アスマ・イズモ・コテツ・シカマルのフォーマンセルで暁の二人組みを探していた。
 火ノ寺を襲った角都と飛段を倒すために。

 火ノ寺で情報収集をして、換金所に居る可能性が高いという情報を得た。
 そんな中に居たシカマルはちょっと困っていた。
 このしかまるは現在影分身であった。
 本体は、暗部任務を与えられた分を片付けるためにナルトと共に火の国を離れていた。

(何でこういう時に限って忙しいんだよ!)

 影分身であるしかまるにとって、暁との戦闘など勝てるわけが無い。
 一対一ならばどうにかなるか、といったレベルである。表向きの力しか与えられていないのだから……




『本体! 今、何処だよ!!』
『ん? どうした?』
『どうしたも何も……暁の二人組みと戦闘は無理だぞ?』
『あ〜……アレか』
『今は雷の国の方に居るよ』
『いつぐらいなら戻ってこれる?』
『ん〜……一時間くらいか?』
『ここを燃やし尽くすにはそれくらい必要だな』
『んなのんびりした返事いらねー!』
『……何そんなに焦ってるんだ?』
『現在、暁の角都と飛段と接触を終えた。アスマが飛段に突っ込んでいった』
『あの二人か〜……攻撃方法や弱点は把握してるだろ?』
『それくらいは本体からの情報で分かるけど、どうにかできるわけ……ヤベッ!』
『ん〜?』
『アスマが呪われたっ』
『あの術か……ナルト、短縮するぞ』
『分かってる。後十分頑張れるか?』
『五分がいい所……』
『わかった』

 そんな会話を終え、飛段をサークルの中から引き摺り出そうと頑張り始めた。

(ホントに何でオレばかり……)

 そんな風に嘆きながら。




 そうこうしていると、飛段が腹部に三又に分かれた部分を刺した。
 それによってアスマも腹部へ三つの穴が開き、倒れ掛かっている。

『本体!!』

 とっさに影分身が出来たのは叫ぶことだけ。  しかし、その叫びにも無情な返事が返ってくる。

『わり、後一分くらいかかりそう……』
『そんなんじゃ間に合わねーよ!!』

 しかまるは泣きそうになっていた。

「やっとあの痛みを味わえる……てめーを殺す痛み」
「やめろ!」
「終わりだ」

 心臓へと一刺し。
 それによって、終わった、と飛段が角都に声をかける。
 その瞬間、近付いてくる気配にしかまるは気付いた。

(……いのとチョウジ!? ……本体の方だ!!)

 二人の気配などを感じ取り、心の奥底からホッとした。
 その二人が影分身ではなく本体であったことに。

 しかまるがアスマの心音を確認すると、弱いながらもまだ動いていた。

「いの! 医療忍術!『こっちは任せろ!』」
「わかったわ」

 状況から一瞬を争うと判断したいのは、影分身をアスマに変化させて入れ替えた。
 本人たちは闇の世界の中へ……

 影分身のしかまるやいのがその場は誤魔化すように演技を始めた。




 闇の世界に引きずり込んだ直後あたりに、シカマルとナルトも帰還。
 治療役が一気に集まった。

「いの、オレもやる」
「じゃあ、あたしはアレを使うから……」

 四つ開いた穴をシカマル・ナルト・チョウジが塞ごうとしている。

「お、お前ら……もう…オレはここまでだ……」
「オレたちがそんなことさせない!」
「だから、ちょっと喋らないで? アスマ先生」

 治療を止めさせようと声を発したアスマは止められ、今まで治療術を使えるとは知らなかったシカマル・チョウジ・ナルトの掌仙術を受けていた。

「…………秘術・体力還元の術!」

 いのがアスマの体力を戻す術を使い、怪我自体は三人が塞いだ。

「一応、くっついたな……」
「中の方はちょっとまだみたいだが……」
「これ以上術をかけるよりは自然治癒に任せた方がいいよ」
「そうだな……」
「良かった〜v サクラに秘術を教えてもらっておいて……」
「そうだな。アレが無かったら、もうちょっと状態は悪かっただろうな……」
「そうよね」

