で力が一時的に増えた九重によってすぐに回復したということでw
紗奈が恋愛の雰囲気を書けないのか、二人きりの部分がヌルイです。
甘甘とか書けるようになりたいです。
2005/6/3 作成