「……へ?」
とある任務の合間、昼休憩中、カカシは突然そう言い出した。
「…別にいいけど……」
「そのクナイの切れ味……もしかして、村上リュウノスケの作じゃない?」
カカシはそう言いながらナルトが持っていたクナイを受け取る。
ナルトはめんどくさかったのか、ポーチをひっくり返し、クナイや手裏剣などがバラバラ〜っとこぼれるがままにしていた。
そんな風に落とされたクナイ、そして手に取ったクナイをマジマジと見詰めるカカシが居た。
「やっぱりそうだ! ……そして、こっちは近藤カイナの作だし……」
クナイと同じように転がっていた手裏剣を見て、そう呟く。
「? そんなに有名な人のだってば?」
「知らないの!? 有名も有名。最高の職人だよ」
「そんな人のを使ってたんだってば?」
はわわわ〜と知らなかった〜と驚いている。
「かなり値が張る代物なんだけど…………ナルト?」
「え? ……な、何でも無いってばよ。そ、それより何でその人が作ったって分かったんだってば?」
里のある部分を睨みつけるように見ていたナルトは慌ててカカシの方を見た。
「あぁ……それならオレも使ってるからだよ」
「何が違うんですか?」
「まずは切れ味だな。鋼の分量にも気を使い、丈夫で長持ち、切れ味抜群」
「……まず?」
「次に握りやすさ。その人の握りやすさを追求してくれているんだ。だから、手の大きさだけとは言え、この人の工房は個人情報の宝庫だ〜ネ」
「…………」
サクラが質問し、サスケもナルトも……無言になっていく。
しっかり聞いているためだが、それより三人には気になることがあった。
個人情報云々ということは……自分たちがどのように登録されているのか、という問題だ。
「まぁ、だから見ればわかるんだよ」
「す、スゴイんだってばね……」
「それよりナルト。これ、どうやって手に入れたんだ?」
「……ヘ? それってば、どういう意味?」
「最高の職人だから、順番待ちはスゴイし、値段も普通に比べて高額だから……」
「…………もらったってばよ……(おじさんたちに(怒))」
「あぁ、もらったのね。(火影さまに)」
お互いの理解にかなりのズレがあるが、特に支障は無い。
「シカ! 潜入捜査だ!!」
「突然何だよ……今日は休みのハズだろ?」
「これは風見家当主としての依頼! 10人全員で、だから」
「……ナルト、もしかして今日の昼の件?」
「そう。気になんだよ! しかも、ヤバイだろうが!!」
ドベと評判のナルトが大量の武器を購入した、とかさ。
「まぁ、確かに。一般家庭のわたしがそんな武器を持っていることに気付かれてもアレだし……」
7班の三人は理解できているが、他の皆は分からずに居る。
「ナルト、説明しろ」
「あぁ、わかった。オレたちの武器は皆に父親たちが購入してきてるよな?」
「あぁ、それがどうかしたのか?」
今までずっと、買ってこられた物を使用してきて何も問題無かったのに、突然言われても困る。
「それが有名な鍛冶屋の作だったのは、まぁいいことにしよう」
「……そうか」
あのナルトを溺愛する親たちだ。それくらいのことはしておかしくないだろう。
ナルトだけでなく、皆を溺愛している親バカたちなのだから……
「今日、それをカカシに気付かれたのはちょっと失敗だが、誤魔化せたので良しとする」
「……そ、そうか」
変態を嫌っているナルトの言葉にただ頷いている皆。
「そのカカシいわく、その人それぞれに合わせた武器を作成していて、握り易さまで追及されている武器らしい」
「……へぇ〜、凄いな・・・」
「つまり、その相手の手の大きさ及び注文数がその工房で把握されているということだ」
たんたんと続けられた言葉に沈黙が続き……
「えぇぇええぇ〜!!?」
しばし経ってから驚きの声が上がることとなった。
「ちょ、それマズくないか!!?」
「マズイだろうな……」
「そ、それって……あたしたちの職業、バレてる可能性があるの!!?」