 アスマを風見家の客室へと運びながら、四人は話していた。

「あ、そうだ。アスマはひとまず死んだことにしちゃったけど……」
「それしか無いだろ」
「だよね。あの状態で生きてるのは難しいし……」
「頑張って癒したけど、五体満足で戻ってこれるかは賭けだよな……」
「ね……」

 もう少し早く任務が終われば……
 もう少し早く治療を始められれば……

 そんな言っても詮無いことを思っていた。




「……ねぇ? 確かさ……オレたちの迷惑になることしないって言ったよね?」
「は…はい……」
「じゃあ、これはどういうことなんだろうね?」
「話によると、守護忍十二士の賞金を狙ってたんだって?」
「それは百歩譲って良しとしても……」
「シカマルが居た時点でなんで止めないかな?」
「ねぇ? これをどう責任取る?」
「…………」

 真っ青になっている暁のボスを前に、ナルト・シカマル・チョウジが居た。

「……あの二人は最近入ったばかりで、皆さまに会ったことが…」
「……最近来てなかったっけ?」
「そうだな……一年くらいは来てないけど……」
「でも、その前には入ってたと思うな〜、僕」

 しっかりと弱点やら特徴やらをしっかりと覚えているナルトたちだから、入った時期も何もかも知っている。

「…………運営資金を稼いでもらうのが主目的でしたから……」
「あぁ、それでアジトに居ることが少なかったわけか……」
「じゃあ、確実にお前の監督不行届きってことでいいか」
「だな」
「あ、あの二人は如何様に処分して頂いても構いません」
「そっか。じゃ、口出しするなよ?」

 真っ青になっている暁のボスを置いてナルトたちは帰っていった。




 カカシ・しかまる・チョウジ・いのの四人で再び角都と飛段と対面していた。
 またもしかまるは影分身で、今日も今日とて心の中はいじけていた。

(いや、本当に何でオレだけ……)

 しかまるだけ、というのはチョウジといのは本体だからだ。
 いじけ気味のしかまるは飛段を引き付け、森の中へと引き離した。

「一人で戦うつもりかよ?」
「あ〜……別にオレはもう役目終わったんだよ」

 そう呟くように答えたしかまるは飛段を巻き込んで自爆した。

「何しやがるんだよ!」

 舌打ちをしながら、無駄死にしたしかまるに怒りの声を発する。

「影分身なんだし、別にいいんだよ」
「そうそう。今からお前はオレたちのサンドバックなんだし?」
「そんなこと気にしてる暇ねーぜ」

 クククとシカマルとナルトが影から現れて、攻撃を開始した。

「そういや不死身だっけ?」
「ん〜…何かあったかな〜……」
「倉庫の中なら面白い物もあるんじゃねーか?」
「倉庫の中な〜……」
「どうすっかな〜…………」

 攻撃の手を休めることなく、刺したり切ったり爆発させたり……
 そんな攻撃の中、のんびりと話していている。

「あ、そういや、シカマルに昔石を渡さなかったか? 結界の」
「あぁ、そんなのもあったな……」

 ちょっと探してみる、とポーチの中を漁ってみると出てきた。
 掌にコロンと載っている水晶を出す。

「とりあえずそれでいいだろ」
「殺せる方法が見つかったら殺せばいいんだし」
「そうだよな」

 血塗れの飛段へとその石を弾き、その石は飛段の血にまみれて発動した。

「何だ、こりゃ……」
「それは結界。要は結界そのものだから、壊す方法は無し」
「解呪方法は一つ。自分と同じ血を持つ者が外から触れること」
「確かお前には親戚の一人も残ってないはずだ」
「余生はその中で過ごせよ」

