暁の隠れ家を出て数歩、本来ならここに居るはずの無い人を見掛け、さらに声まで掛けられたイタチは見なかったことにして隠れ家の中へ戻った。
「…………イタチさん? どうしたんですか?」
さっき出てったはずのイタチが戻ってきて、自室に鍵を掛けて篭ろうとしているのを見て不思議に思った鬼鮫が声を掛けた。
「……いや、何でもない」
何も答えようとせず、というか、口にしたら本当のことだと認めてしまうような気がして、口に出来ないのだ。
どっからどう見ても何かあったとしか思えないですけどね。
「イタチさん?」
答えなければ部屋に篭らせない、とでもいった雰囲気の鬼鮫に部屋に篭りたいイタチ。
平行線な争いに終止符を打ったのは仕事から戻ってきた人物だった。
「イタチにお客さんなんだな、うん」
帰ってきたデイダラは入り口でサスケに声を掛けられ、イタチに会いたいというサスケを連れて入ったのだ。
声を掛けられ振り返ったイタチと鬼鮫はしっかりとサスケを見た。イタチは鬼鮫の一瞬の隙を突き、部屋に篭った。
「兄さん! 何で逃げるんだよ!!」
「イタチさん! 逃げても何にもなりませんよ?」
天の磐戸のようにしっかりと閉まったイタチの部屋にサスケと鬼鮫が声を掛ける。
「あはははは! イタチ面白いよ、うん」
楽しいことになりそうな予感がしたから、という理由でサスケを連れて来たデイダラは笑って様子を見守っていた。
二人して閉められた戸をドンドンと叩いたり、呼びかけたりしている。それを見守っているのに飽きたデイダラが鬼鮫に声を掛けた。
「鬼鮫、鬼鮫。これは誰なんだな?うん」
「イタチさんの弟のサスケ君ですよ」
「あぁ、例の」
「そうです」
例の、で通じちゃう所が何とも言えません。
「じゃあ、これは兄弟喧嘩なんだな、うん」
「……ちょっと違うと思います」
「あ、はじめまして。うちはサスケです」
会ったことが無い人物だとやっと気付いたサスケがペコリとお辞儀をしている。
「あ、干柿鬼鮫です」
「デイダラでいいんだな、うん」
つい以前会ったのに自己紹介をしていなかった鬼鮫が反射で答えた。
そして、そのまま少し話していると、イタチの部屋の戸が開いた。
(なんでそいつらと楽しそうに話してるんだ! サスケ!!)
と思ったイタチがやっと開いたのだ。まさに天の磐戸ですね。
「兄さん!!」
「サスケ、何をしに来た」
「兄さんに会いにvV」
「……入れ」
イタチが入れてくれた部屋に嬉しそうに座るサスケ。
「素直じゃないんだな、うん」
「素直なイタチさんなんて気持ち悪いですよ」
「……(コクリ)」
部屋の外に居る二人がそんなことを話していることにイタチもサスケも気付いていない。
「……お茶でも飲むか?」
「うん!」
サスケの返事にお茶を汲みに部屋を後にするイタチ。
「サスケ君、ちょっといいですか?」
「? 何か?」
「ちょっとこれ見るんだな、うん」
鬼鮫とデイダラはイタチが席を外している隙にサスケにイタチのアルバムを見せていた。
ブラコンだということを暁メンバー全員に知られているイタチ。それというのも、今までにサスケの写真を見せて自慢していたことがあるからだ。
つまり、見せられたアルバムはサスケの成長記録である。
小さい頃の写真とか。
イタチに術を教えてもらってる姿とか。
暗部任務中のサスケの姿とか……
任務中!?
あぁ、今も見守っているんですね、イタチさん。(そういう問題じゃないから!!)
最近のサスケの姿もちらほらある。
「……これ、兄さんが?」
「いっつももってるんだな、うん」
「大切にしてますよ」
「……////」
嬉しそうにしているサスケ。サスケはサスケでイタチとの写真を大切にしているのだからお互い様かもしれない。
「サスケー……なっ!それは!!!」
お茶を持ってきたイタチがアルバムを見て、固まる。
「に、兄さん……」
「……出てけ―――! 貴様ら〜〜〜〜!!!」
フルフルフルと握り締めた拳が震えている。
「ありのままの姿を見せる方がいいんだよ、うん」
「どうせ皆知ってることですからねぇ……」
そんなことを言いながら、棚に隠してあったサスケからの誕生日プレゼント(幼少期にくれた思い出の品)を出して言う。
「……こ、こんなものまで…………(感動)」
喜んでいるサスケに気付かないほど怒っているイタチ。
「兄さん、兄さん」
「……ん? なんだ?」
鬼鮫とデイダラの方に意識が向いたまま無意識に答える。
「ありがとうvvV それから…………」
イタチの耳元に囁く。
「////」
イタチはサスケの感謝の言葉に真っ赤になり、それから、の後の言葉にサスケは真っ赤になった。
「……え、えっと…オレ帰るね! じゃ、またね。兄さん!」
赤くなったまま逃げるようにサスケは帰ってしまった。
「イタチ〜、何言われたんだ? うん?」
「……何でもない…////」
「イタチさん、赤くなってたら何かあったとしか思えませんよ?」
「……大丈夫だ」
イタチの思考回路はサスケに崩されたまま、ちゃんとした受け答えが出来なくなっていたのだった。
後書き
何を言ったかはご想像にお任せいたします。
落ちがないですね。
落ちを数日考えてたのですが、思いつきませんでした。
しかも短いよー・・・(泣)
2005/7/27 作成