事件の爪跡がまだしっかりと残っている木ノ葉の里で、慰霊祭が大々的に行われていた。
そんな全体的に沈んだ雰囲気の中、里の中に一ヶ所だけ喜びの気配に包まれた場所があった。
そこは里の外れ、風見の本家であった。
「イタチ、あの子が新しい当主のナルト君だ」
ナルトの3歳の誕生日のお祝いと、ナルトの当主就任のお祝いが行われていた。
ナルトは九重と和解し、その力を使うことが出来るようになっており、四代目の血を濃く引いていたのか忍びとしての才を発揮し始めていた。
しかし、まだ3歳。当主の席に横になったりしている、とっても可愛いお子様だvv
「父上、隣に居る子供は?」
「奈良の子供だ」
渋い顔をしてうちはは答えた。
隣と言ったが、最初は立っていたのに、今はナルトと一緒に横になったりして転がっている。
「さぁ、行ってこい」
父親に促されてイタチはナルトに近付いていった。
「頼んだぞ、イタチ。ナルト君と仲良くなってくれ!」
イタチは彼のナルトを独占しよう作戦の一環だった(笑)
「はじめまして、ナルトくん。うちはイタチです。よろしく」
一応、当主だし、丁寧な言葉使いでイタチは精一杯の微笑を浮かべ挨拶した。
(うわぁ〜、可愛い子供だなぁ……サスケと一緒に並んでる所とか見たい……)
そんな心の言葉が聞こえたのか、それともイタチの微笑みに恐怖を感じたのか、ナルトはシカマルの手をギュッと握り締めイタチの前から逃げ出したのだった。
逃げられたイタチはガックリと肩を落とし、その場に立ち竦んでいた。
「……ふぅ。駄目だったか…」
その後、イタチはことあるごとにナルトに近付こうとしたが、ナルトには逃げられ、シカマルに睨まれたりしたのだった。
「……イタチは駄目だったが…サスケ……」
「貴方、イタ……わ」
ある日、イタチは両親が話している声が聞こえ、居間の前で立ち止まった。
「?」
「しかし、サスケは上手くナルト君の近くに行けた」
「それはそうですけど、それだけで……」
「……!? まさか、サスケが…?」
イタチはサスケがナルトの傍に居ると知り、急いで風見の本家に向かった。
本家の庭を覗いてみると、ナルトと同じくらいの年齢の子供たちがコロコロと転がっていたり、くっついたり離れたりしていた。
楽しげな声をあげ、クルクルと回っている者も居る。
「……サ、サスケ!?」
転がっている者の中に自分の弟を見つけ、イタチは固まった。
(自分はナルトに逃げられるのに、サスケは近づけるのか……)
悔しそうに、その場を後にした。
ナルトの傍にどうしても行けない悔しさと、サスケに対する羨ましさとかがごっちゃになったイタチは、修行に全てをぶつけ続けた。
ナルトの傍に行けたサスケはこんな強さを手に入れられないだろう、と変な優越感まで感じながら……
まぁ、暗部に入って、十三歳で暗部分隊長になるくらいだから、変では無いんでしょうけど。
「兄さん、修行つけてほしいんだけど……」
「悪い。今から任務なんだ」
結構(
(任務終了。……ん?あれは何だ?)
命じられていた暗殺任務を終え、里へ進路を取って間も無く、キラリと光る物を見かけた。
何かと思ってそちらへ意識を向けると抜け忍の始末をしている所だったようだ。
「あ!」
3人の追い忍の一人が面を弾き飛ばされ声を上げた。
(!!? ……サ、サスケ!?)
変化を全くしていないサスケがそこにいた。
面を諦め、向かい合った抜け忍を切り殺し別の忍に向かった。
「いの! お前が無理して鋼糸を使うからこんなことになったんだろ!もう使うな!!」
「やーよ。それに、今は死麗よ。せっかくナルトが付けてくれたんだから、暗部名を使ってよね。ね、死華」
「死炎の言いたいこともわかるけど、使いたい物を使うべきよね。
……でも、死麗。死麗が怪我したらやだからもう少し練習してからにして?」
「わかったわよ」
(死華・死麗・死炎か。……死音という暗部の部下だと聞いたことがある。しかし、俺が暗部に入る前から暗部だと聞いていたが……)
サスケに感じていた優越感も何もかもが消え、サスケに騙されていたのだと落ち込んだ。
そしてその場から静かに消えたのだった。
「……で? 今日の任務はあたしと死華の二人でやる予定だったのに、急に仕事をしたいってどうしたの?」
「…………」
「黙ってたらわからないじゃない。でも、サスケのことだから、お兄さんのことかな?」
「……今日、修行をつけてくれるって言ってたのに、任務だからって……」
「で、自分も任務をしてみた、と」
溜息混じりにいのは言った。
「もうお兄さんより強くなってるんじゃないの?」
「……そんなことない。兄さんは強いんだ!」
「…………これだものね。サクラ、行きましょ。ブラコンサスケなんか放っといて、あたしたちは家に帰って遊びましょ」
一応だが、今はまだ黄昏時。
「サスケ、そろそろお兄さん帰ってきてるんじゃないかな?」
いのに手を引かれ、歩き出しながらサクラは後ろを振り返ってサスケに一言だけ言った。
「……そろそろ帰ってきてるかも♪」
声が弾んでいる。パタパタと楽しげな足音を響かせながらサスケは自分の家に向かった。
時間が経てば経つほど、落ち込んでいた暗い気分が、怒りや虚しさなどでイライラしてきた。
サスケがあんなに強いことを知らなかったのは自分だけだと思い込み、そのままうちはの人間を殺し始めた。
うちはの全員で自分を騙していたのだと思ったのだ。
父親と母親のあの細切れの会話、アレを考えると自分だけが知らされていなかったのだと思ったのだ。
そして、イタチはうちは家を滅ぼし里を抜けたのだった。
後書き
うちはが滅ぶ辺りの描写は省きました。
最初に考えてたのよりギャグじゃなくなったなぁ・・・
これはこれでいいか。
ええと、死音=ナルトです。音も無く死を与えるとか考えて付けたんですけど・・・
これの舞台裏の小説はこの次ですv
2005/5/19 作成
2007/2/28 修正