 そう言い残して、シカマルとナルトは去っていった。
 後には結界に入れられたまま土の中に埋められた飛段の血痕だけが虚しく残っていた。




「終わったな〜……」
「仇は取り終わったけど、アスマは目覚めない、か」
「もうちょっとかかると思うわよ?」
「そうね……仕方ないものもあるけど」
「……やっぱ輸血の技術向上が必須だな」
「だね。こんなこと、もう無いと良いけど」
「念のためにな……」
「そうだな」

 飛段と角都を倒し終えた後、集まった彼らはそんな会話を交わしていた。



「……あっ」
「アスマ!?」
「大丈夫か?」
「…………」

 呼びかけに反応したのか、眼をうっすらと開くアスマ。

「大丈夫か、アスマ」
「……し…カま…………」
「あぁ、無理して喋らなくていい。アスマが怪我をしてから十日程経っている」
「怪我は皆で治したけど、貧血や骨折が治らない限りは床から離れられないと思うわ」
「……とっさに治療したから、アスマが生きていることを知っているのはここに居るメンバーだけだ」
「実際問題、生き残るかは賭けに近かったからかな」
「……一応、現状はそんな感じだ」
「もう少し休んだ後でまた説明するわ」
「聞きたいことは後でゆっくり……ね?」

 口々に説明をしていたが、それを理解するので一杯一杯なアスマは、起きているのも辛かったらしく大人しく眠りについた。




「……出歩いていいんですか?」

 アスマの墓の前で一人佇む紅にシカマルは声をかけた。
 紅が現在アスマの子を妊娠しており、そのために任務から離れていることを知っていたからだ。
 アスマのことを思い返すような会話を交わした後、シカマルが紅の子供を守ると言った。
 大切な思い出を抱き締めて黙り込む紅に、シカマルは声のトーンを変えて話しかけた。

「……紅先生、身体が冷えたんじゃないですか? お茶でも飲んでいきませんか?」

 妊婦が身体を冷やすのは良くないと紅を誘った。

「オレの家にちょっと寄っていって下さい」
「そうね……お言葉に甘えて」

 紅を先導しシカマルが先を歩く。
 その方向は奈良家がある方向とは別の方向で、紅は疑問に思う。

「シカマル?」
「もう着きますから……」

 シカマルの手は印を組んでいる。
 印は、風見家への入り口に張ってある結界を通るためのものと、そこまでの道を省略するためのものだ。

「……と、着きました」
「!?」

 気付くと目の前に立派な門構えの大きな屋敷があった。

「……え? ……こんな家あったの?」
「あったんです。さ、どうぞ」
「……お邪魔します…………」

 突然現れたとしか思えない家へと戸惑いながら入っていく。
 これが知っているシカマルが連れてきたのでなければ、確実に狐か狸に化かされていると思ったほどだ。

「ただいま」
「おかえり〜」

 一応、挨拶をして入るシカマルに、近くの部屋から出てきたヒナタが返事を返す。

「ヒ、ヒナタ!?」
「いらっしゃいませ、紅先生」
「……いえ…………」

 出てくるとは思わなかった教え子の姿にますます戸惑う。

「で、起きてるか?」
「うん。今なら起きて話せる状態だよ」
「やっと起きれるようになったんだからな……」
「そうだよね。じゃ、紅先生、ごゆっくり」
「え? あ……」

 シカマルとヒナタが話している内容が分からずにいた所、急にヒナタが声をかけて離れていった。
 紅はただヒナタを見送っていた。

「こちらへどうぞ」

 とある一室への襖を開けながら、シカマルは言った。
 中に入るように促され、そちらへ視線をやれば、中ではアスマが布団の上に座り苦笑いをしていた。

「よっ」

 何と言えばいいのか分からなかったのだろう……
 手を上げて紅へと苦笑しているアスマの姿。

「……!!」

 紅はポロポロと涙を流しながらアスマへと抱きついたのであった。


 その様子を詳しく確認することなく、シカマルは無言で襖を閉め部屋を後にした。
 声をかけるのは野暮というものだし、紅に良かっただろう…と…笑みを浮かべながら。




「アスマに聞いたんだけど……貴方たちが助けたのよね? ありがとう」
「オレたちはアスマに死んでほしくなかっただけだから……」
「そうそう。むしろ動くのが遅すぎたわけだし……」
「お気になさらず」