「……ありえるでしょうね」
「それで確認が必要ってことか?」
「そういうこと」
ナルトの説明に納得した7人は、早速行く準備を始める。
「さぁ、行くぞ!!」
かなり難しい任務に行く時と同じような緊張を漲らせた表情をした10人がその工房へと潜入した。
「……ぐはっ! 名前載ってる」
凹んだキバが手にした巻物を手に呟く。
「数量もバッチリ……」
額へと手を当て、頭がクラクラしている様子のいの・サクラ・ヒナタの三人。
「…ってか、研ぎに出した回数まで載ってるし……」
唖然とした表情を浮かべ、呟くシカマルに聞いていたことに胃が痛くなってきたのか腹部を押さえているネジ。
「ちょ……ちょっとマズすぎるわ!!」
「改ざんだ! 改ざん!!」
名前が載っていることは仕方ないので、注文数などを一桁削ったり、誤魔化していく。
「……お、終わった…………」
10人分だったこともあり、バレないようにと気を使っていた全員が疲れ切った溜息とともに自宅へと帰ってきていた。
「疲れたな……」
「ね。しかもさ、本名だったし……」
「一応探したけど、あっちの名前、無かったよな?」
「あぁ。あっちの名前で注文されていた方が安全だった気が…………」
「待て! それじゃあ、ナルトが何で持ってたのか分からなくなるぞ」
「あぁ……でもさ、あの本数を誤魔化す必要は無かったよな」
「まぁな……」
「それより、両方載ってなくて良かったんじゃね?」
「うん?」
「だって、同じサイズだぜ? 同一人物だ〜ってバレるって」
キバの鋭い突っ込みに皆がガックリと肩を落としたのだった。
「大変大変〜!!」
「……あ゛?」
「山中さん?」
慌てて飛び込んできたいのいちの姿に、10人は何事かと注目した。
「ナルトくんたちの正体がバレるかもしれない!!」
「……は? 何があったんだ?」
「前から武器を頼んでいた親戚の所に賊が入ったみたいで、どうやらナルトくんたちの注文数なんかを見ちゃったらしいんだよ」
「……え?」
「……しん…せき?」
「そう。……アレ? 言ってなかったっけ? ここでの集まりには出れないことが多いけど、武器を作ることで有名な人が居てねぇ……」
「…そ、そうなんだ……」
「……て、てっきり外部に発注してるモンだと…………」
「そんなこと出来るわけ無いよ! 家の家系であんなイイ物作る人が居るって言うのに、どこの誰に頼むのさ!」
いのいちの話によると、家の家系には天才肌の人間や強い人物が多いらしい。
なので、上層部に組み込まれている場合が多いということだそうだ。
確かに、知っている相手は全員上の方に行っている。
「……あ、あのね…パパ」
「ん? 何だい、いの?」
「あまりに注文数が多いと思って……削ったの、あたしたちなの……」
「え? そうなのかい?」
「うん。だって、その人の作った武器の値段……聞いちゃったんだもん」
「そっか〜。なら大丈夫だね! 良かったよ」
「……うん。ごめんなさい」
「いやいや、言い忘れていたパパが悪いんだよ」
「…………」
シュンッと落ち込んでいるいのをいのいちは撫でる。
「一番重要な死音たちの武器の注文票に関しては別に……厳重に隠してあるから大丈夫なんだけどね」
「…………え゛……?」
いのいちが言い出した言葉にピシリッと固まる全員。
「そっちは見つかるような場所には無いし、これからはそっちに注文数を足してもらうことにするよ」
10人の状態に気付かず、そう言い残していのいちは犯人はナルトたちだったと報告に向かった。
「……隠して…って……全く気付かなかった……よな?」
「……うん」
「…………親たち、侮りがたし」
そういう結論に達したのだった。
後書き
うん。ちょっと、思いついたの。
バレンタインとか、誕生日に大量に貰ってたな、と。
突然思いついたのは前半部分。
後半は結構、即興。
久し振りに風見家だったからかなり進みが速かったです。
職人の名前はマジで適当なんで・・・(汗)