 紅とアスマを二人きりにさせたまま数時間。
 その間に色々と話したりしてたらしい紅は、シカマルたちに話を聞こうと部屋から出てきた。
 すぐに紅を迎えに来たキバが居間へと連れて行き、そこで全員と話すこととなった。

「それで、気になることがあるのだけど……」
「まず、何から聞きたいですか?」
「アスマは心臓を貫かれてたと聞いたわ。そんな怪我を治療できたの?」
「ここに居る全員でやったので、どうにか……」
「つまり、全員が掌仙術などを使えるってことかしら?」
「……そうなるかな?」
「実力を隠していたのね……」
「多少は奥の手を取っておくのが忍者として正しい姿だろ?」
「……キバまで、そんなことを考えてるだなんて」
「紅先生? オレのこと馬鹿にしてないですか?」
「そういう意味じゃないのよ?」

 慌てて紅は手を振って否定した。

「この家って誰の家なの?」
「誰のって言ったら……全員だけど」
「ここに居る全員プラス一名で暮らし始めて約十年?」
「そんなもんだな」

 プラス一名は、現在ここにサスケが居ないから。
 ほら、音の里行ってるし、いきなり居たらビックリするでしょ?

「この家の持ち主って意味ならナルトだけど」
「ま、一応……」
「……え?」
「この家は風見家って言って、ここに居る全員の宗家みたいのなの」
「で、現在の当主はナルト」
「宗家……? ……え? だって、名家旧家……」
「かなり昔の話なんだよ」
「木ノ葉が出来るよりかなり昔なんだ」
「そんな昔からある家なの!?」
「まぁ……ね?」
「当主とその側近たちっていう形になるから、多少は強くなってるよね?」
「うん」

 多少どころでは無いだろうが……謙遜してるのか?

「それでどうにかアスマを助けたの?」
「そんな感じです」
「……けど、木ノ葉に連れ帰ってきたアスマは一体…?」
「あぁ……アレは人形みたいなものです」
「前にちょっと事情があって開発したんです」
「……言っちゃう?」
「そうだな……実は…………」

 実は、と言って話し始めるのは三代目のこと。

「……なので、三代目も生きてます」
「はいぃ!?」
「何となく嫌な予感とかがしてたので、三代目の時は作って」
「その残りというか実験作があったんです」
「……貴方たち…………」

 あまりのことに紅は米神に指を当てている。

「今度会えるようにするよ」
「一応アスマの父親だったりするしね」
「助けたこと連絡しないとね〜」
「……今何処に居るの?」
「現在は砂の国あたりを湯巡り中」

 温泉行きたかったらしいからね。

「紅先生、もう夜になるし、泊まっていく?」
「……でも、そういうわけには」
「ここの広さは分かるよね? だから大丈夫だよ?」
「でも……」
「アスマと一緒に一日くらい居てもいいと思うよ?」

 もうすでに泊まること前提に動いていたから晩御飯の用意が紅の分もされている。

「……じゃあ、お願いしてもいい?」
「じゃ、あたしたち部屋の用意してくるね!」
「今日の料理当番はオレだよな」

 そう言ってそれぞれが居間を出て行き、紅はアスマの部屋へと戻っていった。


拍手お礼だったアスマを助ける話。
風見家だったら助けるということは決まっていたものの、すぐに書くつもりは無かった。
けど、紅の話を雑誌で見た瞬間、書かねば!と思い一気に書きました。
まだちゃんと五代目に話していない内にこの二人にバラしました。
この時期だと、他に知ってるのは自来也くらいだな・・・(まだ書いてない)

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